胸部単純エックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。所見として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
胸部単純エックス線写真では、肺の過膨張の所見として横隔膜の平坦化、肋骨の水平化、肋間腔の開大、心臓の縦隔化、ブラ・ブレブの形成などが挙げられます。この画像では、横隔膜が平坦化し、肋骨が水平化していることから、肺の過膨張が示唆されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 心臓の拡大は、心胸郭比が50%を超える場合に診断されますが、この写真では心臓の大きさが胸郭の半分以下であり、拡大しているとは言えません。むしろ、肺の過膨張により心臓が縦隔に圧排され、細長く見える(滴状心)可能性があります。正しくは:心臓の拡大ではない。選びやすい理由:肺疾患の患者では心臓に負担がかかることもあり、心拡大を疑う人もいるかもしれませんが、画像所見を詳しく観察すると異なります。混同注意:滴状心(縦隔心)と心拡大。
- 2. 胸腔内への液体貯留(胸水)は、胸膜腔に液体が貯留する状態を指し、胸部エックス線写真では通常、肋骨横隔膜角の鈍化やカーブした水平面(Meniscus sign)として認められますが、この写真ではそのような所見は見られません。横隔膜は平坦化しており、液体貯留の所見はありません。正しくは:胸腔内への液体貯留ではない。選びやすい理由:肺炎や心不全など他の肺疾患と合併することもあるため、液体貯留の可能性を考えるかもしれませんが、画像所見からは認められません。混同注意:肺炎や心不全による胸水貯留。
- 3. 正解。肺の過膨張の所見として、横隔膜の平坦化と肋骨の水平化、肋間腔の開大が見られます。画像では、横隔膜が正常よりも下に位置し、ドーム状ではなく平坦に近く、肋骨も水平に近く走行していることが確認できます。これは肺気腫などで見られる典型的な所見です。選びやすい理由:肺気腫の診断は呼吸機能検査が重要ですが、画像所見だけでも特徴を捉えられます。混同注意:間質性肺炎の拘束性肺疾患による肺容積の減少。
- 4. すりガラス様の陰影は、肺胞壁が厚くなり肺胞腔内に液体や細胞が充満することで、肺野全体がもやもやと白っぽく見える所見です。この写真では、肺野全体はむしろ透過性が亢進しており、すりガラス様の陰影は認められません。正しくは:すりガラス様の陰影ではない。選びやすい理由:間質性肺炎などで見られる所見ですが、この画像では肺野の透過性亢進があり、すりガラス様陰影とは異なります。混同注意:間質性肺炎やARDSなどに見られるすりガラス陰影。
- 5. 肋間腔の狭小化は、肺線維症や無気肺など肺容積が減少する疾患で認められます。本画像では肺の過膨張があり、むしろ肋間腔は開大傾向にあります。肋骨の水平化に伴い、肋骨間の距離が広くなっていることが確認できます。正しくは:肋間腔の開大。選びやすい理由:肋間腔の狭小化は肺線維症などの疾患でみられますが、本症例では過膨張の所見を呈しているため誤りです。混同注意:肺線維症や無気肺による肋間腔の狭小化。
国試ポイント
胸部単純エックス線写真における肺気腫などの肺の過膨張を示す所見を正確に識別できること。
混同注意
心臓の拡大や胸水貯留、すりガラス陰影などは、それぞれ異なる画像所見を呈するため混同しやすいですが、特徴を理解していれば区別可能です。特に、肺野の透過性亢進は、肺炎などによる浸潤影や心不全によるうっ血影と対照的な所見です。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出題された際は、まず横隔膜の形態(平坦化の有無)、肋骨の走行(水平化の有無)、肺野全体の透過性、肋間腔の広さ、心陰影の形態に注目して判断します。
関連知識
肺気腫は、肺胞壁の破壊により終末細気管支より末梢の気腔が不可逆的に拡大する疾患で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主要な病態の一つです。喫煙が最大の原因であり、画像所見以外にも呼吸機能検査で閉塞性換気障害が認められます。