37歳の男性。日頃から職場での待遇に不満を感じており、たまたま入ったパチンコ店で大勝してから、パチンコを繰り返すようになった。負けを繰り返す中、妻に黙って娘の学資保険を解約するなどしてお金をつぎ込んでいた。その後も借金を繰り返すがやめられず、借金に気づいた妻から「このままだと離婚する」と言われ、妻の勧めで精神科を受診し、病的賭博(ギャンブル障害)の診断を受けた。この障害の特徴で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
病的賭博(ギャンブル障害)は、物質関連障害(アルコール依存症や薬物依存症など)やその他の精神疾患(気分障害、不安障害、パーソナリティ障害など)との併存率が非常に高いことが特徴です。これは、共通の脆弱性や自己治療の試みなどが背景にあると考えられます。したがって、他の依存症を併発しやすいという記述が正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 病的賭博の患者は、ストレスや不快な気分(不安、抑うつ、退屈など)を紛らわすためにギャンブルに没頭することが多く、生活ストレスはギャンブル衝動に強く影響します。正しくは:日常生活で感じるストレスは、ギャンブルをしたいという衝動に強く影響を与えます。選びやすい理由:一見するとギャンブルは快楽追求のように思えるが、実際はストレス対処の手段となっていることを知らないと誤解しやすい。混同注意:ギャンブル依存症の原因が純粋な快楽や金銭欲だけだと誤解している場合
- 2. 正解。病的賭博(ギャンブル障害)は、他の精神疾患、特に物質関連障害(アルコール依存症、薬物依存症など)や気分障害、不安障害などとの併存率が高いことが知られています。これは、共通の神経生物学的メカニズムや、自己治療的な行動が背景にあると考えられます。選びやすい理由:この選択肢は正しい記述であり、特に誤解を招く要素はありません。
- 3. 病的賭博は精神疾患であり、一般人口に比べて著しく低い有病率です。一般人口のギャンブル経験者全体に占める病的賭博の割合はごく一部であり、同様の問題がみられるわけではありません。正しくは:一般の人々と比較して、病的賭博の問題を抱える人の割合ははるかに低いです。選びやすい理由:ギャンブルが社会に広く浸透しているため、多くの人が同程度の問題を抱えていると誤解する可能性がある。混同注意:「ギャンブルをする人」と「病的賭博(ギャンブル障害)の人」を混同している場合
- 4. 病的賭博は男性の方が若年期に発症しやすい傾向がありますが、女性では通常、男性よりも遅い年齢で発症することが多いとされています。また、女性の発症年齢の中央値は男性よりも高いです。正しくは:女性の場合、男性よりも遅い年齢で発症することが多いです。選びやすい理由:依存症全般では思春期発症が多いものもあるため、知識が曖昧だと選びやすい。混同注意:依存症の種類による発症年齢の違いや性差を混同している場合
- 5. 病的賭博の生涯有病率は男性の方が女性よりも高いことが多くの研究で示されています。男性に多く見られる障害です。正しくは:この障害は男性に多く見られます。選びやすい理由:性差に関する知識が不足していると、適当に選んでしまう可能性がある。混同注意:他の精神疾患における性差と混同している場合
国試ポイント
この問題は、病的賭博(ギャンブル障害)の疫学、病態、および臨床的特徴に関する基本的な知識を問うものです。特に、他の精神疾患との関連性や、性差、発症年齢などの詳細が重要となります。DSM-5における診断基準や、WHOのICD-11における行動嗜癖(behavioral addiction)の分類も関連知識として問われる可能性があります。
混同注意
ギャンブルを楽しむことと、病的賭博(ギャンブル障害)を混同しやすい。また、他の依存症との違いや共通点を曖昧に理解していると、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。特に、ストレスとの関連性や性差に関する認識が不十分だと間違いやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、病的賭博の治療法(認知行動療法、集団療法など)、家族への影響、法的・経済的支援の重要性、またはDSM-5における診断基準の具体的な項目(例:金銭的損失の隠蔽、借金による窮迫など)について問われる可能性があります。
関連知識
DSM-5の「非物質関連障害」の定義、依存症の共通メカニズム(報酬系、渇望)、行動嗜癖の概念、ギャンブル障害のスクリーニングツール(例:SOGS)、合併しやすい他の精神疾患(気分障害、不安障害、ADHD、パーソソナリティ障害など)とそれらの治療、多職種連携(精神科医、心理士、ソーシャルワーカーなど)。