てんかん患者が複雑部分発作を起こして部屋を歩き回った際の対応として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
複雑部分発作の際には、患者は意識が朦朧とした状態で目的のない行動(自動症)を示すことがあります。この時、無理に動きを止めようとすると、患者が抵抗したり興奮したりして危険な場合があります。したがって、患者の動きを妨げず、周囲の危険物から守り、転倒などの事故を防ぐために、患者の動きに合わせて安全を確保しながら見守ることが最も適切な対応です。具体的には、患者がぶつからないように家具を動かしたり、階段など危険な場所へ向かわないように誘導したりします。
選択肢ごとの解説
- 1. 発作中の患者に物理的な刺激(体を揺する、大声を出すなど)を与えることは、発作を悪化させたり、不必要な興奮を引き起こしたりする可能性があるため避けるべきです。発作による転倒などの危険がある場合は、安全を確保しながら見守ることが重要です。正しくは:安全を確保し、静かに見守る。選びやすい理由:意識がないように見えるため、意識を回復させようとして体を揺すってしまうかもしれない。混同注意:失神とてんかん発作の対応の違い。失神では意識の回復を促すために刺激を与えることがあるが、てんかん発作では逆効果。
- 2. 発作中の患者に大きな声で呼びかけることは、発作を悪化させたり、混乱を招いたりする可能性があるため避けるべきです。発作中は意識レベルが低下しているため、声かけによる反応は期待できません。正しくは:安全を確保し、静かに見守る。選びやすい理由:応答がないため、呼びかけることで反応があるのではないかと期待してしまう。混同注意:一般的な意識障害時の声かけと、てんかん発作中の声かけの対応の違い。
- 3. 正解。複雑部分発作では、患者が意識が朦朧とした状態で目的のない行動(自動症)を示すことがあります。この時、無理に動きを止めようとすると抵抗したり、興奮したりする可能性があるため危険です。患者の動きに合わせて周囲の危険物を取り除いたり、転倒などのリスクがないか見守りながら、安全を確保することが最も適切な対応です。選びやすい理由:患者の動きを止めるべきではないかと迷うかもしれないが、発作中は抵抗することもあるため、安全確保が優先される。
- 4. 発作中に口の中に物を入れると、歯が折れたり、口腔内を損傷したり、窒息したりする危険があります。また、舌を噛むのを防ぐ効果はほとんどなく、かえって危険です。舌を噛んでしまうことはありますが、多くの場合軽度であり、無理に防ぐ必要はありません。正しくは:口の中に何も入れない。選びやすい理由:舌を噛むのを防ごうとしてしまう気持ちから、口に何かを入れようと考えてしまう。混同注意:古い情報や誤った民間療法。
- 5. 複雑部分発作の最中は意識が朦朧としており、患者は転倒したり、家具にぶつかったり、危険な場所に移動したりする可能性があります。そのため、安全が確保できるまで一人きりにせず、目を離さないで見守る必要があります。正しくは:安全が確保できるまで見守る。選びやすい理由:刺激を与えないために一人にすべきだと誤解する可能性がある。混同注意:安静にさせることと、目を離すことの混同。
国試ポイント
てんかん発作の中でも、特に複雑部分発作時の適切な対応について問われています。発作中の患者への不適切な刺激(揺する、大声、口に物を入れる)を避け、安全確保を最優先にするという基本原則を理解しているかが試されます。
混同注意
てんかん発作の種類ごとの対応の違い(強直間代発作と複雑部分発作)。意識を失った人への一般的な応急処置と、てんかん発作時の特異的な対応。
次に同じ論点が出たら
てんかん発作時の対応問題が再出題された場合、発作の種類(全般発作か部分発作か)、患者の状態(意識の有無、自動症の有無)、そして周囲の環境に応じて、どのような危険を予測し、どう安全を確保すべきかという実践的な判断力が問われる可能性が高い。特に、誤った民間療法や不適切な介入を排除し、患者の安全を最優先するという基本的な考え方を理解しているかを確認する問題が多い。
関連知識
てんかん発作時の一般的な対応原則(発作時間の計測、周囲の安全確保、救急車を呼ぶべき状況)、複雑部分発作の症状と特徴、てんかんの病態生理。