ドーパミンが主に神経伝達物質となっている部位はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
黒質緻密部はドーパミン作動性ニューロンが集中している脳幹の部位であり、大脳基底核の一部である線条体へドーパミンを投射する黒質線条体路の起点となります。この経路は運動調節に極めて重要で、ドーパミンはそこで主要な神経伝達物質として機能します。パーキンソン病ではこの黒質ドーパミンニューロンが変性することで、運動障害が生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。黒質緻密部はドーパミン作動性ニューロンが豊富に存在し、ドーパミンを産生・放出することで、大脳基底核ループを介した運動調節に重要な役割を果たします。特に黒質線条体路はドーパミンの主要な経路です。
- 2. 視床は感覚情報の中継点であり、ドーパミンが主要な神経伝達物質として機能する部位ではありません。正しくは:視床の主要な神経伝達物質はグルタミン酸(興奮性)やGABA(抑制性)です。ドーパミンは視床の活動を調節する役割はありますが、主要な伝達物質ではありません。選びやすい理由:脳の重要な部位であり、多様な神経伝達物質が関与しているため、漠然とした知識で選んでしまう可能性があります。混同注意:脳の主要な中継点としての役割や、他の神経伝達物質の機能と混同する可能性があります。
- 3. 小脳は運動の協調やバランスを司る部位であり、ドーパミンが主要な神経伝達物質ではありません。正しくは:小脳の主要な神経伝達物質はグルタミン酸(興奮性)やGABA(抑制性)です。一部のドーパミン線維が小脳に投射するものの、その機能は限定的です。選びやすい理由:運動機能に関わる重要な部位であるため、ドーパミンとの関連を誤って考えてしまうかもしれません。混同注意:ドーパミンが大脳基底核系の運動調節に関わることと、小脳の運動調節機能を混同する可能性があります。
- 4. 脳梁は左右の大脳半球を連結する神経線維の束であり、ドーパミンが主要な神経伝達物質として作用する部位ではありません。正しくは:脳梁は主に神経線維で構成され、情報伝達路としての役割を果たします。神経伝達物質の産生や放出が主要な機能ではありません。選びやすい理由:脳の構造の一部として名前が挙がるため、漠然と選んでしまう可能性がありますが、神経伝達物質の機能とは直接関係が薄いです。混同注意:脳の各部位の機能と、神経伝達物質の局在を区別できていない場合に選んでしまう可能性があります。
- 5. 前頭葉はドーパミンの投射を受け、実行機能や認知機能などに関与しますが、ドーパミンが主要な神経伝達物質として産生・放出される部位ではありません。ドーパミンにとっては『作用するターゲット部位』です。正しくは:前頭葉は中脳皮質路を介して腹側被蓋野からドーパミン投射を受け、その機能が調節されます。選びやすい理由:ドーパミンが前頭葉の機能、特に実行機能や報酬系に深く関与しているため、選びやすい選択肢です。混同注意:ドーパミンが作用する部位(ターゲット)と、ドーパミンを主要な神経伝達物質として産生・放出する部位(起源)を混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、主要な神経伝達物質とその主な産生部位、あるいはその伝達物質が最も重要な役割を果たす脳の領域に関する基礎知識を問うものです。特に、パーキンソン病との関連でドーパミンと黒質の関係は頻出テーマです。
混同注意
ドーパミンが『作用する部位』(例えば前頭葉や線条体)と、ドーパミンを『主に産生・放出する部位』(黒質)を混同しやすいです。また、他の主要な神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなど)の産生部位や経路と混同する可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、その神経伝達物質が脳のどこで『産生されるか』『主要な役割を果たすか』を問われているのか、それとも『作用するターゲット部位』を問われているのかを明確に判断することが重要です。特にドーパミンの場合は、運動調節における黒質の役割とパーキンソン病との関連が重要な手掛かりとなります。
関連知識
ドーパミン神経路には主に3つあります。(1)黒質-線条体路:運動調節(黒質から線条体へ)。(2)中脳辺縁系路:報酬、動機付け、情動(腹側被蓋野から側坐核などへ)。(3)中脳皮質路:認知機能、実行機能(腹側被蓋野から前頭前野へ)。このうち、本問題で問われている『主に神経伝達物質となっている部位』は、その産生と主要な機能が結びつく黒質が適切です。他の神経伝達物質では、セロトニンは縫線核、ノルアドレナリンは青斑核、アセチルコリンはマイネルト基底核などが主要な産生部位です。