日常生活場面で必要とされる記憶の障害を検出するのに最も適した検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
RBMT(Rivermead Behavioural Memory Test)は、名前を覚える、物を隠した場所を思い出す、約束を記憶するなど、日常生活で必要となる記憶能力を評価するために開発された検査です。そのため、質問文にある「日常生活場面で必要とされる記憶の障害を検出する」という目的に最も適しています。この検査は、記憶の生態学的妥当性(Ecological Validity)が高いと評価されています。
選択肢ごとの解説
- 1. HDS-Rは、認知症のスクリーニングを目的とした一般的な認知機能検査であり、記憶障害も評価対象ではありますが、日常生活場面に特化した行動レベルの記憶能力を直接的に評価するものではありません。正しくは:日常生活における行動面の記憶障害を評価するためには、HDS-Rのような包括的なスクリーニングよりも、特定の行動記憶に焦点を当てた検査がより適切です。選びやすい理由:記憶に関する項目が含まれるため、記憶障害の検出という問題文から連想されやすいです。混同注意:記憶検査全般と、日常生活に関連した記憶を評価する検査の区別ができていないと選びやすいです。
- 2. MMSEもHDS-Rと同様に、広範な認知機能のスクリーニングを目的とした検査です。記憶機能の一部を評価しますが、実生活で直面するような具体的な記憶の困難さを捉えるには限界があります。正しくは:日常生活での記憶機能の評価には、より行動に基づいたタスクを用いる検査が望ましいです。選びやすい理由:認知機能検査の代表格であり、記憶機能の項目があるため、選択肢として魅力的です。混同注意:全般的な認知機能スクリーニングと、行動的・生態学的記憶評価との違いが混同されやすいです。
- 3. RAVLTは、言語性学習および記憶の特定の側面(即時想起、遅延想起、再認など)を詳細に評価する検査ですが、その評価方法は実験的であり、実際の日常生活における記憶のパフォーマンスを直接的に反映するものではありません。正しくは:日常生活における記憶の評価には、より状況的な要素を含む行動記憶検査が適しています。選びやすい理由:記憶に特化した詳細な検査であるため、記憶障害の検出という点では正しいように見えます。混同注意:実験室的な記憶検査と、生態学的妥当性の高い行動記憶検査の区別ができていないと間違いやすいです。
- 4. 正解。RBMTは、日常生活で遭遇する記憶の課題(例:約束を思い出す、顔と名前を覚える、物を隠した場所を思い出す、新しい道順を覚えるなど)を模倣したタスクで構成されており、実生活における記憶障害の検出と評価に高い生態学的妥当性を持つため、最も適しています。
- 5. WMS-Rは、様々な種類の記憶(言語性記憶、視覚性記憶、即時記憶、遅延記憶など)を広範囲に評価できる包括的な記憶検査バッテリーですが、その標準化された評価項目は、必ずしも実際の日常生活場面での記憶の問題に直結するわけではありません。RBMTと比較すると、生態学的妥当性の観点では劣ります。正しくは:日常生活における記憶の評価には、WMS-Rのような標準化されたバッテリーよりも、行動に焦点を当てた検査がより実践的です。選びやすい理由:記憶を詳細に評価できる非常に有名な検査であるため、専門的な知識を持つと選びやすいです。混同注意:包括的な記憶検査と、日常生活に特化した行動記憶検査との違いが混同されやすいです。
国試ポイント
この問題は、記憶検査の種類とその目的、特に「日常生活」というキーワードに注目した検査の選択能力を問うものです。各検査がどのような記憶の側面を評価するのか、そしてどの程度の生態学的妥当性を持つのかを理解しているかが重要になります。
混同注意
多くの認知機能検査や記憶検査が存在するため、それぞれの検査が評価する記憶の側面(例:全般的スクリーニング、言語性記憶、視覚性記憶、行動的記憶)と、質問で問われている「日常生活場面」という条件との合致度を区別することが重要です。特に、WMS-Rのような包括的な検査と、RBMTのような行動に特化した検査の区別は間違いやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に類似する問題が出題された場合、「日常生活」や「行動場面」といったキーワードに着目し、その状況により即した、あるいは生態学的妥当性の高い検査を選ぶ視点が求められます。また、特定の記憶障害(例:相貌失認、失行など)を検出するための検査についても問われる可能性があります。
関連知識
記憶は短期記憶、長期記憶、作業記憶などに分類され、さらに長期記憶は陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非陳述記憶(手続き記憶、プライミング、古典的条件づけ、非連合学習)に細分化されます。これらの記憶障害は、高次脳機能障害の様々な原因で生じ得ます。記憶検査は、これらの記憶の側面を評価するために開発されており、各検査の特性を理解することが重要です。