切断後の幻肢で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
幻肢は、切断された部位の体性感覚情報が脳内で再編成されることで生じると考えられています。選択肢2のように、手や足などの末梢部分は皮質での表現領域が広いため、より鮮明に感じやすいとされています。また、選択肢4のように、術直後からの義肢装着は、断端への早期からの感覚入力や圧迫による疼痛緩和効果を通じて、幻肢や幻肢痛の予防・軽減に有効であると報告されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 小児期に切断した場合、幻肢は出現しにくい、あるいは比較的軽度であるとされています。これは、身体図式の確立が未熟であるためと考えられています。正しくは:幼少期に切断した場合、幻肢は現れにくいか、比較的軽度である傾向がある。選びやすい理由:子どもでも痛みを感じることはあるため、幻肢も同様に強く現れると誤解する可能性がある。混同注意:子どもの痛みの表現方法や心理的反応と、幻肢の出現メカニズムを混同しやすい。
- 2. 正解。幻肢は、手や足、指といった末梢神経支配が密な部位ほど、より鮮明に、かつ出現頻度も高いとされています。これは、体性感覚野におけるこれらの部位の皮質表現が広いためと考えられています。
- 3. 幻肢は、時間の経過とともに軽減したり、消失したりすることがあります。ただし、中には長期にわたって持続する場合もあります。正しくは:一度出現した幻肢は、時間経過とともに軽減したり、消失したりすることがある。選びやすい理由:慢性的な痛みや感覚障害は一度発症すると治りにくいというイメージから、幻肢も消失しないと考えてしまう可能性がある。混同注意:幻肢痛と幻肢の概念、およびその持続期間を混同しやすい。幻肢痛は難治性が多いが、幻肢自体は時間とともに変化する。
- 4. 正解。術直後義肢装着法(Immediate Postoperative Prosthesis:IPOP)は、断端の浮腫軽減、疼痛コントロール、そして幻肢や幻肢痛の予防・軽減に効果があると広く認識されています。早期に断端に感覚刺激を与えることで、皮質再編成を良い方向に導く効果が期待されます。
- 5. 一般的に、上肢切断の方が下肢切断よりも幻肢の出現頻度や強度が顕著であるとされています。これは、上肢、特に手の感覚が日常生活動作において重要であり、皮質表現も広範囲であることと関連しています。正しくは:下肢の切断に比べて、上肢の切断で幻肢がより強く現れやすい。選びやすい理由:下肢切断の方が歩行への影響が大きく、生活への支障も大きいことから、幻肢も強く感じやすいと誤解する可能性がある。混同注意:生活上の不便さと幻肢の出現頻度や強度を混同しやすい。身体図式や皮質表現の差が影響する。
国試ポイント
幻肢の基本的特性(出現部位、時期、持続期間、関連要因)と、その管理・予防に関する知識が問われています。特に、体性感覚野における身体部位の皮質マッピング、発達段階、および早期介入の重要性について理解しているかが鍵となります。
混同注意
幻肢と幻肢痛、その持続期間、そして具体的な介入方法(例:ミラーセラピー、術直後義肢装着)の効果を混同しやすい。また、小児期と成人期の幻肢の特性の違いもポイントです。
次に同じ論点が出たら
この論点からさらに踏み込む場合、幻肢痛の具体的な治療法(薬物療法、心理療法、リハビリテーション)、幻肢の出現メカニズムに関するより詳細な神経科学的知見、あるいは特定の疾患(例:脊髄損傷後の幻肢)における特殊性などが問われる可能性があります。
関連知識
体性感覚野の可塑性、身体図式、ミラーセラピー、断端ケア、義肢の早期導入の意義。