評価法と障害の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
WCSTは、被験者が複数の分類基準の中から適切なものを選び出し、その基準が変化した際に柔軟に対応できるかを見る検査です。この能力は遂行機能の中核をなすものであり、前頭葉機能の評価に特に有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. BADS(行動性注意評価尺度)は、注意障害、特に日常行動における注意機能の障害を評価するための尺度です。気分障害の評価には用いられません。正しくは:BADSは注意障害と組み合わせるのが適切です。選びやすい理由:BADSの『B』からBehavior(行動)を連想し、精神的な側面と結びつけてしまう可能性があります。混同注意:『気分』と『注意』という、精神機能に関わる障害の概念を混同する可能性があります。気分障害の評価にはBDI(ベックうつ病尺度)やHAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)などが用いられます。
- 2. MMPI(ミネソタ多相人格目録)は、パーソナリティ特性や精神病理を評価するための質問紙法です。注意障害の直接的な評価には用いられません。正しくは:MMPIはパーソナリティ障害や精神病理の評価に用いるのが適切です。選びやすい理由:MMPIが精神科領域で広く使われるため、様々な精神機能障害の評価と誤解しやすいです。混同注意:MMPIとWAIS(ウェクスラー成人知能検査)などの認知機能検査や、BADSのような特定の機能に特化した検査との区別が曖昧になりやすいです。
- 3. POMS(Profile of Mood States:気分尺度)は、現在の気分状態(例:緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱)を評価するための質問紙です。視知覚障害の評価には用いられません。正しくは:POMSは気分状態の評価に用いるのが適切です。選びやすい理由:POMSのPからPerception(知覚)を連想してしまうかもしれませんが、これはMood States(気分状態)の尺度です。混同注意:『知覚』と『気分』という異なる概念を混同する可能性があります。視知覚障害の評価には標準高次視知覚検査(VPTA)やRVRT(レーブン色彩漸進図)などが用いられます。
- 4. SPTA(標準高次視知覚検査)は、高次視知覚機能、すなわち物体の認知や空間関係の理解といった視覚情報処理の障害を評価するための検査です。記憶障害の評価には用いられません。正しくは:SPTAは視知覚障害の評価に用いるのが適切です。選びやすい理由:SPTAが脳機能障害全般の評価に使われるイメージから、記憶障害も含まれると誤解しやすいです。混同注意:SPTAとHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)やWMS-R(ウェクスラー記憶検査)などの記憶障害を評価する検査との区別が曖昧になりやすいです。
- 5. 正解。WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカードソーティングテスト)は、計画、問題解決、行動の柔軟性といった遂行機能の障害を評価するために広く用いられる検査です。概念形成やセットシフト能力などを評価します。
国試ポイント
この問題は、主要な心理検査や高次脳機能検査が、具体的にどの機能障害を評価するために用いられるかを正確に理解しているかを問うものです。各評価法の目的と対象疾患/障害の組み合わせを暗記するだけでなく、その検査が評価する機能の具体的な内容を理解することが重要です。
混同注意
多くの心理検査や高次脳機能検査は、名称が似ていたり、複数の機能にまたがって評価するように見えたりするため、それぞれの得意分野を混同しやすいです。特に、気分・注意・記憶・遂行機能・視知覚といった、臨床で遭遇しやすい高次脳機能障害の評価法は、それぞれが何に特化しているかを正確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、主要な評価法の名称と略称、およびそれがターゲットとする主要な高次脳機能障害を確実に結びつけられるかを確認します。また、それぞれの検査が具体的にどのような課題を通じて当該機能を評価するのか(例:WCSTはカード分類、BADSは特定行動の観察)まで踏み込んで理解しているかを問われる可能性があります。
関連知識
各検査の対象機能だけでなく、検査の形式(質問紙、パフォーマンステストなど)、検査時間、採点方法、代表的な適応疾患なども関連知識として重要です。例えば、BADSは行動観察を取り入れている点、MMPIが多項目である点、POMSが気分の日内変動を捉えやすい点なども学習すると理解が深まります。