作業遂行の評価の説明で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
役割チェックリストは、対象者が過去、現在、将来において担っている、あるいは担いたい役割について、その遂行度や価値を自己報告形式で評価するツールです。これにより、対象者の役割に対する認識や価値観を具体的に把握することが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 意志質問紙 (VQ) は、個人が環境とどのように相互作用し、どのような動機付けを持っているかを観察を通じて評価するツールであり、生活満足度を直接評価するものではありません。正しくは:意志質問紙 (VQ) は、作業行動における意志的な側面(動機付け、価値観、関心)を評価するものです。選びやすい理由:「意志」という言葉から、主体的な感情である満足度と結びつけやすいかもしれません。混同注意:生活満足度を評価する尺度(例:満足度尺度、QOL尺度)と混同しやすいです。
- 2. AMPSは、対象者が実際に意味のある日常生活活動を行う様子を観察し、その際の運動技能と処理技能の質を評価する、観察ベースの標準化された評価ツールです。質問紙ではありません。正しくは:AMPSは、対象者が実際に日常生活活動を行う様子を観察し、その際の運動技能と処理技能の質を評価するものです。選びやすい理由:多くの評価が質問紙形式であるため、AMPSもそうだと誤解しやすいです。混同注意:患者自己報告式の質問紙評価(例:COPM)と混同しやすいです。
- 3. 興味チェックリストは、対象者が過去・現在・未来においてどのような活動に興味を持っているか、その強さや参加の程度を把握するためのものであり、活動への満足度を直接評価するものではありません。正しくは:興味チェックリストは、対象者が興味を持っている作業活動の種類や程度を評価するものです。選びやすい理由:「興味」がある活動には満足度も伴うと連想しやすいです。混同注意:COPMのような、自己認識された遂行満足度を評価するツールと混同しやすいです。
- 4. COPMは、対象者が自身の作業遂行上の問題点を特定し、その遂行度と満足度を自己評価する、クライエント中心の評価ツールです。運動技能や処理技能といった具体的なスキルの質を客観的に評価するものではありません。正しくは:COPMは、対象者が重要と考える作業領域における遂行度と満足度を自己評価するものです。選びやすい理由:作業遂行能力全般を評価するツールであるため、技能の評価も含まれると誤解しやすいです。混同注意:AMPS(運動・処理技能の観察評価)や、FIMなどの機能評価と混同しやすいです。
- 5. 正解。役割チェックリストは、対象者が過去、現在、そして将来においてどのような社会的役割(学生、主婦、労働者など)を担ってきたか、現在担っているか、あるいは将来担いたいかを特定し、それぞれの役割に対してどの程度の価値を認識しているかを評価するツールです。これにより、個人の役割の知覚と価値観を把握できます。
国試ポイント
作業療法で用いられる主要な評価ツールの目的と内容を正確に理解しているかが問われています。特に、各評価が何を『評価しないか』を理解することも重要です。
混同注意
各評価ツール(VQ、AMPS、興味チェックリスト、COPM、役割チェックリスト)の名前と評価内容が混同しやすい。特に「満足度」「技能」「役割」「興味」といったキーワードが異なるツールで部分的に関連するため、それぞれの主たる評価対象を明確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後も主要な作業療法評価ツールの目的、評価方法、評価対象、そしてそれがどのような理論的背景(MOHO、クライエント中心など)に基づいているかを問われる可能性が高い。各評価ツールの具体的な実施方法や結果の解釈も重要となる。
関連知識
MOHO(人間作業モデル)に基づく評価ツール群(VQ、興味チェックリスト、役割チェックリスト、OCSなど)の全体像と、それぞれの特徴。COPMのクライエント中心性。AMPSの観察による技能評価の特性。各評価ツールの対象者、評価方法(質問紙、観察、面接など)、評価項目、得られる情報。