うつ病患者の作業療法で適切な作業活動はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
うつ病患者は集中力や持続力が低下しやすく、また自己肯定感が低いため、活動を途中でやめても罪悪感を抱きにくい、あるいは再開しやすい「中断が容易な」活動が適しています。これにより、活動への心理的なハードルを下げ、成功体験を積み重ねやすくなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。うつ病患者は集中力や持続力が低下しており、活動を途中で中断しても罪悪感を感じにくい、または再開しやすい活動が適しています。これにより、活動へのハードルが下がり、参加しやすくなります。
- 2. 疲労感を自覚しにくい活動は、患者が無意識のうちに過度な負担を抱えてしまうリスクがあります。うつ病患者は疲れやすいため、自分の疲労に気づき、適度な休息を取れるような活動が望ましいです。正しくは:疲労感を自覚し、休憩をとりながら行える活動。選びやすい理由:うつ病患者は疲れやすいため、疲れを感じない活動が良いと思われがちですが、疲労の自覚は活動量の調整に不可欠です。混同注意:活動による疲労と、精神的な消耗の区別。疲労がないことは良いことのように思えるため。
- 3. うつ病患者は自尊感情が低下していることが多いため、他者との比較で劣等感を感じやすい活動は避けるべきです。自己肯定感を損なう可能性があり、治療の妨げになります。正しくは:他者との比較が少なく、個人のペースで進められる活動。選びやすい理由:達成感を刺激するために競争が有効と考えるかもしれませんが、うつ病患者には逆効果です。混同注意:健常者や回復期の患者に行うような活動と、急性期のうつ病患者に行う活動の区別。
- 4. 複雑な活動は集中力の低下しているうつ病患者にとって負担が大きく、途中で挫折しやすいです。挫折感は自己肯定感をさらに低下させる可能性があります。達成感は重要ですが、達成可能なレベルの活動を選ぶべきです。正しくは:簡単で短時間で完了でき、達成感を積み重ねられる活動。選びやすい理由:達成感は重要であるため、この選択肢が魅力的に映るかもしれませんが、複雑さや難易度が過剰である点が不適切です。混同注意:目標設定の重要性と、活動の難易度の区別。達成感は必要だが、そのための難易度は段階的に調整すべき。
- 5. 病前の状態と比較することは、現在の自己の能力低下を強く認識させ、絶望感や劣等感を増幅させる可能性があります。特に病初期には、過去との比較は避けるべきです。正しくは:現在の能力で無理なく取り組める、その人にとって意味のある活動。選びやすい理由:回復の目標として病前の水準を意識することはあるため、一見良さそうに見えますが、活動選択の段階では避けるべきです。混同注意:リハビリテーションの最終目標としての病前水準と、現在の活動選択における基準の混同。
国試ポイント
うつ病患者の作業療法における活動選択の基本原則が問われています。患者の精神状態(集中力低下、自尊心低下、疲労感の自覚)を考慮した上で、負担が少なく、成功体験を積み重ねやすい活動を選ぶことが重要です。
混同注意
達成感や目標設定の重要性と、うつ病患者の特性を踏まえた活動難易度の調整の区別。特に「達成感」というキーワードに惑わされやすいですが、患者の能力レベルに合った実現可能な達成感であるかが重要です。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、選択肢の活動が患者の心理的・身体的負担を増やすものでないか、自己肯定感を損なわないか、という視点で判断します。特に、「他者との比較」「複雑さ」「病前の水準との比較」といった、患者に劣等感や挫折感を与えやすい要素に注意します。
関連知識
うつ病患者の作業療法の原則:活動への導入段階では、難易度を低くし、短い時間で達成可能な活動を選ぶ。他者との比較を避け、個人のペースで取り組める活動を推奨する。自己肯定感を高めるための成功体験の積み重ねを重視する。具体的な活動例としては、単純な手工芸、簡単な家事、散歩など。