Danielsらの徒手筋力テスト(段階1及び0)の検査肢位で正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
選択肢2の前鋸筋は、患者が座位で腕を前方挙上する動作に対して、検者が肩甲骨の内側縁を把持して抵抗を加える検査肢位は、徒手筋力テストにおいて適切です。選択肢5の長橈側手根伸筋は、患者が前腕回内位で手を背屈する動作に対して、検者が第2中手骨頭付近に抵抗を加える検査肢位は、徒手筋力テストにおいて適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 腹直筋の徒手筋力テストでは、体幹屈曲動作に対して、検者が患者の胸部や肩に抵抗を加えるのが一般的です。図の検査肢位は、体幹の安定性を確認しているようにも見えますが、抵抗を加える動作が明確でなく、Danielsらの徒手筋力テストの腹直筋の標準的な検査肢位とは異なります。正しくは:腹直筋の検査肢位は、仰臥位で膝関節屈曲位とし、患者は両腕を胸の前で組むか、頭の後ろで組んで体幹を屈曲させます。検者は抵抗を加える際、患者の胸部上部に抵抗を加えます。選びやすい理由:腹直筋の検査であることは理解できるものの、具体的な抵抗の加え方や肢位の細部まで正確に覚えていないと、この図が正しいように見えてしまう可能性があります。混同注意:腹直筋のMMTにおける抵抗の加え方や、腹斜筋など他の体幹筋の検査肢位。また、腹直筋の筋力評価は腹筋群全体の機能評価と混同されることがあります。
- 2. 正解。前鋸筋の徒手筋力テストでは、患者は座位で検査側の肩関節を130度程度外転・屈曲させ、上肢を前方挙上させます。検者は、患者の肩甲骨の内側縁を下方・後方に圧迫するように抵抗を加えることで、前鋸筋の作用である肩甲骨の外転・上方回旋に抗します。この図は、まさにこの正しい検査肢位と抵抗の加え方を示しています。選びやすい理由:前鋸筋の作用と検査肢位が直接的に結びつくため、正しい選択肢として判断しやすいです。混同注意:三角筋や僧帽筋など、肩関節の挙上に関わる他の筋のMMT。特に肩甲骨の安定性に関わる筋のため、他の肩甲骨周囲筋の検査と混同しやすいです。
- 3. 僧帽筋中部線維の徒手筋力テストでは、患者は腹臥位で肩関節を90度外転し、肘関節を90度屈曲させます。この状態で、患者は肩甲骨を脊柱に引き寄せ(内転)、検者は肘関節の近位に抵抗を加えます。図では、患者が腹臥位で肩関節を90度外転しているように見えますが、肘関節が屈曲しておらず、抵抗を加える部位も肘関節の近位ではなく、肩甲骨の上縁付近に見えるため、適切な検査肢位ではありません。正しくは:僧帽筋中部線維の検査肢位は、腹臥位で肩関節を90度外転させ、肘関節を90度屈曲させます。患者は肩甲骨を内転させ、検者は肘の近位で肩甲骨内転に抵抗を加えます。選びやすい理由:僧帽筋の検査であることは理解できるため、図の姿勢がそれらしく見える可能性があります。特に腹臥位での肩の運動は、僧帽筋の関与が大きいため、大まかなイメージで正しいと判断してしまうかもしれません。混同注意:僧帽筋の上部線維や下部線維、菱形筋など、他の肩甲骨周囲筋の検査肢位。特に肩甲骨の動きに関わる筋のため、他の肩甲骨周囲筋の検査と混同しやすいです。
- 4. 上腕三頭筋の徒手筋力テストでは、患者は座位または仰臥位で肩関節を90度屈曲させ、肘関節を完全に伸展させます。検者は、前腕の遠位端に抵抗を加え、肘関節の屈曲に抗します。図では、患者の肩関節は屈曲しておらず、肘関節も完全に伸展していません。また、検者が抵抗を加えている部位も上腕部であり、標準的な検査肢位と異なります。正しくは:上腕三頭筋の検査肢位は、座位または仰臥位で肩関節を90度屈曲させ、肘関節を伸展させます。検者は、前腕の遠位端に抵抗を加え、肘関節屈曲に抗するように指示します。選びやすい理由:上腕三頭筋が肘関節伸展筋であるという知識から、肘を伸ばそうとしているような動作に見えるため、正しいと判断してしまう可能性があります。混同注意:上腕二頭筋の検査肢位や、他の肘関節の筋力テスト。また、上腕筋など拮抗筋の検査と混同されることがあります。
- 5. 正解。長橈側手根伸筋の徒手筋力テストでは、患者は前腕回内位で手指を軽度屈曲させ、検者は第2中手骨頭の掌側に抵抗を加え、手関節の背屈に抗します。この図は、前腕回内位で手関節を背屈しようとする動作に対して、検者が第2中手骨頭付近に抵抗を加えている様子を示しており、適切な検査肢位です。選びやすい理由:手根伸筋群の作用と検査肢位が直接的に結びつくため、正しい選択肢として判断しやすいです。混同注意:短橈側手根伸筋や尺側手根伸筋など、他の手根伸筋群の検査肢位。また、手関節屈筋群の検査と混同しやすいです。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)の各筋の検査肢位、固定部位、抵抗を加える部位を正確に覚える。
混同注意
MMTの検査肢位と抵抗方向は、重力の影響を考慮した重力に抗する肢位(Grade 3〜5)と、重力の影響を排除した肢位(Grade 2)で異なるため、混同しないように注意が必要です。特に、抵抗を加える方向や固定する部位が重要です。
次に同じ論点が出たら
徒手筋力テストに関する問題が出題された場合は、まず画像や文章から評価対象の筋と検査肢位を特定し、その筋の作用と重力の影響を考慮した抵抗方向が正しいかを判断します。
関連知識
徒手筋力テストは、Danielsらの評価段階に基づき、Grade 5(正常)からGrade 0(麻痺)までの6段階で評価します。各筋の検査では、主動作筋を最大限に活動させるための適切な肢位、不必要な代償運動を防ぐための固定、そして抵抗を加える方向と部位が重要となります。