脳卒中による片麻痺Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅳの患者における治療について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Brunnstromステージ下肢Ⅳは共同運動からの分離が進み、一部の選択的運動が可能となる段階です。この段階では、麻痺側下肢への荷重は固有受容性入力を増加させ、立位バランスや荷重側下肢の安定性を改善し、歩行に必要な体重移動能力の獲得に繋がるため、適切な治療介入となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 緊張性頸反射(ATNRなど)は、共同運動が強く出現するBrunnstromステージI〜IIIの早期段階で原始反射の誘発・利用を試みることはありますが、選択的運動の獲得を目指すステージⅣにおいては、むしろ共同運動を促し分離運動を妨げるため、積極的に利用することは適切ではありません。正しくは:共同運動からの分離を目指すため、反射の抑制や選択的運動の促通を行う。選びやすい理由:原始反射が麻痺の初期段階で治療に利用されることがあるため、有効な手段と誤解されやすい。混同注意:Brunnstromステージの初期段階における共同運動の利用。
- 2. 正解。Brunnstrom下肢Ⅳは、共同運動からの分離が進み、選択的運動が可能な段階です。立位での麻痺側下肢への荷重は、固有受容性入力を促し、バランス反応を改善し、歩行時の体重移動能力の獲得に不可欠な要素であるため、このステージにおいて適切な治療介入です。選びやすい理由:正しい治療戦略として適切であるため、迷わず選択しやすい。
- 3. 長下肢装具は、麻痺側下肢の支持性や安定性が著しく低い場合(BrunnstromステージI〜III、またはそれ以下で膝折れや足関節の不安定性が強い場合)に用いられることが一般的です。下肢Ⅳでは共同運動からの分離が進んでおり、むしろ装具に過度に頼らず、自身の筋力で支持能力を高める訓練が重要となります。装具を使用するとしても、短下肢装具などより自由度の高いものが検討されることが多いです。正しくは:Brunnstromステージ下肢Ⅳの患者では、支持性が向上しているため、歩行練習は装具を徐々に減らしたり、より自由度の高い短下肢装具や裸足での訓練を検討する。選びやすい理由:歩行訓練に装具が用いられることがあるため、一見正しいように見える。混同注意:下肢支持性が低い初期段階での装具利用。
- 4. Brunnstrom上肢・手指Ⅲは共同運動が出現・強化される段階であり、まだ選択的運動が困難です。この段階で重錘を用いた反復運動を行うと、共同運動パターンを強化したり、異常な筋緊張を高めたりする可能性があります。また、分離運動が未熟な段階での過度な負荷は、代償運動を誘発しやすく、機能改善を妨げる恐れがあります。まずは共同運動の利用から分離運動の促通へ段階的に進める必要があります。正しくは:まずは共同運動を利用した運動や、軽負荷での選択的運動の準備、または随意的な運動範囲内での自動運動を促す。重錘を用いた反復運動は、分離運動が獲得されたステージIV以降で検討する。選びやすい理由:筋力強化に重錘が用いられるため、リハビリとして適切に見える。混同注意:分離運動が十分に獲得された段階での筋力強化訓練。
- 5. 非麻痺側上肢を拘束し麻痺側を強制的に使用させるCI療法(Constraint-Induced Movement Therapy:強制使用療法)は、BrunnstromステージIV以降で、ある程度の随意的な手指の伸展や把持能力が認められる患者が適応となります。本患者の上肢・手指はステージⅢであり、まだ共同運動が主で選択的運動が不十分な段階であるため、CI療法の効果は期待しにくく、むしろ過度なストレスとなる可能性があります。正しくは:CI療法は、Brunnstromステージ上肢・手指がIV以上で、ある程度の分離運動や手指の伸展・把持能力が認められる患者に適用を検討する。選びやすい理由:CI療法が脳卒中リハビリの有効な手段として知られているため、選択肢として魅力的である。混同注意:CI療法の適応となる運動機能レベル(主にBrunnstromステージIV以降)。
国試ポイント
脳卒中片麻痺におけるBrunnstromステージ分類とその各ステージに応じた適切な治療戦略を理解しているか。
混同注意
各Brunnstromステージでの運動特性(共同運動の出現・強化・分離)と、それに対応する治療目標や具体的な介入方法が混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
Brunnstromステージと治療の関連を問う問題が出題された場合、まず提示された上肢・手指・下肢それぞれのステージを確認し、そのステージの運動特性(共同運動の程度、選択的運動の可否)を把握した上で、そのステージに合致する治療目標と介入方法が選択されているかを判断します。
関連知識
BrunnstromステージI〜VIの各ステージの特徴、各ステージで目標とする運動機能、各ステージに適したリハビリテーション介入(例:ステージII/IIIでは共同運動の利用と強化、ステージIV以降では共同運動からの分離と選択的運動の獲得)。CI療法(強制使用療法)の適応ステージ。