うつ病の回復期の作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
うつ病の回復期は、心身のエネルギーがまだ十分でない段階であり、過度な負担は再燃のリスクを高めます。そのため、適度な運動は心身のリズムを整え、気分転換や達成感をもたらし、セロトニンなどの神経伝達物質の活性化にも寄与するため、非常に有効な介入となります。無理のない範囲で取り入れることが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。うつ病の回復期には、心身のリズムを整え、意欲向上や自己効力感を高めるために、適度な運動を取り入れることが有効です。セロトニンなどの神経伝達物質の活性化も期待できます。
- 2. うつ病の回復期では、集中力や記憶力の低下が残存していることが多いため、無理に記憶を促すよりも、メモやスケジュール帳などの補助具を活用して負担を軽減し、達成感を味わうことが重要です。正しくは:記憶力低下を補うため、メモやスケジュール帳などの補助具の使用を積極的に勧める。選びやすい理由:記憶力は回復すべき機能と考えるため、直接的な訓練が良いと思われがち。混同注意:認知機能の訓練と、現在の状態に合わせた代償的アプローチの区別。
- 3. うつ病の回復期では、疲労感や倦怠感が残りやすいため、無理な活動は避けるべきです。十分な休憩を挟みながら、段階的に活動量を増やしていくことが基本となります。正しくは:疲労を考慮し、十分な休憩を確保しながら、活動量を徐々に増やしていく。選びやすい理由:身体的な「回復」を運動能力の向上と結びつけやすい。混同注意:健常者向けの運動プログラムと、うつ病患者の段階的アプローチの違い。
- 4. 回復期であっても、その日の体調や精神状態には波があります。無理に計画通りに進めようとすると、失敗体験となり自己肯定感を損ねる可能性があるため、柔軟な対応が求められます。正しくは:体調や精神状態に合わせて、活動内容や量を柔軟に調整できるようにする。選びやすい理由:計画通りにこなすことが治療効果を高めると考えがち。混同注意:ルーティン化の重要性と、個別の状態への柔軟な対応のバランス。
- 5. 自信の回復には成功体験の積み重ねが不可欠です。しかし、高すぎる負荷は失敗を招きやすく、自己効力感をさらに低下させるリスクがあります。達成可能な、少し頑張ればできる程度の課題から始めるべきです。正しくは:達成可能な、少し頑張ればできる程度の課題から始め、小さな成功体験を積み重ねる。選びやすい理由:「自信を取り戻す」という目的自体は正しいため、そのための手段として挑戦的な負荷が良いと思われがち。混同注意:適切な挑戦と過度な負荷の区別。
国試ポイント
うつ病の回復期における作業療法では、患者の精神状態や身体状態に合わせた「段階的」「漸進的」なアプローチが問われます。特に、心身の負担を考慮しつつ、成功体験を積み重ねるための介入が重要視されます。過度な要求や負荷は避けるべき、という点がポイントです。
混同注意
うつ病の治療初期(急性期)のアプローチ(休養が最優先)や、健常者の一般的な活動介入と混同しやすい。また、認知行動療法における活動活性化の原則は回復期にも応用されるが、その際の活動の選択や負荷設定が重要となる。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、うつ病の「病期」と「患者の状態(疲労度、意欲、認知機能など)」をまず確認し、それに応じた「段階的」「成功体験を重視する」「負担軽減」という視点から選択肢を判断する。
関連知識
うつ病の病期ごとの治療原則(急性期、回復期、維持期)、認知行動療法における行動活性化、運動療法の精神疾患への効果、自己効力感の概念、ストレスマネジメント。