統合失調症の認知機能障害の改善に焦点を当てたプログラムとして、パソコン上の教育用ソフトウェア課題を用いるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
NEAR (Neuropsychological Educational Approach to Remediation) は、統合失調症の認知機能障害に対する訓練プログラムであり、コンピュータベースの反復課題を用いて注意、記憶、遂行機能などの改善を目指します。これは、パソコン上の教育用ソフトウェア課題を用いるという問題文の条件に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. IPSは、精神疾患を持つ人の就労支援に特化したプログラムであり、認知機能障害の直接的な改善を目的としたコンピュータベースの課題訓練ではありません。正しくは:就労支援に特化した個別プログラムである。選びやすい理由:統合失調症のリハビリテーションの一環として知られているため、関連性があると感じるかもしれない。混同注意:認知機能訓練と就労支援プログラムの区別。
- 2. 正解。NEARは、統合失調症患者の認知機能障害を改善するために開発されたプログラムで、コンピュータを用いた反復的な認知課題訓練を特徴としています。学習理論に基づき、成功体験を通じて動機付けを高めながら、注意、記憶、遂行機能などを向上させることを目指します。
- 3. WRAPは、自己管理とリカバリーを支援する計画作成プログラムであり、ストレス管理やウェルネス維持が主眼です。認知機能障害の直接的な訓練にコンピュータを用いるものではありません。正しくは:自己管理とリカバリーのための計画作成プログラムである。選びやすい理由:統合失調症のセルフケア支援として広く知られているため、一般的なリハビリテーション介入と混同しやすい。混同注意:認知機能訓練と自己管理・リカバリー支援プログラムの区別。
- 4. MCTは、統合失調症患者にみられる認知の歪みや思考の偏りを修正することを目的とした集団認知行動療法で、メタ認知能力の向上を目指します。コンピュータを用いた課題訓練ではなく、口頭でのディスカッションや思考実験が中心です。正しくは:メタ認知の偏りや認知の歪みを修正する集団認知行動療法である。選びやすい理由:「認知」という言葉が含まれるため、認知機能訓練と誤解しやすい。また、統合失調症に対する有効な介入として知られている。混同注意:認知機能「障害」の訓練と、認知の「歪み」を修正するメタ認知訓練の区別。
- 5. SCITは、統合失調症患者の対人関係における社会認知能力の改善を目的としたプログラムです。感情認識や社会的推論のスキル向上を目指しますが、コンピュータを用いた課題訓練が中心ではありません。正しくは:社会認知能力と対人交流スキルの向上を目的とした集団療法である。選びやすい理由:「認知」という言葉が含まれ、統合失調症の重要な課題である社会生活への適応に関連するため、選択肢として魅力的。混同注意:広義の「認知機能」改善と、特定の側面(社会認知)に特化した介入の区別。また、コンピュータ使用の有無。
国試ポイント
統合失調症に対する様々な介入プログラムの内容と目的、特に認知機能障害へのアプローチ方法を区別できるかが問われています。各プログラムの名称と、それがどのような目的で、どのような手段を用いるか(例:コンピュータ使用の有無、個別か集団か)を正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
「認知」という言葉がつくプログラム(MCT, SCIT)や、統合失調症の一般的なリハビリテーションプログラム(IPS, WRAP)と混同しやすい。特に、認知機能「障害」の改善に特化し、かつ「コンピュータ使用」という具体的な手段が問われているため、MCTやSCITのような認知の「歪み」や「社会認知」に焦点を当てたプログラムとの違いを明確にする必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後も統合失調症や他の精神疾患に対する各種リハビリテーションプログラムの内容、特にその目的、介入方法(集団/個別、〇〇訓練/心理教育など)、および主要なツール(コンピュータ、マニュアルなど)が問われる可能性が高いです。各プログラムの具体的な特徴を比較・対照できるように学習すると効果的です。
関連知識
統合失調症のリハビリテーションには、大きく分けて症状改善、社会機能改善、認知機能改善、リカバリー支援など多様なアプローチがあります。認知機能リハビリテーションにはNEARの他に、CRT(Cognitive Remediation Training)などがあります。それぞれのプログラムの提唱者、主な実施方法、対象とする機能、期待される効果についても理解を深めると良いでしょう。