がんのリハビリテーションの緩和期の対応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
がんの痛みの緩和において、定時鎮痛は非常に重要な原則です。痛みが強くなる前に薬を規則的に使用することで、痛みを安定的にコントロールし、患者さんの苦痛を軽減し、QOLを維持することができます。これはWHOのがん疼痛治療の3段階ラダーでも強調されている考え方です。
選択肢ごとの解説
- 1. 緩和ケアや緩和期リハビリテーションの主な目的は、患者さんの苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を向上させることです。延命は必ずしも主な目的ではありません。正しくは:治療の主目的はQOLの向上と苦痛の緩和です。選びやすい理由:がん治療全体で考えれば延命も重要な要素であるため、混同しやすい。混同注意:がん治療の積極的治療期と緩和期の目的。
- 2. 骨転移がある場合でも、痛みのコントロール下で適切な運動を行うことで、QOLの維持や廃用症候群の予防につながります。過度な安静は逆効果となることがあります。ただし、病的骨折のリスクを考慮した上での運動制限や安全指導は必要です。正しくは:骨転移があっても、痛みを管理し、病的骨折のリスクを考慮しながら、可能な範囲で活動を促します。選びやすい理由:骨転移による骨折リスクを懸念して、安静が必要だと考えやすい。混同注意:安静の必要性と過度な安静による弊害。
- 3. 正解。がんの痛みの管理では、痛みが発現するのを待ってから服用するのではなく、効果が切れる前にあらかじめ定時で投与することで、安定した鎮痛効果を維持し、痛みの増強を防ぐことが重要です。これは「時間ごとの定時投与」の原則です。選びやすい理由:痛みが現れた時にだけ薬を飲む『屯用』が一般的な解熱鎮痛剤のイメージと重なるため、迷う可能性がある。混同注意:屯用投与と定時投与の使い分け。
- 4. 緩和ケアは、がんと診断された早期から、治療と並行して提供されるべきであり、余命の長さにかかわらず必要に応じて導入されます。特にリハビリテーションは、患者さんの状態に応じて早期から関与することで、QOLの維持・向上に寄与します。正しくは:緩和期のリハビリテーションは、余命に関わらず、がんと診断された早期から必要に応じて開始されます。選びやすい理由:終末期医療のイメージと混同し、余命が短い場合にのみ適用されると誤解しやすい。混同注意:緩和ケアの開始時期と終末期の定義。
- 5. PSが4は「活動の大部分をベッドか椅子に限定される」状態を指しますが、すべての運動を中止するわけではありません。残存能力に応じたADL訓練や、苦痛緩和のための体位変換、関節可動域訓練などは継続されることがあります。完全に中止すると廃用症候群を促進してしまいます。正しくは:PSが4と評価された場合でも、患者の苦痛緩和や残存機能の維持・向上を目指し、可能な範囲での運動や活動を継続することがあります。選びやすい理由:PSスコアが高いほど重症度が高いため、活動を完全に制限すべきだと考えやすい。混同注意:PSスコアによる活動制限の厳格な適用と、個別対応の必要性。
国試ポイント
がんのリハビリテーションにおける緩和期の基本的な考え方、特に疼痛管理の原則や活動レベルの判断が問われています。緩和ケアは延命目的ではなくQOL向上、そして骨転移があっても適切な活動は重要であり、PSスコアが高くても全く動かないわけではない点がポイントです。
混同注意
積極的治療期の目標と緩和期の目標、一般的な安静の指示と緩和期における活動の意義、頓用(痛い時だけ)と定時(時間ごと)の薬剤投与。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、緩和ケアの対象時期(診断早期から)、リハビリテーションの目的(QOL向上、ADL維持)、具体的な介入(疼痛管理、廃用予防、精神的サポート)に注目して判断する。
関連知識
WHO方式がん疼痛治療法、Performance Status(PS)の評価基準、廃用症候群の予防、がん性疼痛の種類と対処法。