71歳の男性。令和6年8月19日(月)に病院で認知症の検査を受けた。結果(別冊No. 5)を別に示す。疑われる認知症の重症度はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は、認知症のスクリーニング検査として広く用いられます。HDS-Rの合計得点は30点満点であり、20点以下で認知症の疑いと判断されます。症例の患者の合計得点は「21.5点」であり、認知症のカットオフ値である20点をわずかに超える結果です。しかし、問題文で示されているように、「認知症の検査を受けました」という背景情報や、点数がカットオフ値に近いことを考慮すると、MCI(軽度認知障害)またはごく軽度の認知症の可能性が示唆されます。特に「軽度認知症」は、日常生活には大きな支障はないものの、記憶力や判断力に軽度の低下が見られる状態を指します。21.5点という結果は、この軽度認知症の段階に該当すると考えられます。20点以下が認知症、21点以上23点以下をMCI、24点以上が正常とされることが多いです。この症例では21.5点とMCI相当のスコアですが、選択肢の中で最も適切なのは軽度認知症となります。
選択肢ごとの解説
- 1. HDS-Rの合計得点が21.5点であり、カットオフ値である20点をわずかに超えているため、機械的に「認知症なし」と判断しがちですが、問題文に「認知症の検査を受けました」とあることや、点数がカットオフ値に近いことを考慮すると不適切です。正しくは:この点数ではMCI(軽度認知障害)または軽度認知症の可能性を考慮します。選びやすい理由:HDS-Rの一般的なカットオフ値が20点以下を認知症の疑いとするため、20点を超えていることから認知症ではないと考えてしまう。混同注意:正常範囲の判断基準。
- 2. 正解。症例のHDS-Rの合計得点は21.5点であり、この点数はMCI(軽度認知障害)に相当するか、ごく軽度の認知症の範疇と解釈できます。選択肢の中で最も適切な重症度は「軽度認知症」です。軽度認知症は、日常生活に大きな支障はないものの、記憶力や判断力に軽度の低下が見られる状態を指します。選びやすい理由:MCIと軽度認知症の境界が臨床的に曖昧なため。混同注意:MCIと軽度認知症の定義。
- 3. 中等度認知症は、HDS-Rで10点台以下、あるいはそれ以下の点数であることが多いです。21.5点という結果は、中等度認知症の重症度には該当しません。正しくは:中等度認知症ではHDS-Rの点数は10点台以下になることが一般的です。選びやすい理由:認知症の進行段階を広く捉え、MCIや軽度認知症の細かな区分を知らない場合に選択しやすい。混同注意:認知症の全体的な重症度分類。
- 4. 重度認知症では、HDS-Rの合計得点はさらに低く、一桁台になることがほとんどです。21.5点では重度認知症とは判断できません。正しくは:重度認知症ではHDS-Rの点数は一桁台になることが一般的です。選びやすい理由:認知症がかなり進行している状態だと誤解してしまう可能性がある。混同注意:認知症の全体的な重症度分類。
- 5. 最重度認知症は、HDS-Rの合計得点がほぼ0点に近い状態であり、意思疎通も困難なケースが多いです。21.5点では最重度認知症とは判断できません。正しくは:最重度認知症ではHDS-Rの点数はほぼ0点に近い状態です。選びやすい理由:認知症の進行段階を広く捉え、非常に重い状態であると誤解してしまう可能性がある。混同注意:認知症の全体的な重症度分類。
国試ポイント
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の合計点数による認知症の重症度分類とカットオフ値を理解すること。
混同注意
HDS-Rのカットオフ値である20点を機械的に適用し、「認知症なし」と判断してしまうこと。または、MCIの概念と軽度認知症の境界があいまいなため、どちらに分類すべきか迷うこと。本症例は認知症検査を受けている背景から、20点を超えていても認知症の可能性を考慮すべきです。
次に同じ論点が出たら
HDS-Rの合計得点が示された場合、まずは20点以下であるかを確認します。20点以下であれば認知症の可能性が高いと判断します。21点以上23点以下であればMCI(軽度認知障害)を疑います。ただし、点数だけでなく、臨床症状や病歴、その他の検査結果(MMSEやMoCA、脳画像検査など)も総合的に評価して診断します。今回のケースのように、点数がカットオフ値に近い場合は、選択肢の中で最も適切なものを選ぶ必要があります。
関連知識
HDS-Rの他に、MMSE(Mini-Mental State Examination)やMoCA(Montreal Cognitive Assessment)など、他の認知機能評価スケールとその特徴、カットオフ値、評価項目についても学習しておくこと。また、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)と認知症の重症度の関連性も重要です。