78歳の男性。病室からリハビリテーション室まで歩いて来室した。到着後に息苦しく動悸がすると訴えたため、直ちに心電図検査が施行された。心電図(別冊No. 4)を別に示す。心電図の所見で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下図の心電図所見では、P波が完全に消失し、代わりに基線が細かく不規則に揺れ動くf波(細動波)が認められます。また、QRS波形は比較的正常で、そのR-R間隔が完全に不規則である「絶対的RR不整」を呈しています。これらの特徴は、心房細動の典型的な心電図所見と一致します。患者が動悸と息苦しさを訴えている状況とも整合します。
選択肢ごとの解説
- 1. 心室細動は、心室が不規則かつ無秩序に収縮し、QRS波形が不明瞭で、基線が大きく波打つ特徴があります。この心電図ではQRS波形がはっきりしており、この所見とは異なります。正しくは:この心電図は心房細動の所見を示しています。選びやすい理由:重篤な不整脈であるという点では共通しますが、心電図波形の特徴が異なります。混同注意:心室細動と心房細動は名前が似ていますが、心電図上の波形と病態の重症度が大きく異なります。
- 2. 心室頻拍は、規則的な広幅QRS波が連続して出現し、心拍数が非常に速くなる状態です。この心電図ではQRS波は比較的正常幅で、R-R間隔も不規則であり、心室頻拍の特徴とは異なります。正しくは:この心電図は心房細動の所見を示しています。選びやすい理由:頻拍性不整脈であるという点では共通しますが、心電図波形の特徴が異なります。混同注意:心室頻拍と心房細動では、心電図上のQRS波の幅やR-R間隔の規則性が異なります。
- 3. 正解。この心電図では、P波が消失し、基線が細かく不規則に動揺するf波(細動波)が認められます。また、R-R間隔が完全に不規則で、QRS波形は正常幅です。これらは典型的な心房細動の所見です。正しくは:記載の通り、心房細動の所見です。選びやすい理由:この波形から心房細動を正確に判断できます。混同注意:心房粗動(P波の代わりにのこぎり歯状のF波が出現)や、他の頻拍性不整脈と混同しないことが重要です。
- 4. 心室性期外収縮は、正常な洞調律中に異常なタイミングで広幅で変形したQRS波が出現し、P波を伴わない単発の収縮です。この心電図ではR-R間隔が全体的に不規則であり、単発の期外収縮ではなく持続的な不整脈のパターンを示しています。正しくは:この心電図は心房細動の所見を示しています。選びやすい理由:不整脈の一種であるため選択肢に入りやすいですが、全体的な波形パターンが異なります。混同注意:期外収縮は単発性のものであるのに対し、心房細動は持続性の不整脈です。波形の特徴も異なります。
- 5. 完全房室ブロックでは、心房のP波と心室のQRS波が全く関係なく出現し、R-R間隔は規則的で、心房と心室がそれぞれ独立したリズムで動きます。この心電図ではR-R間隔が不規則であり、P波が消失しているため、完全房室ブロックの所見とは異なります。正しくは:この心電図は心房細動の所見を示しています。選びやすい理由:徐脈性不整脈の選択肢ですが、この患者は動悸を訴えており、また心電図波形も異なります。混同注意:房室ブロックは伝導障害であり、心房細動は興奮発生の異常であるため、心電図波形が大きく異なります。
国試ポイント
頻拍性不整脈、特に心房細動の典型的な心電図所見を正確に識別できるかどうかが問われています。P波の有無、RR間隔の規則性、QRS波の幅が識別のポイントとなります。
混同注意
心房細動と心房粗動、心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動など、他の不整脈の心電図所見と混同しやすいです。それぞれの特徴的な波形(P波、F波、f波、QRS波の幅や形、RR間隔)を確実に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、心房細動だけでなく、心房粗動、心室頻拍、心室細動などの主要な頻拍性不整脈の心電図所見を画像で正確に識別できるか、また、それぞれの病態や臨床症状、合併症について知識があるかを確認します。
関連知識
心電図の判読は、不整脈の種類だけでなく、虚血性心疾患や電解質異常、薬物による影響なども読み取れるように学習しておく必要があります。特に心房細動は、脳梗塞のリスクと関連するため、その病態生理や治療法(抗凝固療法など)も理解しておくべきです。