失行の検査でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
選択肢3の「日常物品の名前を答えてもらう」は、物品の呼称能力を評価するものであり、失語症の症状の一つである失名詞や、物品失認などの認知機能障害の検査項目です。失行は、運動麻痺や失調がないにもかかわらず、意図した動作を適切に遂行できない状態を指し、その評価には、道具の使用、身振り、一連の複雑な動作の遂行などが含まれます。したがって、物品の名称を答えることは失行の検査には該当しません。
選択肢ごとの解説
- 1. これは観念運動失行や観念失行の評価として一般的です。複雑な一連の動作の遂行能力を評価できます。正しくは:お茶を注ぐ動作は、道具の使用や複数の段階からなる行為の計画・実行能力を見るため、失行の検査として適切です。選びやすい理由:一見すると簡単な動作に見えるため、失行の評価としては不十分だと誤解するかもしれませんが、一連の行為を評価する目的では重要です。混同注意:失語症による指示理解の困難と混同することがあります。
- 2. 道具を使った具体的な動作の模倣や実行は、観念運動失行や肢節運動失行の評価に用いられます。正しくは:道具を使用した目的のある動作は、失行の検査として有効です。選びやすい理由:複雑な動作であるため、失行の評価として適切だと認識されやすいです。混同注意:単純な運動麻痺による困難と混同することがあります。
- 3. 正解。これは失語症(特に失名詞)や認知症の検査であり、失行の評価ではありません。失行は動作の障害を指し、物品の呼称能力とは直接関係がありません。正しくは:物品の呼称能力は失語症の検査項目です。失行の評価には、物品を使用する動作の指示や模倣が含まれます。選びやすい理由:検査の一環として行われることもあるため、失行の評価項目の一部だと誤解する可能性があります。しかし、これは呼称能力の評価であり、動作の評価ではありません。混同注意:物品失認や視覚失認と混同することがあります。物品失認は物品の認識障害であり、呼称困難を伴うことがありますが、これも失行とは異なります。
- 4. 身振り・ジェスチャーの模倣や指示による実行は、観念運動失行の評価として非常に重要です。正しくは:具体的な指示に基づいて身振りを行う動作は、失行の検査として適切です。選びやすい理由:日常的な簡単な動作であるため、失行の評価としては不十分だと誤解するかもしれませんが、観念運動失行の典型的な評価項目です。混同注意:言語理解の困難(失語症)と混同することがあります。
- 5. 道具を実際に使用せず、仮想の道具を使って動作を模倣させることは、観念運動失行の評価において重要な項目です。正しくは:道具がない状況での身振りや模倣動作は、失行の検査として非常に有効です。選びやすい理由:道具を実際に使わないため、評価として不十分だと感じるかもしれませんが、観念運動失行の評価でよく用いられます。混同注意:具体的な道具の使用を伴う観念失行の評価と混同することがあります。
国試ポイント
失行の概念と、その種類(観念運動失行、観念失行、肢節運動失行など)ごとの典型的な症状および評価方法を正確に理解しているかを問う問題です。特に、失行と失語症、失認など、他の高次脳機能障害との鑑別が重要です。
混同注意
失語症(特に失名詞)、失認(物品失認)、運動麻痺、運動失調。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、各高次脳機能障害(失語、失認、記憶障害、注意障害など)の定義と、それぞれの代表的な評価方法について詳細に確認する。特に、症状が重複して見える場合の鑑別ポイントを押さえる。
関連知識
失行の分類(観念失行、観念運動失行、肢節運動失行、構成失行、着衣失行など)、それぞれの特徴的な症状、評価バッテリー(例: 標準失行症検査、高次脳機能検査の一部)、失語症の種類と症状、失認の種類と症状。