転移・逆転移で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
転移とは、患者が過去の重要な人物に対する感情や態度を無意識的に治療者に向け替える現象を指します。一方、逆転移とは、治療者が患者に対して抱く無意識的な感情や反応を指し、これは患者の転移に誘発されることがよくあります。両者は相互に影響し合う関係にあります。選択肢2がこの相互作用を最も正確に表現しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 陰性転移の解釈は、患者の抵抗や精神病理を理解し、治療関係を進展させるために重要な治療プロセスの一部です。避けるべきではありません。正しくは:陰性転移の解釈は、治療関係の深化や患者の洞察促進のために積極的に行うべきである。選びやすい理由:陰性転移が治療関係を悪化させるのではないかという懸念から、解釈を避けるべきだと考えてしまうかもしれない。混同注意:患者の不快な感情に触れることへのためらいと、治療的介入の区別が曖昧になっている可能性がある。
- 2. 正解。患者が治療者に対して抱く無意識的な感情(転移)は、治療者側の無意識的な感情反応(逆転移)を誘発することがよくあります。両者は相互作用的です。選びやすい理由:この選択肢は、転移と逆転移の相互関係を正確に記述しており、専門家にとって基本的な知識であるため、比較的選びやすい。混同注意:転移と逆転移が独立した現象であると誤解している場合、この相互作用を見過ごすかもしれない。
- 3. 逆転移は治療者の無意識的な反応ですが、適切に認識し分析することで、患者の理解を深めるための貴重な情報源となり、治療に役立てることができます。必ずしも阻害要因とは限りません。正しくは:逆転移は、治療者が適切に自己認識し利用することで、患者理解を深める情報源となり得る。選びやすい理由:逆転移が治療者の私的な感情と結びつきやすく、客観性を損なうイメージがあるため、治療の阻害因子と捉えがちである。混同注意:逆転移を単純な感情的反応と捉え、その治療的活用を見落としている。
- 4. 逆転移は、治療者が患者に対して無意識的に抱く感情や思考、態度を指します。意識的な反応は含まれません。正しくは:逆転移は、治療者が患者に対して無意識的に抱く感情や思考、態度である。選びやすい理由:患者に対する治療者の感情を全て逆転移と誤解し、意識的な感情も含むと考えてしまうかもしれない。混同注意:意識的な感情と無意識的な感情、特に逆転移の定義が混同されている。
- 5. 陽性転移は治療関係の基盤となり得ますが、治療の目標は患者がその転移を理解し、現実的な対人関係を築けるようになることです。陽性転移の出現自体が目標ではありません。正しくは:心理治療の目標は、患者が転移を理解し、現実的な対人関係を築けるようになることである。選びやすい理由:陽性転移が治療を進める上で好ましい側面を持つため、それが目標であると錯覚しやすい。混同注意:治療関係の良好さと、治療の最終目標が混同されている。
国試ポイント
転移と逆転移の定義、両者の相互関係、そして治療におけるその意義(特に逆転移の活用可能性)を理解しているかが問われています。
混同注意
転移と逆転移のそれぞれがどのような現象で、特に逆転移が必ずしも治療の阻害因子ではないという点が誤解されやすいです。また、意識的な感情と無意識的な感情の区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、転移・逆転移の定義だけでなく、それが治療プロセスにどのように影響し、どのように活用され得るか(特に治療者の自己分析の重要性)に注目して判断する。
関連知識
精神分析学、心理療法における治療関係論、防衛機制、対象関係論。