疾患と病因・病理学的変化の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の髄鞘が破壊される自己免疫性の脱髄疾患です。髄鞘(ミエリン)が脱落することで神経伝達が障害され、多様な神経症状を呈します。
選択肢ごとの解説
- 1. クロイツフェルト・ヤコブ病は、プリオン蛋白の異常によって引き起こされる進行性の神経変性疾患です。しかし、選択肢の病因・病理学的変化は「神経変性疾患」と疾患の種類を繰り返しているだけで、具体的な病因・病理学的変化を説明していません。プリオン病として知られています。正しくは:クロイツフェルト・ヤコブ病:プリオン病選びやすい理由:クロイツフェルト・ヤコブ病が神経変性疾患であることは事実なので、一見正しく見えます。しかし、問われているのは「病因・病理学的変化」であり、単なる疾患の種類を繰り返しているだけでは不十分です。混同注意:疾患の種類と、疾患の具体的な病因・病理学的変化を混同しやすいです。
- 2. パーキンソン病は、中脳の黒質におけるドパミン産生ニューロンの変性・脱落を特徴とする神経変性疾患です。腫瘍性疾患(がんなど)ではありません。正しくは:パーキンソン病:神経変性疾患(黒質ドパミンニューロンの変性)選びやすい理由:疾患名としては非常に有名なので、なんとなく関連があるように感じてしまうかもしれません。混同注意:神経変性疾患と腫瘍性疾患は全く異なる分類であり、混同の余地は少ないですが、知識が曖昧だと誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。
- 3. 肝性脳症は、肝機能の著しい低下により、アンモニアなどの有害物質が脳に蓄積することで発症する代謝性脳症です。細菌やウイルスによる感染が原因ではありません。正しくは:肝性脳症:代謝性脳症(肝機能不全に伴う有害物質の蓄積)選びやすい理由:脳症という言葉から、何らかの異常が脳に起きていることは想像できますが、それが感染性だと誤解する可能性があります。混同注意:代謝性脳症と感染性疾患を混同しやすいです。肝性脳症の「肝性」という部分を見落とし、脳症という言葉だけで判断すると誤答する可能性があります。
- 4. 多系統萎縮症は、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群に分類される、神経細胞の変性を主体とする神経変性疾患です。脳血管の異常による脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)ではありません。正しくは:多系統萎縮症:神経変性疾患選びやすい理由:「萎縮」という言葉から、何らかの器質的変化があることは想像できますが、それが脳血管疾患であると誤解する可能性があります。混同注意:神経変性疾患と脳血管疾患を混同しやすいです。両者とも中枢神経系の障害ですが、病態メカニズムが根本的に異なります。
- 5. 正解。多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)において、髄鞘が破壊される自己免疫性の脱髄疾患です。この組み合わせは正しいです。
国試ポイント
国家試験では、主要な疾患とその病態生理、原因、病理学的変化の組み合わせが頻繁に問われます。特に、類似した症状を持つ疾患や、病態が複雑な疾患については、正確な知識が求められます。この問題のように、各選択肢で異なる疾患カテゴリからの知識を横断的に問う形式もよく見られます。
混同注意
神経変性疾患、代謝性疾患、感染症、自己免疫疾患など、疾患の分類と病態生理を正確に理解しておく必要があります。特に、神経疾患は原因や病態が多岐にわたるため、個々の疾患の特徴を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、疾患名だけでなく、その疾患がどの主要な疾患カテゴリ(例:神経変性、炎症、脱髄、代謝、感染、腫瘍など)に属し、具体的にどのような病因・病理学的変化が起きているかを区別できるかを確認します。特に、珍しい疾患名ではなく、基本的かつ重要な疾患に関する正確な知識が問われる傾向にあります。
関連知識
・クロイツフェルト・ヤコブ病:プリオン病、異常プリオン蛋白による神経細胞障害。・パーキンソン病:α-シヌクレインの蓄積、レビー小体形成。・肝性脳症:肝不全による血中アンモニア濃度上昇、AST/ALT上昇。・多系統萎縮症:オリゴデンドログリア内封入体(GCI)形成、α-シヌクレインの蓄積。