PTSD〈外傷後ストレス障害〉に関する対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
PTSD患者に対する心理教育は、自身の反応が心的外傷後の一般的なものであることを理解させることで、不安を軽減し、自己効力感を高めるために非常に重要です。これにより、患者は自分の症状を客観的に捉え、治療へのモチベーションを高めることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 曝露療法は効果的な治療法ですが、症状が軽減するまで継続的に実施されることが一般的であり、短期間で終了させるべきという制限はありません。むしろ、時間をかけて徐々に暴露することが重要です。正しくは:曝露療法は、症状の軽減に合わせて段階的に、そして継続的に実施する。選びやすい理由:患者への負担を考慮すると、短い期間で治療を終えたいと考えるのは自然な発想です。混同注意:他の急性期の介入(例:危機介入)と混同し、短期間での解決を目指すべきだと誤解する可能性があります。
- 2. 心的外傷直後に詳細な体験を語らせることは、かえって再トラウマ化や症状の悪化を招くリスクがあります。急性期には、まずは安全を確保し、精神的な安定を図ることが優先されます。正しくは:外傷を経験した直後は、安全確保と精神的安定を最優先し、無理に詳細な体験を語らせることは避ける。選びやすい理由:心の整理を促すために話すことが良いと一般的に思われがちです。混同注意:通常のカウンセリングにおける傾聴の姿勢と混同し、早期に傾聴すべきだと誤解する可能性があります。
- 3. 集団療法やピアサポートは、PTSD患者が孤立感を感じにくくし、共感を得ることで回復を促進する効果が期待できます。ただし、適切なタイミングと環境設定が重要です。正しくは:集団の中での体験共有は、適切なタイミングと環境で行えば、孤立感の軽減や共感の獲得に繋がり、治療に有効な場合がある。選びやすい理由:繊細な内容であるため、他者と共有することに抵抗がある患者もいると想像し、一律に避けるべきだと考えてしまうかもしれません。混同注意:プライバシーの保護や再トラウマ化のリスクを過度に強調し、集団での治療全てを避けるべきだと誤解する可能性があります。
- 4. 正解。PTSDにおける心理教育は非常に重要です。患者自身が自身の反応が異常なものではなく、心的外傷後の一般的な反応であることを理解することで、不安の軽減や自己効力感の向上に繋がります。これにより、症状への対処法を学びやすくなります。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:心理教育は治療の基本的な要素であり、患者が自身の状態を理解する上で不可欠です。混同注意:具体的な治療法(例:曝露療法、認知行動療法)ではないため、重要性を低く評価してしまうかもしれませんが、治療の土台として極めて重要です。
- 5. 心理的応急処置(PFA: Psychological First Aid)は、危機的状況や外傷体験直後の心理的動揺が大きい段階で提供される介入です。安全の確保、心の落ち着き、社会的なつながりの回復などを目的とし、動揺が収まるのを待つのではなく、早期に実施されます。正しくは:心理的動揺が激しい、あるいは外傷体験直後の段階で、心理的応急処置(PFA)を実施する。選びやすい理由:動揺している患者に介入することに躊躇し、落ち着いてからの方が効果的だと考えてしまうかもしれません。混同注意:通常の心理療法やカウンセリングの開始時期と混同し、ある程度の安定が必要だと誤解する可能性があります。
国試ポイント
PTSDの初期介入や基本的な治療原則に関する知識が問われています。特に、急性期の対応(心理的応急処置のタイミング、詳細な体験の語らせ方)と、治療における心理教育の重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
心理的応急処置(PFA)のタイミングと、本格的な心理療法の開始時期を混同しやすいです。また、曝露療法や集団療法の目的と適応時期についても正確な理解が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、PTSDの治療法に関する問題が出た場合、具体的な治療法の効果や限界、適応と禁忌、そして各治療段階でのOTの役割に注目して学習する。
関連知識
PTSDの診断基準(DSM-5)、認知行動療法(CBT)、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)、トラウマインフォームドケア、危機介入の原則、心理的応急処置(PFA)の具体的な内容。