注意欠如・多動性障害の患者の就労に関して適切な助言はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
注意欠如・多動性障害(ADHD)を持つ方は、外部からの刺激に注意が向きやすく、集中力が途切れやすいという特性があります。そのため、仕事に集中できるよう、個人の作業スペースを確保したり、集中できる時間帯を設けるなど、外部からの刺激を遮断し、注意の転導を防ぐ環境を整えることが非常に有効です。これにより、タスクへの集中力が高まり、業務の効率化が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. ADHDのある方は、優先順位付けが苦手な場合が多く、それに固執しないと作業がさらに混乱する可能性があります。むしろ、優先順位を明確にし、それを守るための工夫が求められます。正しくは:仕事の優先順位を明確にし、計画的に取り組む方法を一緒に考える。選びやすい理由:変化への柔軟性が必要な場面もあるため、一見良さそうに見える。混同注意:柔軟性を持つことと、優先順位付けの重要性を混同しやすい。
- 2. ADHDのある方は、注意の転導性や衝動性があるため、タスクの実行方法を多様化すると、かえって混乱したり、一つのことに集中しにくくなったりする可能性があります。定型的なアプローチやルーティン化が有効な場合が多いです。正しくは:タスクの実行方法をシンプルにし、ルーティン化を図ることで集中しやすい環境を整える。選びやすい理由:創造性を重視する仕事では良いとされるため、一般的な仕事のスキルと誤解しやすい。混同注意:創造性や柔軟な発想が求められる場面でのアプローチと、ADHDの特性に合わせた集中・定着のアプローチを混同しやすい。
- 3. ADHDの特性を理解し、職場環境や業務内容で適切な配慮(例:集中できる場所の確保、明確な指示、休憩の調整など)を求めることは、安定した就労を継続するために非常に重要です。適切な配慮は障害者雇用促進法などに基づき、合理的配慮として認められています。正しくは:自身の特性を理解してもらい、必要に応じて周囲に合理的配慮を求めることの重要性を伝える。選びやすい理由:周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから、配慮を求めない方が良いと判断しがち。混同注意:自己完結することの美徳と、障害特性に対する合理的配慮の必要性を混同しやすい。
- 4. 正解。ADHDのある方は、外部からの刺激に敏感で、注意が散漫になりやすい特性があります。集中を維持するためには、雑音や人の出入りが少ない、自分だけの作業空間や時間を持つことが非常に有効な工夫の一つです。正しくは:(正答のため修正不要)
- 5. IT機器やデジタルツールは、ADHDのある方にとって、スケジュール管理、タスクのリマインダー、情報整理など、苦手な部分を補完するための非常に有効な手段となり得ます。適切に活用することで、業務遂行能力の向上が期待できます。正しくは:便利なIT機器やデジタルツールを積極的に活用し、自身の特性に合った使い方を見つけるよう勧める。選びやすい理由:スマートフォンの通知などで集中が途切れる可能性があるため、使用しない方が良いと誤解しがち。混同注意:デジタルツールの「使い方」の問題と、ツールそのものの「有効性」を混同しやすい。
国試ポイント
ADHDの特性理解と、それに対する具体的な就労支援・環境調整策が問われています。ADHDの中核症状(不注意、多動性、衝動性)が仕事にどう影響し、それをどう補うかという視点が重要です。特に、集中力を維持するための環境調整は頻出の論点です。
混同注意
ADHDの特性に対する一般的な社会通念的な対応策と、専門的なアプローチが混同されやすいです。例えば、「頑張ればできる」「周りに合わせるべき」といった考え方ではなく、個別の特性に合わせた合理的配慮が重要であるという理解が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、ADHDの特性(不注意、多動性、衝動性)が日常生活や社会生活(特に就労)に与える具体的な影響と、それに対する個別的な環境調整、ツールの活用、コミュニケーション方法などの支援策が適切に理解できているかを確認する。特に、ポジティブな側面(例:創造性、エネルギー)とネガティブな側面(例:計画性の困難、衝動的な行動)の両方を踏まえた総合的な支援が問われる可能性がある。
関連知識
ADHDの診断基準(DSM-5)、合理的配慮の概念、障害者雇用促進法、職場におけるADHD支援プログラム、作業療法における生活機能向上アプローチ。