嚥下機能で反回神経麻痺により障害される期はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
反回神経は迷走神経の枝であり、主に喉頭の運動(声帯の開閉)と感覚、および咽頭収縮筋の一部を支配しています。嚥下の咽頭期は、食塊を咽頭から食道へと迅速に送り込むと同時に、気道への流入(誤嚥)を防ぐための複雑な反射が起こる段階です。具体的には、喉頭蓋の閉鎖、声帯の閉鎖、喉頭の挙上、咽頭収縮による食塊の移動が含まれます。反回神経麻痺によって声帯の閉鎖不全や咽頭収縮力の低下が生じると、食塊が気管に流入し誤嚥したり、咽頭に食塊が残留したりするため、咽頭期に重篤な嚥下障害が発生します。
選択肢ごとの解説
- 1. 反回神経は喉頭の運動と感覚を支配する神経であり、食物の認知や摂取準備を行う嚥下の先行期には直接関与しません。先行期は主に高次脳機能や摂食行動に関連します。正しくは:嚥下の先行期は、食物の認識や摂取の準備を行う段階です。これに反回神経麻痺は直接影響しません。選びやすい理由:嚥下過程の最初の段階であるため、なんとなく選びたくなるかもしれませんが、反回神経の機能とは関連が薄いです。混同注意:摂食行動全体と嚥下の特定の段階の区別が曖昧な場合に混同する可能性があります。
- 2. 嚥下の準備期は、口腔内で食物を咀嚼し唾液と混ぜて食塊を形成する段階です。反回神経は主に喉頭の機能に関与するため、この段階には直接的な影響を与えません。正しくは:嚥下の準備期は、口腔内で食物を咀嚼し食塊を形成する段階です。反回神経麻痺はここには直接関与しません。選びやすい理由:口腔内の段階であるため、嚥下の初期症状として捉えがちですが、反回神経の主要な支配領域ではありません。混同注意:準備期と口腔期、咽頭期の区別が不明瞭な場合に間違える可能性があります。
- 3. 嚥下の口腔期は、舌の動きによって食塊を口腔から咽頭へ送り込む段階です。舌の運動は主に舌下神経によって支配されており、反回神経の主要な支配領域ではありません。正しくは:嚥下の口腔期は、舌の動きで食塊を咽頭へ送り込む段階です。反回神経は直接的な役割を果たしません。選びやすい理由:食塊が咽頭へ移行する直前の段階であるため、咽頭期と混同して関連付けてしまうかもしれません。混同注意:舌下神経麻痺による口腔期障害と混同する可能性があります。
- 4. 正解。反回神経は迷走神経の枝であり、輪状甲状筋以外の喉頭筋(声帯の開閉に関わる筋肉)と咽頭収縮筋の一部を支配しています。また、喉頭粘膜の感覚にも関与します。嚥下の咽頭期では、喉頭の挙上、喉頭蓋の閉鎖、声帯の閉鎖、咽頭収縮による食塊の移送が同時に起こり、誤嚥を防ぐ重要なプロセスです。反回神経麻痺があると、これらの機能が障害され、声帯が閉鎖できずに誤嚥したり、食塊が咽頭に残留したりするため、咽頭期に最も顕著な嚥下障害が現れます。
- 5. 食道期は、食道の蠕動運動によって食塊を胃へ送る段階です。反回神経は食道上部(横紋筋部分)の運動にも関与する可能性はありますが、嚥下障害として最も顕著かつ直接的な影響が現れるのは咽頭期です。食道全体の蠕動運動は迷走神経の支配や食道壁内の神経叢によって調整され、反回神経麻痺による食道期の障害は咽頭期ほど主要ではありません。正しくは:食道期は、食道の蠕動運動によって食塊を胃へ送る段階です。反回神経麻痺による食道期の障害は、咽頭期ほど直接的かつ重篤ではありません。選びやすい理由:嚥下の一連の流れの最終段階に近いことから、広範な影響を考え選んでしまうかもしれません。しかし、食道期そのものの蠕動運動は迷走神経の本幹や食道内神経叢の役割が大きいです。混同注意:迷走神経の広範な支配と反回神経の特定の役割が混同される可能性があります。
国試ポイント
嚥下機能の各段階とその生理学的特徴、および各段階に関与する神経支配について正確に理解しているかが問われます。特に、特定の神経麻痺がどの嚥下段階に直接的かつ主要な影響を与えるかという知識は重要です。
混同注意
嚥下の各期(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)の具体的な機能とその主要な神経支配を混同しやすいです。また、迷走神経の他の枝(上喉頭神経など)や、嚥下に関わる他の脳神経(舌下神経、舌咽神経、三叉神経など)の機能と反回神経の役割を区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず『問われている神経がどの器官のどの機能を支配しているか』を正確に特定し、次に『その器官の機能が嚥下のどの段階で重要な役割を果たすか』を判断することで正答にたどり着くことができます。特に、誤嚥防止メカニズムに関わる神経支配に注目しましょう。
関連知識
嚥下の5期の定義とそれぞれの主要なプロセス、迷走神経(第X脳神経)の解剖学的走行と支配領域(特に反回神経と上喉頭神経の機能の違い)、喉頭の解剖と生理(声帯の開閉メカニズム、喉頭挙上、喉頭蓋の役割)、反回神経麻痺の原因とそれによって生じる嚥下症状(嗄声、誤嚥)について理解しておく必要があります。