立位姿勢時の重心で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
加齢により、平衡感覚器の機能低下、筋力低下、反応速度の低下などが生じ、立位姿勢を安定して保つ能力が低下するため、重心動揺の範囲が拡大します。これは生理的な老化現象として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 閉眼は身体の平衡感覚を司る視覚情報が遮断されるため、重心動揺は増大しますが、特定の方向(後方など)に恒常的に移動するわけではありません。むしろ不安定性が増し、動揺範囲が広がります。正しくは:目を閉じると重心の動揺範囲が広がり不安定になりますが、特定の方向に移動するわけではありません。選びやすい理由:閉眼すると不安定になる、という感覚から、何らかの重心の変化があると想像しやすいですが、具体的な移動方向とは異なります。混同注意:重心動揺の増大と、重心の特定の方向への恒常的な移動を混同している可能性があります。
- 2. 閉眼すると、平衡を保つための主要な情報源である視覚が失われるため、身体は不安定になり、重心動揺は増加します。これはRomberg徴候の原理です。正しくは:目を閉じているときは、重心の揺れが増加します。選びやすい理由:集中力が高まることで動揺が減少すると誤解するかもしれませんが、視覚情報に頼る度合いが大きいと動揺は増大します。混同注意:身体の制御能力と外界情報の利用(特に視覚)との関係性を混同している可能性があります。
- 3. 一般的に、ヒトの立位姿勢では、前後方向の重心動揺が左右方向よりも大きいとされています。これは、足関節の背屈・底屈の可動域が内外反より大きく、また支持基底面が前後方向に長いため、前後方向への動揺許容範囲が広いことに起因します。正しくは:重心の揺れは、左右方向よりも前後方向の方が大きいです。選びやすい理由:足部が左右方向に広いというイメージから、左右の動揺が大きいと錯覚しやすいかもしれません。しかし、足関節の動きの特性がより重要です。混同注意:足関節の可動域や支持基底面の形状が重心動揺の大きさに与える影響に関する知識が不足していると誤解しやすいです。
- 4. 重心線(重力線)は、立位時において膝関節の中心より「前方」1~2cmを通ります。これにより、膝関節には伸展モーメントが働き、筋活動が少なくても膝関節の伸展位が維持され、安定した立位が可能になります。後方を通ると屈曲モーメントが生じ、膝が折れやすくなります。正しくは:重心線は、膝関節の中心より前方1~2cmを通ります。選びやすい理由:漠然と膝関節付近を通過するという知識はあっても、前方か後方かの詳細を覚えていないと間違えやすいでしょう。混同注意:重心線が関節に対してどの位置を通るかによって生じるモーメントの方向(伸展か屈曲か)を混同しやすいです。
- 5. 正解。加齢に伴い、視覚・前庭覚・体性感覚といった平衡機能に関わる感覚器の機能が低下し、また筋力や反応速度も衰えるため、立位姿勢を維持する能力が低下します。結果として、重心の制御が不安定になり、重心動揺の範囲(面積)は増大します。
国試ポイント
立位姿勢における重心の動態や、平衡機能に関わる要因(視覚、加齢、関節との位置関係など)に関する基本的な知識が問われています。特に、正常な身体の重心位置、重心動揺の特性、そして年齢による変化は頻出です。
混同注意
重心の絶対的な位置と重心動揺の範囲、また各関節に対する重力線と筋活動の関係性を混同しやすいです。視覚情報の有無が重心動揺に与える影響もよく問われます。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出題された際は、重心動揺の評価指標(総軌跡長、面積、速さなど)の意味、それぞれの指標がどのような要因で変化するか、疾患との関連性(例:パーキンソン病、小脳失調症などによる重心動揺の特徴)にも注目すると良いでしょう。
関連知識
Romberg徴候、姿勢制御のメカニズム(感覚入力、中枢処理、運動出力)、支持基底面と重心の関係、各関節における重力線の通過位置と安定性(モーメントの概念)。