うつ病の症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
うつ病の主要な感情症状として、喜びや興味の喪失、抑うつ気分、そして自分を責める気持ちや無価値感が挙げられます。特に無価値感は、うつ病患者が自己評価を著しく低下させ、絶望感を抱く根源的な感情であり、時に自殺念慮にも繋がる重要な症状です。他の選択肢は、躁病や統合失調症で特徴的に見られる症状であり、うつ病の症状とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 観念奔逸は思考の速さが増し、次々に新しい考えが浮かび、話がとまらなくなる状態を指します。これは主に躁病エピソードでみられる症状です。正しくは:うつ病では思考抑制や思考制止といった、思考が停滞したり進まなくなる症状が見られます。選びやすい理由:精神疾患における思考障害の一つであるため、一見関連があるように見えます。混同注意:思考抑制、思考制止、思考途絶など、思考に関する多様な症状と混同しやすいです。
- 2. 誇大妄想は、自分には特別な能力がある、非常に裕福である、偉大な人物であるといった、現実離れした過大な内容の妄想を指します。これは躁病や統合失調症でよく見られる症状です。正しくは:うつ病では、貧困妄想、罪業妄想、心気妄想といった微小妄想が特徴的です。選びやすい理由:妄想は精神疾患で広く見られる症状であるため、うつ病にも関係すると誤解しやすいです。混同注意:微小妄想(貧困、罪業、心気妄想)とうつ病で関連する妄想の種類が異なることを混同しやすいです。
- 3. 思考奪取は、自分の考えが他者によって引き抜かれていると感じる体験であり、統合失調症によく見られる一次症状(Schneiderの一次症状)の一つです。正しくは:うつ病における思考の障害は、思考の遅延や停滞(思考抑制・制止)が主な特徴です。選びやすい理由:思考に関する異常体験であるため、精神疾患全般で考えられると誤解しやすいです。混同注意:思考制止、思考途絶、思考伝播など、さまざまな思考の異常体験と混同しやすいです。
- 4. 思考途絶は、思考の流れが突然中断され、その中断が自分には関係なく外部から起こったように感じられる体験です。これも統合失調症の一次症状として典型的です。正しくは:うつ病では、思考の進行が遅くなったり(思考抑制)、思考そのものが止まってしまったりする(思考制止)症状が特徴的です。選びやすい理由:思考の停止や中断はうつ病の思考抑制と似ているように感じられるため、選択肢として魅力的です。混同注意:思考抑制や思考制止はうつ病でよく見られますが、思考途絶は思考の流れが『突然、不随意に中断される』という質的な違いがあります。
- 5. 正解。うつ病では、自分自身の価値を極端に低く評価し、「自分は無能だ」「生きている価値がない」と感じる無価値感が非常に特徴的な中核症状の一つです。これは罪悪感や自責の念にもつながります。
国試ポイント
この問題は、主要な精神疾患における症状の鑑別に関する基本的な知識を問うものです。特にうつ病、躁病、統合失調症の代表的な症状を明確に区別できるかどうかがポイントになります。思考の異常や感情の異常について、各疾患でどのような特徴があるかを正確に理解している必要があります。
混同注意
精神科の疾患は多岐にわたり、共通する症状もあれば、疾患に特異的な症状もあります。特に思考に関する異常(思考抑制、思考制止、思考途絶、観念奔逸など)や感情に関する異常(抑うつ、躁状態、無価値感、高揚感など)、さらには妄想の種類(微小妄想、誇大妄想など)は混同しやすく、それぞれの疾患との結びつきを正確に覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、疾患名(うつ病、躁病、統合失調症など)とそれに関連する中核症状、特に感情、思考、知覚の異常について、より詳細な鑑別能力が問われる可能性があります。また、身体疾患に伴う精神症状や薬剤性精神症状との鑑別も重要になります。
関連知識
うつ病の診断基準(DSM-5やICD-10/11)、抑うつ気分、興味・喜びの喪失、睡眠障害、食欲不振、疲労感、精神運動性焦燥または制止、集中力・思考力の低下、死への念慮・自殺企図、罪悪感、微小妄想(貧困妄想、罪業妄想、心気妄想)。躁病の症状(高揚気分、易刺激性、観念奔逸、誇大妄想、睡眠欲求の減少など)。統合失調症の陽性症状(妄想、幻覚、思考障害、思考奪取、思考途絶など)と陰性症状。