頭部MRIのT2強調像(別冊No. 2①〜⑤)を別に示す。正常圧水頭症の状態を示すのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
正常圧水頭症のMRI所見では、脳室の拡大(特に側脳室の下角・前角の拡大)、脳室周囲の透過性亢進(T2強調像で高信号域)、そして脳表の脳溝が比較的狭い、または脳室の拡大に比して脳溝が不釣り合いに狭い(DESHサイン)といった特徴が見られます。選択肢④の画像は、これらの正常圧水頭症に典型的な所見を最も明確に示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. この画像は正常圧水頭症の典型的な所見を示していません。正常圧水頭症では脳室の拡大が見られますが、この画像ではそのような特徴が明確ではありません。正しくは:脳室が拡大し、特に側脳室が大きく、脳溝が比較的狭い状態の画像が正常圧水頭症を示します。選びやすい理由:一見すると脳室がわずかに拡大しているように見えるかもしれませんが、他の選択肢と比較すると特徴が弱いです。混同注意:他の一般的な脳疾患による脳室拡大や脳萎縮と混同しやすいです。
- 2. この画像は正常圧水頭症の所見とは異なります。正常圧水頭症に特徴的な脳室の著しい拡大や、脳室周囲の異常信号は明らかではありません。正しくは:正常圧水頭症では、脳室拡大に加えて、脳室周囲に高信号域(Transependymal CSF leakage)が見られることがあります。この画像ではそれらの特徴は不十分です。選びやすい理由:脳の全体的な構造に変化があるように見えるかもしれませんが、正常圧水頭症の明確なサインではありません。混同注意:単なる脳萎縮や、他の種類の水頭症(閉塞性水頭症など)と混同する可能性があります。
- 3. この画像は正常圧水頭症の典型的なMRI所見を示していません。脳室の軽度な拡大が見られるかもしれませんが、この程度の変化は正常範囲内や加齢に伴う変化である可能性も考えられます。正しくは:正常圧水頭症と診断するためには、脳室の顕著な拡大と、脳溝の相対的な狭小化、あるいはDESHサイン(Disproportionately Enlarged Subarachnoid Space Hydrocephalus)などの特徴が必要です。選びやすい理由:脳室が正常よりやや大きいと感じるかもしれませんが、診断基準を満たすほどの拡大ではありません。混同注意:加齢による脳室拡大や、脳萎縮による代償性拡大と見間違えやすいです。
- 4. 正解。この画像では、側脳室が著しく拡大しており、特に前角と下角の拡大が目立ちます。一方で、脳表の脳溝は比較的狭く、脳萎縮に比べて脳室の拡大が不釣り合いに大きい(DESHサイン)という正常圧水頭症に典型的な所見が認められます。T2強調像で脳室周囲に高信号域が見られることもあり、これは経上衣性脳脊髄液透過を示唆することがあります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 5. この画像は正常圧水頭症の所見とは異なります。脳室の拡大は確認できますが、他の画像と比較して、正常圧水頭症に特徴的な所見(特にDESHサインなど)が明確ではありません。むしろ、広範な脳萎縮による脳室の拡大(代償性水頭症)や、他の疾患による変化である可能性が高いです。正しくは:正常圧水頭症では、脳室が拡大しているにもかかわらず、脳表の脳溝は比較的保たれているか、狭いのが特徴です。この画像ではその特徴が不十分です。選びやすい理由:脳室が拡大している点に注目すると、水頭症の一種かと誤解する可能性がありますが、正常圧水頭症の診断基準とは異なります。混同注意:アルツハイマー病などの脳萎縮を伴う疾患による脳室拡大と混同しやすいです。
国試ポイント
国家試験では、正常圧水頭症の病態理解だけでなく、頭部MRI画像における特徴的な所見を識別できる能力が問われます。特にT2強調像での脳室拡大のパターン、脳溝との関係、脳室周囲の異常信号が重要視されます。DESHサインなどの画像診断のキーワードも押さえておく必要があります。
混同注意
正常圧水頭症による脳室拡大と、アルツハイマー病などの神経変性疾患に伴う脳萎縮による脳室拡大(代償性水頭症)を混同しやすい。また、閉塞性水頭症との鑑別も重要です。正常圧水頭症では、脳室拡大があっても脳圧は正常範囲内であることが特徴です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず脳室の拡大度合いと形状に注目し、次に脳表の脳溝の広さを確認します。脳室の拡大に比べて脳溝が狭い、または脳室周囲に高信号域がある場合は正常圧水頭症を疑います。
関連知識
正常圧水頭症は、歩行障害、認知機能障害、尿失禁の3主徴(Hakimの3徴)を呈する疾患です。シャント手術によって症状の改善が見込まれるため、早期の鑑別診断が重要です。診断にはMRIの他に、タップテストや脳槽シンチグラフィーなども用いられます。