作業場面(別冊No. 1)を別に示す。この作業分析で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
木工作業は、材料の乾燥や接着剤の硬化など一部の工程を除けば、基本的に作業を中断して後で再開することが容易です。これは、作業療法におけるクライアントのペースに合わせた介入を可能にする重要な特性の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 木工は多くの工程や道具の制約があり、絵画に比べて作業の自由度は一般的に低いと言えます。特に切断や加工など、正確性が求められる場面が多いです。正しくは:木工は絵画と比べて、使用する道具や工程に制約が多く、作業の自由度は比較的低い。選びやすい理由:一見、創造的な作業に見えるため、自由度が高いと誤解するかもしれません。しかし、完成形や工程に一定の制約があります。混同注意:自由度が高い創造活動(例:自由画、粘土の自由制作)と、工程や手順が重要な作業(例:木工、陶芸)との違い。
- 2. 正解。木工作業は、多くの場合、途中で手を止めたり、別の日に再開したりすることが可能です。材料が乾燥したり固まったりする特定の工程を除けば、柔軟な中断・再開ができます。正しくは:正しい選択肢のため、修正は不要です。
- 3. 木工が直接的に攻撃性を誘発しやすいという科学的根拠はありません。むしろ、集中を促し、達成感を得やすい作業として精神的な安定に寄与することもあります。ただし、失敗によるいら立ちが全くないわけではありませんが、攻撃性が「出現しやすい」と断定するのは適切ではありません。正しくは:木工が直接的に攻撃的な感情反応を誘発しやすいとは言えない。むしろ集中力を高め、達成感を得ることで精神的な安定につながる可能性がある。選びやすい理由:鋸や金槌などの工具を使用するため、そのイメージから攻撃性と結びつけるかもしれませんが、適切に指導・管理されれば危険性は抑えられ、攻撃的な感情を抑制する効果も期待できます。混同注意:工具の物理的な特性と、作業の心理的・感情的影響との混同。フラストレーションが攻撃性につながる可能性はあらゆる作業にあるが、木工が特別に「出現しやすい」わけではない。
- 4. 木工作業では、鋸引き、やすりかけ、釘打ちなど、多くの動作が含まれます。これらの動作には、肩関節、肘関節、前腕の回内外、指関節など、多様な関節運動が複合的に関与します。手関節の屈曲・伸展はその一部であり、「主とした」運動と限定するのは適切ではありません。正しくは:木工には、肩、肘、手首、指など、多様な関節の複合的な運動が必要とされる。選びやすい理由:細かい作業で手首をよく使うため、手関節が重要だと感じるかもしれません。しかし、全体として見ると様々な関節が大きく関わっています。混同注意:作業における特定の関節の重要性と、全身的な関節運動の全体像との混同。細かい作業(例:精密な彫刻)と一般的な木工作業の違い。
- 5. 肩関節の筋力増強を目的とする場合、木工は確かにその対象となり得ますが、「作業を段階付ける」という視点で見た場合、最も適した選択肢は誤りです。木工は主に手指の巧緻性や協調性、上肢全体の耐久力、集中力などを養うのに有効です。肩関節の筋力増強を主目的とするならば、より特異的な運動や負荷設定が可能な他の作業活動(例:高い棚への荷物の上げ下ろし、重いものを運ぶなど)の方が段階付けしやすいと言えます。この選択肢は正答肢2と比較して不適切と判断されます。正しくは:肩関節の筋力増強も可能だが、木工は主に手指の巧緻性や上肢全体の耐久力を養うのに適しており、段階付けのしやすさでいえば、他のより特異的な運動の方が適している場合がある。選びやすい理由:木工には鋸引きややすりかけなど、肩関節を使う動作も含まれるため、筋力増強に役立つと考えるかもしれません。しかし、「段階付け」という点で最も適切かどうかを問われています。混同注意:ある運動要素が含まれることと、その運動要素の訓練に最も適しているかどうかの混同。作業活動の多様な効果と、特定の目的への最適性の判断。
国試ポイント
作業分析の基礎知識、特に様々な作業活動の特性(中断の可否、自由度、情緒反応、主な運動、リハビリ目的への適合性)を正確に理解しているかを問う問題です。各選択肢の記述がその作業の一般的な特性と合致するかどうかを判断する必要があります。
混同注意
各作業活動が持つ複数の特性の中から、設問に合致する「最も正しい」選択肢を見極める点が混乱しやすいです。例えば、木工でも肩関節を使うことはありますが、それが「主たる」運動か、あるいは「段階付け」が最も得意な点か、といった吟味が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、与えられた作業活動に対して、その中断・再開の容易さ、自由度、主要な関節運動、精神的・身体的効果、段階付けのしやすさなど、多角的な視点から分析できるかを確認します。特に、「主とした」「容易」「出現しやすい」といった程度を表す表現に注目し、他の作業活動と比較した際の相対的な妥当性を判断する練習が必要です。
関連知識
作業療法の基礎理論、作業活動分析、各作業活動の適応と禁忌、身体機能に対する作業活動の効果、精神機能に対する作業活動の効果。