60歳の男性。作業中に転倒し、左手をついて受傷した。単純エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。診断はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示されたX線写真では、橈骨遠位端が背側に転位しているのが確認できます。これは、手のひらをついて転倒した際に発生する代表的な骨折であるコーレス骨折の典型的な所見です。他の選択肢は、異なる部位やタイプの骨折を示しており、画像所見とは一致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. バートン骨折は橈骨遠位端の関節内骨折で、手関節背側または掌側の脱臼を伴うものです。画像所見とは異なります。正しくは:橈骨遠位端の関節内骨折で、手関節の背側または掌側脱臼を伴う。これは画像所見とは異なるため誤り。選びやすい理由:橈骨遠位端骨折の一種であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:他の橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折など)との区別が曖昧な場合。
- 2. ベネット骨折は、母指CM関節基部の骨折脱臼(第一中手骨基部の関節内骨折)であり、画像所見とは一致しません。正しくは:母指CM関節基部の骨折脱臼(第一中手骨基部の関節内骨折)。これは画像所見とは異なるため誤り。選びやすい理由:手の骨折として一般的なため、選択肢として見慣れているかもしれません。混同注意:中手骨骨折や手の他の部位の骨折との混同。
- 3. ボクサー骨折は、主に第五中手骨頸部の骨折(パンチで受傷することが多い)を指します。画像に示されるのは橈骨遠位端の骨折であり、部位が異なります。正しくは:主に第五中手骨頸部の骨折(俗称)。これは画像に示される橈骨遠位端の骨折とは異なるため誤り。選びやすい理由:手の骨折として広く知られているため、一般的な知識で選びたくなるかもしれません。混同注意:手の甲や指の骨折と、前腕の骨折との区別。
- 4. 正解。コーレス骨折は、橈骨遠位端骨折の中でも特に、手をついて転倒した際に発生し、遠位骨片が背側(手背側)に転位する(フォーク状変形を呈する)特徴があります。提示されたX線写真の所見は、このコーレス骨折の典型的な特徴を示しています。正しくは:この選択肢が正解です。橈骨遠位端骨折で、手関節背側への骨片転位が特徴。画像はこれを明確に示しています。
- 5. ローランド骨折は、母指CM関節基部の関節内粉砕骨折(第一中手骨基部のY字またはT字型骨折)であり、ベネット骨折よりも重度です。画像所見とは部位が異なります。正しくは:母指CM関節基部の関節内粉砕骨折。これは画像所見とは異なるため誤り。選びやすい理由:ベネット骨折と同様に、母指の骨折として名前を知っている可能性があります。混同注意:ベネット骨折や他の母指の骨折との区別が曖昧な場合。
国試ポイント
本問題は、橈骨遠位端骨折の代表的な分類とそのX線写真所見を正確に識別できるかを問うものです。特に、転倒時の手のつき方と骨折のタイプ(コーレス骨折、スミス骨折など)の関連性や、各骨折のX線写真における特徴的な骨片転位を理解していることが重要となります。画像診断能力に加え、臨床的な背景知識が求められます。
混同注意
橈骨遠位端骨折には、コーレス骨折の他に、スミス骨折(掌側転位)、バートン骨折(関節内骨折で手関節の脱臼を伴う)などがあり、これらの名称と特徴的な骨片転位を混同しやすい。また、母指や中手骨の骨折(ベネット骨折、ローランド骨折、ボクサー骨折)も手の骨折として一般的なため、部位を区別して覚える必要がある。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、X線写真を見て「遠位骨片が背側に転位しているか(コーレス骨折)」「掌側に転位しているか(スミス骨折)」「関節内骨折で脱臼を伴うか(バートン骨折)」といった具体的な画像所見から診断名を判断できるかを確認する。また、他の部位の骨折との鑑別点(例:中手骨骨折、母指CM関節基部骨折)も問われる可能性があるため、各骨折の診断基準とX線写真での特徴を再確認する。
関連知識
橈骨遠位端骨折の分類(コーレス骨折、スミス骨折、バートン骨折、ショーファー骨折など)、発生機序(手掌・手背着地)、X線写真における特徴的な所見(フォーク状変形、ガーデン・スペード状変形)、合併症(正中神経麻痺、手根管症候群、スティンケンス変形など)、治療法(徒手整復、K-wire固定、プレート固定)。