地域で生活している精神障害者の家族支援に関する内容として誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Expressed Emotion(EE:感情表出)は、精神疾患患者の再発に影響を与える家族の感情表現パターンを指します。批判、敵意、感情的過干渉といったEEが高い家族環境は、患者の再発リスクを高めることが多くの研究で示されています。そのため、EEが高いと判断される家族に対しては、患者との接触を増やすのではなく、家族教育を通じてEEを低下させる介入(例:批判的言動の抑制、過干渉の是正、患者への受容的な態度形成など)を行うことが重要です。したがって、接触を増やすよう勧めるのは誤った支援方針となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 精神障害者の家族支援において、利用できる社会資源(例:医療機関、相談窓口、福祉サービス、ピアサポートグループなど)の情報提供は非常に重要です。これにより、家族は必要な支援を受けやすくなり、負担の軽減や問題解決に繋がります。正しくは:正しい内容であるため、修正不要です。選びやすい理由:家族を支援する基本的な介入として適切に見えるため、誤りとは判断しにくいでしょう。混同注意:具体的な社会資源の内容と混同する可能性はありますが、情報提供自体は正しいアプローチです。
- 2. 精神障害者の家族は、介護負担やスティグマ(偏見)により、地域社会から孤立しやすくなります。家族支援では、孤立を防ぎ、社会とのつながりを維持するためのサポートや助言(例:家族会の紹介、地域活動への参加促進など)が不可欠です。正しくは:正しい内容であるため、修正不要です。選びやすい理由:家族の精神的健康やQOLを維持するために重要な支援であり、誤りとは考えにくいです。混同注意:「助言」という言葉の具体的な内容と混同する可能性はありますが、孤立防止の方向性は適切です。
- 3. 精神疾患の再発早期発見は、病状悪化を防ぎ、早期介入を可能にする上で極めて重要です。家族が再発の兆候(例:睡眠障害、幻覚妄想の再燃、意欲低下など)に気づいた際に、速やかに主治医や医療機関に連絡するよう促すことは、適切な対応です。正しくは:正しい内容であるため、修正不要です。選びやすい理由:患者さんの状態管理において非常に重要な介入であり、誤りではないと判断しやすいです。混同注意:再発の具体的なサインの内容と混同する可能性はありますが、医療機関への相談自体は正しい行動です。
- 4. 精神障害者の家族は、患者の介護や生活支援、将来への不安などから、高いストレスを抱えがちです。家族のストレスを軽減することは、家族自身の健康維持だけでなく、患者へのケアの質を保つ上でも重要です。ストレス対処法(例:リラクゼーション、趣味活動、相談窓口の利用など)を共に考えることは、家族支援の重要な要素です。正しくは:正しい内容であるため、修正不要です。選びやすい理由:家族のメンタルヘルスを支えるための基本的な支援であり、誤りとは考えにくいです。混同注意:具体的なストレス対処法の種類と混同する可能性はありますが、ストレス軽減の支援自体は適切です。
- 5. 正解。EE(感情表出)とは、患者に対する家族の批判的、敵意的、あるいは過干渉的な感情の表出度を指します。EEが高い家族環境は、精神疾患(特に統合失調症)の再発リスクを高めることが知られています。そのため、EEが高い場合は、患者さんとの接触を増やしたり、感情的な距離を縮めたりするのではなく、むしろ家族教育を通じて、EEを低下させるための介入(例:批判を控える、過干渉を見直す、感情的な距離を保つ訓練)を行うことが推奨されます。患者との接触を増やすことは、EEの悪影響を増大させるリスクがあります。正しくは:EEが高い場合は、家族教育を通じてEEを低下させるための介入を行い、過剰な接触を避け、適切な距離を保つよう助言します。選びやすい理由:一見すると、家族の関わりを増やすことが患者にとって良いことのように思えるかもしれませんが、EEの概念を理解していないと誤解しやすいです。混同注意:「家族の愛情」や「家族の支え」といったポジティブな概念と混同し、EEがネガティブな影響を持つことを理解していないと間違えやすいです。
国試ポイント
精神障害者とその家族への支援において、Expressed Emotion(感情表出:EE)の概念とその臨床的意義を理解しているか、また、EEが高い家族への適切な介入方法を問う問題です。単に家族の関わりを増やすことが常に良いとは限らないという点を正確に把握しているかが試されます。
混同注意
家族の「愛情」や「支え」といった一般的なポジティブな概念と、精神医学領域における「Expressed Emotion(感情表出)」という専門用語が持つ臨床的な意味を混同しやすいです。EEは、必ずしも愛情の欠如を意味するものではなく、患者の回復にマイナスに作用する特定の感情表現パターンを指します。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、Expressed Emotion(EE)の定義、その構成要素、EEが高い場合の具体的な再発リスク、そしてEEを低減させるための具体的な家族教育の内容(例:批判の抑制、過干渉の是正、病気への理解促進など)について知識があるかを確認するでしょう。また、EE以外の家族支援の多岐にわたるアプローチについても問われる可能性があります。
関連知識
Expressed Emotion(EE)の構成要素(批判、敵意、感情的過干渉、暖かさ、肯定)、EEと精神疾患(特に統合失調症)の再発率との関連、EEを低下させるための家族介入プログラム(例:心理教育的家族療法)の原則、家族支援の基本的なアプローチ(情報提供、ピアサポート、ストレスマネジメント)。