臨床研究に関する倫理指針で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
臨床研究における倫理指針の根幹には、研究協力者の人権と尊厳の保護があります。選択肢1は、インフォームド・コンセントの基本原則である『参加の任意性(自発性)』および『同意の撤回自由』を正しく述べています。これは、被験者が十分な情報提供を受けた上で、自身の意思で研究に参加し、いつでもその意思を撤回できる権利を持つことを意味します。他の選択肢は、守秘義務の継続性、個人情報開示の制限、参加中止の自由、個人データ提供の事前同意という倫理指針の重要な要素に反しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。臨床研究の基本的な倫理原則であるインフォームド・コンセント(説明と同意)に基づき、研究への参加は被験者の自由な意思によるものであり、強制されてはなりません。これは『ヘルシンキ宣言』など主要な倫理規範で定められています。
- 2. 研究終了後も、研究協力者のプライバシー保護のため、個人情報の守秘義務は継続されます。正しくは:研究終了後も、研究協力者の個人情報に関する守秘義務は継続して遵守されなければなりません。選びやすい理由:研究データが公開されるイメージから、守秘義務も期間が限定されると誤解する可能性があります。混同注意:データの公開義務と守秘義務を混同している可能性があります。
- 3. 個人データの開示は、原則として本人からの同意がある場合や、法令に基づく場合などに限定されます。無条件に誰にでも開示する義務はありません。正しくは:研究で集めた個人データは、個人情報保護の観点から厳重に管理し、原則として本人の同意なくして誰にでも開示することはできません。選びやすい理由:研究の透明性を重視するあまり、情報公開の範囲を広くとらえてしまうかもしれません。混同注意:研究の透明性と個人情報保護の原則を混同している可能性があります。
- 4. 研究協力者は、いつでも理由を問わず、研究への参加を中止する権利を持っています。これはインフォームド・コンセントの重要な要素です。正しくは:研究協力者は、いつでも自由に、研究への参加を中止する権利を有しており、その申し出は尊重されなければなりません。選びやすい理由:研究の継続性や研究者の労力を考えて、一度同意したら最後まで参加すべきだと誤解する可能性があります。混同注意:インフォームド・コンセントの『同意の任意性・撤回自由の原則』を理解していないと誤答しやすいです。
- 5. 個人データを第三者に提供する場合、原則として事前に研究協力者からの同意を得る必要があります。事後報告では不十分です。正しくは:研究協力者の個人データを第三者に提供する際は、事前に研究協力者からの明確な同意を得る必要があります。選びやすい理由:情報共有の必要性を認識しつつも、タイミングの重要性を軽視する可能性があります。混同注意:個人情報の取り扱いにおける事前同意の原則と、事後報告のケースを混同している可能性があります。
国試ポイント
臨床研究における倫理原則、特にインフォームド・コンセントの具体的な内容と、研究協力者の権利について問われています。守秘義務、プライバシー保護、同意の任意性と撤回自由は繰り返し出題される重要論点です。
混同注意
インフォームド・コンセントの各要素(情報提供、理解、自由意思、同意能力)や、個人情報保護法との関連性で混同が生じやすいです。特に、研究の透明性と個人情報の保護のバランスは誤解を招きやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出題された場合、インフォームド・コンセントの具体的なプロセス(説明内容、同意取得方法)、特定個人情報の取り扱い、未成年者や判断能力の低下した対象者への倫理的配慮について着目して選択肢を評価する必要があります。
関連知識
ヘルシンキ宣言、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、個人情報保護法、医療倫理の四原則(自律尊重、無危害、善行、正義)。