8歳の脳性麻痺児が階段昇降時に手すりを必要とし、長距離の歩行や狭い場所を歩くときに介助が必要な場合、GMFCS-Expanded and Revised〈E&R〉のレベルはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
GMFCS-Expanded & Revised(GMFCS-E&R)は、脳性麻痺のある子どもの粗大運動機能能力を年齢別に5段階で評価する分類システムです。8歳のレベルⅡの記述には「自宅、学校、職場、地域社会で介助なしに歩行するが、屋外や地域社会での長距離移動、バランスを要する場面、混雑した場所や狭い場所では補助具を使用したり、介助が必要となる場合がある」とあります。設問の「階段昇降時に手すりを必要とし、長距離の歩行や狭い場所を歩くときに介助が必要」という状況は、このレベルⅡの定義と完全に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. レベルⅠは、手すりなどの補助具なしで階段昇降ができ、屋外や地域での移動も介助なしで自立して行える状態を指します。設問の状況とは異なります。正しくは:屋外や地域において、介助や補助具なしで自立して移動できる。選びやすい理由:症状が比較的軽度なレベルと混同しやすいですが、階段での手すりの使用や長距離歩行での介助が必要な点はレベルⅠには当てはまりません。混同注意:レベルⅡの「手すり使用」「長距離介助」といった特徴と混同し、レベルⅠの「自立歩行」という大まかなイメージと誤解する可能性があります。
- 2. 正解。GMFCS-E&RのレベルⅡは、自宅、学校、職場、地域社会で介助なしに歩行する能力がありますが、屋外や地域社会での長距離移動、バランスを要する場面、混雑した場所や狭い場所では補助具(手すりなど)を使用したり、介助が必要となる場合を含みます。階段昇降時に手すりが必要で、長距離歩行や狭い場所での介助が必要という設問の状況に合致します。
- 3. レベルⅢは、手動車いすなどの移動補助具が必要となる段階です。屋内では短距離を歩くことも可能ですが、屋外では車いすや歩行器などの移動手段が主となります。設問の状況は介助歩行が主であり、車いす使用の記述がないためレベルⅢとは異なります。正しくは:手動車いすや歩行器などの移動補助具を必要とする。選びやすい理由:介助が必要という点でより重度なレベルを連想するかもしれませんが、レベルⅢは主に移動補助具(車いすなど)を必要とする状態です。混同注意:「介助が必要」という言葉から、レベルⅡとⅢの区別が曖昧になりやすいですが、レベルⅢは車いすなどの補助具が必須となる点が異なります。
- 4. レベルⅣは、主に電動車いすや介助式車いすといった移動手段を使用し、限定的な距離で歩行器を短時間使用することもあるが、ほとんどの移動において車いすに依存する状態を指します。設問の状況(介助歩行が主)とは大きく異なります。正しくは:ほとんどの移動において電動車いすや介助式車いすを使用する。選びやすい理由:より重度の状態を想定しがちですが、レベルⅣは自立歩行が非常に限定的で、主に車いすを利用します。混同注意:レベルⅢとⅣの区別は、自力での移動補助具操作の有無や歩行能力の限界で判断されますが、設問では歩行能力がまだあるため該当しません。
- 5. レベルⅤは、移動能力が極めて制限され、自力での移動が困難であり、常に他者の介助を必要とする状態を指します。姿勢の制御も困難な場合が多く、電動車いすや介助式車いすでも移動は限定的です。設問の状況(介助で歩行可能)とは著しく異なります。正しくは:移動能力が著しく制限され、移動の際には常に他者の全面的な介助が必要である。選びやすい理由:介助が必要という点で重度と捉えるかもしれませんが、レベルⅤは自力での移動がほぼ不可能で、全面的な介助が不可欠な状態です。混同注意:「介助」という言葉が共通しているため、他のレベルとの混同がありますが、レベルⅤは移動能力が最も重度に制限されることを理解する必要があります。
国試ポイント
GMFCS-E&Rの各レベルの具体的な特徴を理解しているか、特に年齢に応じた能力の記述を正確に把握しているかが問われています。特にレベルⅠとⅡ、ⅡとⅢの境界線となる具体的な行動(階段昇降、長距離歩行時の介助の有無など)を区別できるかが重要です。
混同注意
GMFCSの各レベルの具体的な記述を暗記するだけでなく、その「意味するところ」を理解していないと、似たような記述で混同しやすくなります。特に「介助なしで歩行可能」という表現が、どの程度の制約を許容するのか、という点が誤解を招きやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後GMFCSの問題が出題された場合、年齢区分をしっかりと確認し、その年齢区分における各レベルの具体的な行動特性(特に補助具の有無、介助の必要性、場所の限定など)に注目して判断する。
関連知識
GMFCSの対象年齢が0-18歳であり、年齢区分(0-2歳、2-4歳、4-6歳、6-12歳、12-18歳)によって各レベルの記述内容が微細に異なる点。また、FMS(Functional Mobility Scale)など、他の移動能力評価スケールとの違いも理解しておくと良いでしょう。