Parkinson病患者で早期に困難となる動作はどれか。ただし、いずれの動作も上肢での代償はないものとする。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
パーキンソン病では、早期から運動開始の遅延(無動)や運動の少なさ(寡動)、体幹の固縮などが現れます。寝返り動作は、体幹の回旋運動と四肢の協調性を必要とする複雑な動きであり、特に運動開始時の調整やスムーズな連動が障害されやすいため、病初期から患者が困難を感じやすい動作です。この問題では「上肢での代償はないものとする」と条件付けされており、より純粋な体幹・下肢の協調運動能力が問われています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。パーキンソン病では、初期から運動開始の遅延(無動)や運動の少なさ(寡動)、体幹の固縮などにより、体をねじったり、体位を変えたりする協調性が求められる複合的な動作が困難になります。寝返りは、体幹の回旋と四肢の協調が必要なため、早期から困難を訴えることが多い動作です。
- 2. 平地歩行も困難になる症状の一つですが、特に方向転換や急な停止、すくみ足といった問題が目立つのは、寝返り動作での困難が見られ始めた後、あるいは同時期でも、より顕著な歩行障害はもう少し進行してから現れることが多いです。初期においては、歩行速度の低下や小刻み歩行が目立つものの、即座に「困難な動作」とまではいかない場合があります。正しくは:寝返りが困難になった後に、歩行障害、特に方向転換や小刻み歩行が目立つようになる。選びやすい理由:パーキンソン病の代表的な症状の一つに歩行障害があるため、早期から困難になると考えやすい。混同注意:進行期に見られる顕著な歩行障害や、すくみ足などの特徴的な歩行パターンと、病初期の軽微な歩行速度低下やリズムの変化を混同しやすい。
- 3. 階段の昇降は、歩行能力が低下したパーキンソン病患者にとって難しい動作ですが、通常、平地歩行の困難さが顕著になってから、より高度なバランスと筋力を要する階段昇降に支障をきたすことが一般的です。早期の段階では、平地歩行に問題があっても、手すりなどの補助があれば可能であることも多いです。正しくは:階段の昇降は、平地歩行能力の低下がより進行した段階で困難となることが多い。選びやすい理由:階段昇降はバランス能力や筋力が必要なため、パーキンソン病患者にとって難しい動作であるという認識から選びやすい。混同注意:進行期の運動機能障害と、早期の段階での困難さを混同しやすい。
- 4. パーキンソン病初期における姿勢反射障害は、主に立位でのバランス障害として現れることが多く、端座位のような比較的安定した姿勢の保持は、病気がかなり進行して体幹の筋力低下や重度の姿勢反射障害がみられるようになるまでは、大きな困難とはなりにくいです。正しくは:端座位の保持は、重度の体幹筋力低下や姿勢反射障害が進行期に現れてから困難になることが多い。選びやすい理由:姿勢反射障害というキーワードから、姿勢保持全般が困難になると考えやすい。混同注意:立位での姿勢保持困難や、進行期の重度な体幹機能障害と混同しやすい。
- 5. 椅子からの立ち上がり動作も、パーキンソン病患者にとって困難になりやすい動作の一つですが、特に運動開始の遅延(無動)や反復動作の困難さが原因で、複数回試行したり、時間がかかったりすることが特徴です。しかし、これも寝返りと比較すると、より体幹の筋力と下肢の推進力が必要であり、早期においては困難を感じつつも、何とか可能であるケースも多いです。無動・寡動の症状がより複雑な全身運動に影響を及ぼすようになるのは、寝返りの困難さが見られた後であることが一般的です。正しくは:椅子からの立ち上がりは、寝返りの困難さに続いて、運動開始の遅延や反復動作の困難さとして現れることが多い。選びやすい理由:無動・寡動の症状が立ち上がり動作に影響を与えるため、早期から困難になると考えやすい。混同注意:寝返り動作に次ぐ早期の困難さ、または進行期に顕著になる立ち上がり困難と混同しやすい。
国試ポイント
パーキンソン病における運動症状の出現順序や、各動作に必要な身体機能(特に体幹の回旋、協調性、バランスなど)を理解しているか。病気の「早期」という条件を正しく解釈し、日常生活動作(ADL)への影響を具体的に想像できるかが問われます。
混同注意
パーキンソン病の代表的な症状である歩行障害や姿勢反射障害が、どの段階で、どのような形でADLに影響するかを混同しやすい。特に「早期」という条件を見落とし、進行期の症状と結びつけてしまうと誤答につながります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、初期のパーキンソン病患者が「最も」困難を感じるADLや、「次に」困難になるADL、あるいは「上肢の代償が可能な場合」の状況変化などが問われる可能性があります。また、非運動症状がADLに与える影響も考慮に入れる必要があるかもしれません。
関連知識
パーキンソン病の四大症状(振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)。各症状がADLに与える影響。病期分類(ホーエン・ヤール重症度分類など)。ADLの階層性。