重症筋無力症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
重症筋無力症は、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体に対する自己抗体によって、アセチルコリンの伝達が阻害される疾患です。テンシロン試験は、アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを一時的に阻害することで、神経筋接合部のアセチルコリン濃度を高め、一時的に筋力低下を改善させるかを評価する診断的検査であり、重症筋無力症の診断に不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 重症筋無力症が合併しやすいのは胸腺腫であり、肺小細胞癌ではありません。正しくは:「胸腺腫を合併しやすい。」選びやすい理由:自己免疫疾患では他の疾患の合併がよく見られるため、何らかの腫瘍と関連があるという点では正しいように思えるかもしれません。混同注意:肺小細胞癌との合併が多いのは、ランバート・イートン筋無力症候群です。
- 2. 重症筋無力症は希少疾患であり、特定疾患に指定されています。一方、パーキンソン病は神経変性疾患の中では比較的患者数が多い疾患であり、重症筋無力症よりも患者数が多いです。正しくは:「パーキンソン病と比較して患者数が少ない。」選びやすい理由:どちらも慢性的な神経疾患であるため、正確な患者数を把握していないと判断が難しい可能性があります。混同注意:特定の希少疾患の患者数に関する一般的な知識。
- 3. 正解。テンシロン試験(エドロホニウム試験)は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるエドロホニウムを投与し、神経筋接合部のアセチルコリン濃度を一時的に高めることで、筋力低下の改善を評価する重症筋無力症の主要な診断方法の一つです。
- 4. 重症筋無力症は、筋細胞そのものの損傷ではなく、神経筋接合部におけるアセチルコリンの伝達障害が原因の疾患です。そのため、筋細胞の破壊によって上昇するクレアチンキナーゼ値は、通常、正常範囲内にとどまります。正しくは:「血清クレアチンキナーゼ(CK)の値は正常範囲内である。」選びやすい理由:筋力低下があるため、筋疾患と同様にCK値も上昇すると誤解する可能性があります。混同注意:筋ジストロフィーや多発性筋炎/皮膚筋炎などの筋原性疾患ではCK値が上昇します。
- 5. 重症筋無力症では、神経筋接合部のアセチルコリン受容体の機能不全により、反復刺激によって複合筋活動電位(CMAP)の振幅が徐々に低下する「漸減現象」が見られます。振幅の「漸増」は、ランバート・イートン筋無力症候群の特徴です。正しくは:「誘発筋電図の反復刺激試験で振幅が漸減する。」選びやすい理由:神経筋疾患の電気生理学的検査所見の詳細を混同しやすい。混同注意:ランバート・イートン筋無力症候群の電気生理学的所見。
国試ポイント
重症筋無力症の病態生理、主要な診断方法、鑑別疾患に関する基本的な知識が問われる問題です。特に、テンシロン試験の意義、電気生理学的検査の所見、および合併症については頻出項目であり、正確な理解が求められます。
混同注意
ランバート・イートン筋無力症候群(合併腫瘍、電気生理学的所見の相違)、筋ジストロフィーや筋炎などの筋原性疾患(CK値の動態、病理所見の相違)。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題された場合、重症筋無力症の治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の具体的な作用機序や副作用)、クリーゼ(筋無力症クリーゼとコリン作動性クリーゼの鑑別)の病態と対応、あるいは、眼筋型と全身型の特徴と予後の違い、胸腺腫合併時の治療戦略などが問われる可能性があります。
関連知識
重症筋無力症の病態(自己抗体、神経筋接合部)、主な症状(眼瞼下垂、複視、易疲労性、日内変動)、診断(抗アセチルコリン受容体抗体、抗MuSK抗体、テンシロン試験、反復刺激誘発筋電図)、治療(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、免疫抑制剤、胸腺摘除術、血漿交換療法、免疫グロブリン療法)、クリーゼ時の対応。