呼吸機能検査について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
呼吸筋力、特に吸気筋(横隔膜など)の機能が低下すると、胸郭を十分に拡張させることができず、最大吸気量ひいては肺活量が減少します。これは呼吸機能検査の基本的な理解です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。呼吸筋力(特に吸気筋力)の低下は、肺を十分に拡張させたり、深く息を吸い込んだりする能力を損なうため、最大限に吸い込める空気の量である肺活量は低下します。
- 2. 気道抵抗が増加すると、空気の通り道が狭くなり、息を吐き出す速度が遅くなります。秒率(1秒量/努力性肺活量 × 100)は、努力性肺活量のうち最初の1秒でどれだけ吐き出せるかを示すため、気道抵抗が増加すると秒率は低下します。正しくは:気道抵抗が増加すると、秒率は低下します。選びやすい理由:「気道抵抗」という言葉から、何らかの異常で呼吸機能が全体的に「悪くなる」という漠然としたイメージはつかめるが、秒率がどう変化するかを正確に理解していないと迷う可能性があります。混同注意:閉塞性換気障害における秒率低下のメカニズムと、拘束性換気障害における秒率の保たれる(または上昇する)メカニズムを混同することがあります。
- 3. 肺拡散能は肺胞から血液へのガス交換能力を示し、最大呼気流量は気道の開存性や弾性収縮力、呼吸筋力に関連する空気の吐き出す速度を示します。これらは直接的な関係性が薄く、肺拡散能の低下が直接的に最大呼気流量を低下させるわけではありません。正しくは:肺拡散能の低下と最大呼気流量の低下には直接的な因果関係はありません(原因が異なる)。選びやすい理由:肺機能全体が悪化するとあらゆる指標が低下するという漠然としたイメージから、正しいと感じてしまうかもしれません。しかし、異なる機能が測定されていることを理解する必要があります。混同注意:異なる呼吸機能検査の項目がそれぞれ何を評価しているのかを正確に理解していないと、関連性のない指標同士を結びつけて考えてしまうことがあります。肺胞換気と気道抵抗に関連する指標を混同しやすいです。
- 4. 肺コンプライアンスの低下(肺が硬くなること)は、肺が膨らみにくくなる状態を示します。これにより、肺の弾性収縮力が増加するため、呼気終末時の肺の残気量はむしろ減少します。機能的残気量とは、通常の呼気後に肺に残る空気の量です。正しくは:肺コンプライアンスが低下すると、機能的残気量は減少します。選びやすい理由:「肺コンプライアンス低下」という状態の重症さから、残気量が「増える」という悪いイメージを持つかもしれませんが、これは「膨らみにくい=縮みやすい」という特性を誤解している可能性があります。混同注意:閉塞性肺疾患での機能的残気量増加と、拘束性肺疾患(肺コンプライアンス低下が特徴)での機能的残気量減少を混同しやすいです。
- 5. 換気血流比の不均等は、肺の特定の部分で換気と血流のバランスが崩れている状態です。これにより、肺胞でのガス交換効率が低下し、肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の間に差が生じやすくなります。つまり、A-aDO2は増加します。正しくは:換気血流比不均等では肺胞気安動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)は増加します。選びやすい理由:「不均等」という言葉から、生理的に良い状態ではないことはわかるものの、A-aDO2がどう変化するかを正確に理解していないと迷うかもしれません。混同注意:肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)が何を示す指標なのか、またどのような病態で増加するのかという基本的な理解が不足していると、選択肢の正誤判断が難しくなります。換気血流不均等だけでなく、シャントや拡散障害もA-aDO2を増加させる要因です。
国試ポイント
呼吸機能検査の各項目が何を評価し、どのような病態でどのように変化するかを正確に理解しているかが問われています。特に、閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患の基本的な違いと、それに伴う肺容量、流量、ガス交換能の変化を把握しておく必要があります。
混同注意
各選択肢が異なる呼吸機能検査の指標を扱っており、それぞれの指標が評価する機能(筋力、気道抵抗、拡散能、肺の弾性など)を混同しやすくなっています。また、数値の増減が「良い/悪い」という漠然としたイメージに引きずられず、生理学的な変化を正確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、個別の呼吸機能検査項目がどの疾患(閉塞性、拘束性、神経筋疾患など)で特徴的に変化するのか、またその変化が生じる生理学的なメカニズムをより詳細に問われる可能性があります。例えば、各指標の具体的な数値変化のパターンや、組み合わせた解釈(例:VC低下、FEV1/FVC正常でDLCO低下は間質性肺炎を疑う、など)を問う問題が考えられます。
関連知識
肺活量、1秒量、秒率、機能的残気量、全肺気量、肺コンプライアンス、肺拡散能(DLCO)、A-aDO2の正常値とその変動要因。閉塞性換気障害と拘束性換気障害の主要な鑑別点。呼吸筋力の評価方法(VC、MIP/MEPなど)。