19歳の男性。統合失調症。幻覚妄想がみられ、両親に付き添われて精神科病院を受診した。病識は曖昧であったが、外来医師と両親の説得で本人が入院に同意した。入院2日目の夜になって「こんなところにいては、お前はダメになる。薬を飲むと頭が変になってしまうぞという声が聞こえる。一刻も早く退院したい。入院時の同意は取り下げる」と強く訴え興奮したため、精神保健指定医の判断によって、両親の同意の下、非自発的な入院形態に変更された。この患者の変更後の入院形態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
このケースでは、当初患者は任意入院に同意しましたが、その後入院への同意を撤回しました。患者が精神疾患により判断能力が低下し、自身が入院医療を必要としていることに気づかず、または拒否する状況で、精神保健指定医が診察の結果入院の必要性を認め、保護者(今回は両親)の同意が得られた場合に適用されるのが医療保護入院です。患者に自傷他害のおそれが明記されていないため、措置入院や緊急措置入院は該当しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者が自ら同意を撤回し、精神保健指定医が診察の結果、入院が必要と判断し、かつ家族等の同意が得られた場合、医療保護入院となります。この事例では、患者の同意撤回、精神保健指定医による診察、そして両親の同意という条件がすべて満たされています。選びやすい理由:患者が興奮しているため、措置入院や緊急措置入院と迷うかもしれませんが、これらの入院形態は、自傷他害のおそれがある場合に適用される点が異なります。混同注意:措置入院や緊急措置入院と混同しやすいですが、これらは自傷他害の危険性という明確な要件があります。
- 2. 応急入院は、急速を要し、家族等の同意が得られない場合に、72時間以内の期間で精神保健指定医1名の診察と判断によって行われる入院形態です。今回の事例では、両親の同意が得られているため、応急入院の要件とは異なります。正しくは:家族等の同意が得られない状況で、急を要する場合に適用されます。選びやすい理由:患者が興奮しており『一刻も早く退院したい』と訴えているため、『急を要する』という状況から選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:医療保護入院と似ていますが、応急入院は家族の同意が得られない場合に一時的に用いられる点が異なります。
- 3. 緊急措置入院は、自傷他害のおそれが著しいと判断され、かつ措置入院の要件を満たす時間的余裕がない場合に、都道府県知事または指定都市市長の命令によって72時間以内の期間で行われる入院形態です。この事例では、患者に自傷他害のおそれがあるとの記述がなく、また知事の命令という手続きも含まれていません。正しくは:自傷他害のおそれが著しく、措置入院の手続きを取る時間がない場合に、都道府県知事の命令で行われます。選びやすい理由:患者が『強く訴え興奮した』とあるため、危険な状態にあると連想しやすく、緊急措置入院を選びがちです。混同注意:措置入院と混同しやすいですが、緊急措置入院は時間的制約がさらに厳しい場合に適用されます。
- 4. 措置入院は、自傷他害のおそれが著しいと判断された場合に、2名以上の精神保健指定医による診察と都道府県知事または指定都市市長の命令によって行われる入院形態です。本事例では、患者に自傷他害のおそれがあるとの記述がなく、また知事の命令という手続きも含まれていません。正しくは:自傷他害のおそれが著しい場合に、都道府県知事の命令で行われます。選びやすい理由:患者の興奮状態から、周囲に危害を加える可能性を連想し、措置入院を考えてしまうかもしれません。混同注意:医療保護入院と混同しやすいですが、措置入院は患者の自傷他害の危険性が最も重要な判断基準となります。
- 5. 任意入院は、患者本人が自由意思に基づいて入院に同意し、いつでも退院できる入院形態です。本事例では、患者が『入院時の同意は取り下げる』と明確に意思表示しているため、任意入院の継続はできません。正しくは:患者本人の同意に基づく入院で、退院はいつでも可能です。選びやすい理由:当初は患者が同意していたため、任意入院のままだと誤解する可能性があります。混同注意:医療保護入院との違いは、患者の同意が維持されているかどうか、および家族の同意の要否です。
国試ポイント
精神保健福祉法における精神科病院への入院形態の理解が問われています。特に、患者の同意の有無、家族の同意の有無、自傷他害の危険性の有無、および医師や行政の関与の違いを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
各入院形態(特に医療保護入院、措置入院、応急入院、緊急措置入院)の要件と流れが混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず患者の『同意の有無』、次に『家族の同意の有無』、そして『自傷他害の危険性の有無』の3点に着目して判断する。
関連知識
精神保健福祉法第33条(医療保護入院)、第33条の2(応急入院)、第29条(措置入院)、第29条の2(緊急措置入院)。それぞれの条文の内容と、入院の際に必要な手続き、関与する人物(精神保健指定医、都道府県知事など)、期間について整理しておくことが重要です。