67歳の女性。作業療法中に傾眠傾向が続いた日があるかと思えば、声かけにはきはきと受け答えをする日もある。部屋の間違いや道に迷うことも多い。あるとき突然「カーテンの陰に人がいる」と話し怯えだした。この患者の原因疾患として最も可能性が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
この患者さんの症状で特徴的なのは、「傾眠傾向と明瞭な受け答えの変動」、「部屋の間違いや道に迷う見当識障害」、そして「カーテンの陰に人がいる」という具体的な幻視です。これらの組み合わせ、特に認知機能の変動と視覚的幻視はレビー小体型認知症の診断基準における中核症状であり、最も可能性が高いと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. アルツハイマー型認知症では、初期に記憶障害が顕著に現れ、見当識障害も進行しますが、変動する認知機能や幻視、パーキンソン症状は典型的ではありません。正しくは:記憶障害や実行機能障害が主症状で、初期には幻視や認知機能の変動は稀です。選びやすい理由:最も一般的な認知症であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:他の認知症と症状の一部が共通するため。
- 2. 正解。認知機能の変動(傾眠傾向と明瞭な受け答え)、視覚的幻視(「カーテンの陰に人がいる」)、見当識障害(部屋の間違いや道に迷う)は、レビー小体型認知症の主要な臨床的特徴です。
- 3. 前頭側頭型認知症は、人格変化や行動異常(脱抑制、常同行動)が初期から目立つことが特徴で、幻視や認知機能の変動は一般的ではありません。正しくは:行動の変化や言語の障害が主症状で、幻視や認知機能の変動は稀です。選びやすい理由:認知症の一種であるため、可能性の一つとして考えやすいかもしれません。混同注意:認知症の多様な症状の中で、具体的な特徴を把握していないと混同しやすいです。
- 4. 正常圧水頭症の古典的な三徴候は、歩行障害、認知症(記銘力障害や遂行機能障害)、尿失禁ですが、幻視や認知機能の著しい変動は典型的ではありません。正しくは:歩行障害、認知症、尿失禁が主要な三徴で、幻視や認知機能の著しい変動は典型的ではありません。選びやすい理由:認知機能障害を伴うため、混同する可能性があります。混同注意:高齢者の認知症様症状を呈する疾患として、鑑別診断に上がる疾患の一つであるため。
- 5. 血管性認知症は脳血管障害によって引き起こされ、段階的な進行やまだら認知症が特徴ですが、レビー小体型認知症のような明らかな認知機能の変動や幻視は中核症状ではありません。正しくは:脳血管障害により階段状に進行する認知症で、症状はまだらに現れることが多いですが、幻視や認知機能の変動が中核症状ではありません。選びやすい理由:高齢者に多く見られる認知症であり、認知機能の変動と捉えられなくもないため、混同しやすいかもしれません。混同注意:病変部位によって様々な症状を呈するため、特定のパターンがないと思われがちですが、幻視が主要症状ではありません。
国試ポイント
レビー小体型認知症の主要な臨床症状(認知機能の変動、幻視、パーキンソニズム)を正確に理解しているかが問われています。他の認知症との鑑別点、特に中核症状の違いを把握することが重要です。
混同注意
アルツハイマー型認知症(最も一般的)、血管性認知症(認知機能の変動を誤認)、前頭側頭型認知症(人格変化が主)、正常圧水頭症(認知機能障害を伴うが幻視は稀)。
次に同じ論点が出たら
今後、レビー小体型認知症の問題が出題された場合、パーキンソン症状(振戦、固縮、無動)の有無や、REM睡眠行動障害の既往など、他の診断基準となる症状が加味されるかどうかに注目する。
関連知識
レビー小体型認知症の診断基準(MCDLG 2017)、アルツハイマー型認知症の初期症状と進行、前頭側頭型認知症の行動異常、血管性認知症の病態と特徴、正常圧水頭症の三徴候。