51歳の女性。パート勤務。職場で突然、動悸がして息苦しくなり口をパクパク開けて過呼吸となった。「出勤するとまた発作が起こりそうだ」と言って自宅に閉じこもっている。この患者の症状で考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
この患者は、突然の動悸や息苦しさ、過呼吸といった身体症状を伴うパニック発作を経験しています。さらに、「出勤するとまた発作が起こりそうだ」という予期不安から自宅に閉じこもっており、これは広場恐怖を伴うパニック障害の典型的な症状パターンと一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 適応障害は、明確なストレス要因に対する反応として心身の症状が出ますが、パニック発作のような突発的で身体的な症状の繰り返しとそれに伴う予期不安、広場恐怖を特徴とするものではありません。環境への適応困難が主な症状です。正しくは:特定のストレス因子に反応して情緒面や行動面に症状が生じ、そのストレス因子がなくなれば改善するタイプの障害です。選びやすい理由:「職場」というストレス源があるため、適応障害も一見関連しそうに見えます。混同注意:広場恐怖を伴うパニック障害と、特定のストレス源による適応障害を混同する可能性があります。
- 2. 身体化障害は、身体症状が複数かつ慢性的に存在し、医学的に説明できない場合を指します。本事例では、動悸や息苦しさといった身体症状はパニック発作として説明可能であり、慢性的かつ多様な症状の存在は明示されていません。正しくは:身体化障害は、医学的に説明のつかない多様な身体症状が長期にわたって現れることが特徴です。選びやすい理由:「動悸がして息苦しくなり」という身体症状が目立つため、身体化障害も候補になりそうに見えます。混同注意:心気症や他の身体表現性障害と混同しやすいですが、パニック障害は典型的な症状としてパニック発作と予期不安を伴います。
- 3. 解離性昏迷は、意識が混濁したり、外界への反応が著しく低下したりする状態であり、動悸や息苦しさ、過呼吸を伴うパニック発作や、それに続く予期不安による引きこもりとは症状が異なります。正しくは:解離性昏迷は、意識障害や外界への反応性の低下が主症状で、精神的なストレスが引き金となることが多いですが、パニック発作の身体症状とは異なります。選びやすい理由:強いストレス反応である点では共通しますが、症状の質が異なります。混同注意:他の解離性障害や、精神病性障害における昏迷状態と混同する可能性があります。
- 4. 正解。この症例は、突然の動悸、息苦しさ、過呼吸といった身体症状を伴う「パニック発作」を経験し、その後「また発作が起こるのではないか」という「予期不安」から外出を避ける「広場恐怖(引きこもり)」に陥っている典型的なパニック障害の症状パターンを示しています。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため特になし)混同注意:(正答のため特になし)
- 5. 急性ストレス反応は、極めて強いストレスを受けた直後(通常は数時間から数日以内)に生じる一時的な症状で、パニック発作とその後の予期不安、広場恐怖による持続的な引きこもりとは異なります。パニック障害はより慢性的で、特定の外傷体験を前提としません。正しくは:急性ストレス反応は、耐えがたいストレスの後に数日以内に発症し、症状は一時的なものです。本症例は症状の持続と予期不安、広場恐怖が特徴です。選びやすい理由:職場でのストレスが引き金になっているように見えるため、ストレス反応の一種と捉えやすいです。混同注意:心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、パニック障害を急性期のストレス反応と混同する可能性があります。パニック障害は特定のトラウマなしに発症することもあります。
国試ポイント
パニック障害の主要な症状(パニック発作、予期不安、広場恐怖)を理解しているか、また他の精神疾患との鑑別ができるかが問われています。特に、発作性の身体症状とその後の不安、行動変化の連鎖がポイントです。
混同注意
適応障害、身体化障害、急性ストレス反応など、他のストレス関連障害や身体症状を伴う精神疾患との鑑別が難しい場合があります。パニック障害特有の『予期不安』と『広場恐怖』の有無が重要な鑑別点となります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、身体症状の突発性、その後の『再発への恐怖(予期不安)』、『特定の場所や状況を避ける行動(広場恐怖)』の3点が揃っているかを重点的に確認すると良いでしょう。
関連知識
パニック障害の診断基準(DSM-5またはICD-10)、パニック発作の症状、予期不安、広場恐怖、および認知行動療法や薬物療法(SSRIなど)といった治療法に関する知識。また、鑑別診断として心疾患、呼吸器疾患、甲状腺機能亢進症などの身体疾患の除外も重要です。