25歳の男性。右前腕切断。筋電義手の作製にあたり、ハンドを開くために長短橈側手根伸筋の筋電位を検出した。近位から見た右前腕横断面の模式図を示す。 ハンドを閉じるために検出する筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ハンドを閉じる動作は屈筋群によって行われる。問題文の図は近位から見た右前腕横断面であり、前腕の掌側(前方)には屈筋群が、背側(後方)には伸筋群が存在する。⑤は尺側手根屈筋であり、手関節の屈曲および尺側偏位に作用する主要な筋の一つで、前腕屈筋群の中でも特に筋電位を検出しやすい位置にあるため、筋電義手の制御筋として適している。
選択肢ごとの解説
- 1. ①は長橈側手根伸筋である可能性が高い。この筋は手関節の伸展と橈側偏位に作用し、ハンドを開く動作に関連する。問題文でハンドを開くために長短橈側手根伸筋が使われていると記載されており、ハンドを閉じる動作とは逆であるため誤り。正しくは:長橈側手根伸筋はハンドを開くために利用される筋の一つである。選びやすい理由:長橈側手根伸筋は、問題文でハンドを開くために使用される筋として挙げられているため、関連する筋として注意を引くが、求められているのはハンドを閉じる筋である点を見落としやすい。混同注意:ハンドを閉じる筋(屈筋群)とハンドを開く筋(伸筋群)。
- 2. ②は上腕骨顆上付近に位置する筋の一部であり、前腕の屈筋群ではない可能性が高い。図の正確な位置から特定は難しいが、一般的な前腕横断面図と比較すると、回外筋や腕橈骨筋の一部である可能性が考えられる。これらはハンドを閉じる主動作筋ではないため誤り。正しくは:ハンドを閉じるための主動作筋は前腕屈筋群に属する。選びやすい理由:図の矢印が指し示す解剖学的部位の知識が不十分だと、どれがどの筋か判断が難しく、消去法で選んでしまう可能性がある。混同注意:前腕の深層筋群や回旋筋群。
- 3. ③は尺骨に近接した背側の筋である。これは前腕伸筋群の一部(例えば、総指伸筋、小指伸筋など)である可能性が高く、ハンドを開く動作に関与する。したがって、ハンドを閉じる動作とは逆であるため誤り。正しくは:③は前腕伸筋群の一部であり、ハンドを開く動作に関与する。選びやすい理由:前腕の筋の位置関係の知識が曖昧だと、屈筋と伸筋の区別がつかず、誤って選択してしまう可能性がある。混同注意:前腕の屈筋群と伸筋群。
- 4. ④は橈骨に近接した背側の筋である。これも前腕伸筋群の一部(例えば、長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋など)である可能性が高く、ハンドを開く動作や母指の動きに関与する。ハンドを閉じる動作とは逆であるため誤り。正しくは:④は前腕伸筋群の一部であり、ハンドを開く動作や母指の動きに関与する。選びやすい理由:指の動きに関わる筋であることは認識できても、それが屈筋か伸筋か、また手の開閉に直接関わるかどうかの判断を誤る可能性がある。混同注意:前腕の屈筋群と伸筋群。
- 5. 正解。⑤は前腕の掌側尺側に位置する太い筋であり、尺側手根屈筋と考えられる。この筋は手関節の屈曲に作用するため、ハンドを閉じる動作に必要な筋電位を検出するのに適している。問題文で「ハンドを開くために長短橈側手根伸筋の筋電位を検出した」とあることから、ハンドを閉じるためには屈筋群の筋電位を検出する必要がある。⑤は前腕屈筋群の主要な筋であり、この目的で適切である。選びやすい理由:前腕の筋は多数あり、それぞれの位置と機能を正確に覚える必要がある。図のどの部分がどの筋かを正確に特定できなければ、正答にたどり着けない可能性がある。混同注意:前腕橈側手根屈筋や長掌筋など、他の屈筋群。
国試ポイント
前腕の筋の解剖学的配置(屈筋群と伸筋群の位置関係)と、それらが手関節および指の動きにどのように関与するかを理解しているか、また、筋電義手における制御筋の選択基準を理解しているかが問われる。
混同注意
前腕の筋は層になっており、互いに近接しているため、それぞれの筋の正確な位置と機能を混同しやすい。特に、橈側手根屈筋と尺側手根屈筋、長掌筋などの屈筋群と、長短橈側手根伸筋などの伸筋群の区別が重要である。
次に同じ論点が出たら
筋電義手の制御筋を問う問題が出題された場合、まず問題の動作が屈曲か伸展かを確認し、それに対応する前腕の筋群(屈筋群または伸筋群)を特定する。次に、図の解剖学的位置関係から、特定の筋がどの動作に関与するかを判断する。
関連知識
前腕の屈筋群は主に正中神経と尺骨神経に支配され、伸筋群は橈骨神経に支配される。筋電義手では、拮抗する筋(例えば、手の開閉に対応する伸筋と屈筋)の筋電位を利用して動作を制御する。切断者の場合、残存筋を用いて義手を操作するため、残存筋の機能的評価が重要となる。