うつ病に起こりやすい思考障害はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
うつ病では、精神活動全般が抑制される傾向にあり、思考の速度が遅くなったり、考えがまとまりにくくなる「思考制止」が特徴的な症状です。患者は「頭が重い」「何も考えられない」「決断できない」などと訴えることが多いです。他の選択肢は、躁病や統合失調症に特徴的な思考障害であり、うつ病には該当しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 迂遠は、話が本筋からそれて遠回りになり、最終的に本題に戻る思考障害です。これは統合失調症やてんかん性パーソナリティ障害などで見られやすく、うつ病の典型的な思考障害ではありません。正しくは:うつ病では思考の速度が低下したり、内容が悲観的になることが特徴です。選びやすい理由:思考のまとまりがなくなる点では類似していますが、迂遠は回りくどい話し方で最終的に本題に戻るのに対し、うつ病の思考障害は本題に進めない、あるいは思考そのものが停滞するという違いがあります。混同注意:思考制止や思考貧困と混同しやすいかもしれませんが、迂遠は思考の進め方の問題であり、思考の速度や内容の乏しさとは異なります。
- 2. 観念奔逸は、次々に考えが浮かび、思考の流れが飛躍し、本筋から逸脱しやすい状態です。これは躁病エピソードの特徴的な症状であり、うつ病とは対極の思考障害です。正しくは:うつ病では思考が停滞し、進みにくくなります。選びやすい理由:思考の障害という点では共通しますが、その性質は全く異なります。観念奔逸は思考の加速、うつ病は思考の減速です。混同注意:思考制止とは真逆の概念です。躁病の症状と混同しやすいでしょう。
- 3. 正解。思考制止は、思考の速度が低下し、考えがまとまらず、次に何をするべきか決められない、あるいは何も考えられないと感じる状態です。これはうつ病の中心的症状の一つであり、患者はしばしば「頭が働かない」「考えがまとまらない」と訴えます。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:他の思考障害と比べ、うつ病の患者さんの訴えと最も合致するため、選びやすいです。混同注意:思考貧困や思考途絶と似ていますが、思考制止は思考の速度や量の低下を指し、思考途絶のように突然思考が途切れる現象とは異なります。
- 4. 思考途絶は、思考の流れが突然中断し、その前後の脈絡が失われる現象です。これは統合失調症に特徴的な思考障害であり、うつ病では通常見られません。正しくは:うつ病では思考の速度が全体的に低下しますが、突然途切れることは稀です。選びやすい理由:思考が中断するという点で、思考制止と混同する可能性がありますが、途絶は突然の停止であり、制止は緩やかな停滞です。混同注意:統合失調症の思考障害である思考散乱や滅裂思考と関連しますが、うつ病の思考制止とは異なります。
- 5. 滅裂思考は、思考に一貫性がなく、内容がバラバラでまとまりがない状態を指します。これは統合失調症に特徴的な思考障害であり、うつ病の思考障害とは異なります。正しくは:うつ病では思考の速度が遅くなるものの、通常は思考の内容がバラバラになることはありません。選びやすい理由:思考のまとまりがなくなるという点で、一見うつ病と関連しそうですが、滅裂思考は思考の構造そのものが崩れるのに対し、うつ病の思考制止は思考の「進行」が妨げられるものです。混同注意:統合失調症の思考障害である思考散乱や思考途絶と混同しやすいです。うつ病の思考制止とは質的に異なります。
国試ポイント
精神疾患における思考障害の種類と、それぞれの疾患との関連性を正確に理解しているかが問われる問題です。特に、うつ病、躁病、統合失調症に典型的な思考障害を区別できる知識が求められます。
混同注意
思考制止と思考貧困、思考途絶、あるいは思考の遅延との区別。それぞれの思考障害がどの精神疾患に典型的かを正確に覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、各思考障害の定義と、それがどの精神疾患(特にうつ病、躁病、統合失調症)に典型的であるかを正しく関連付けられるかが重要になります。具体的な症例を提示し、どの思考障害が当てはまるかを問う形式も考えられます。
関連知識
うつ病の主な症状(抑うつ気分、興味・喜びの喪失、食欲・睡眠障害など)、躁病の主な症状(気分高揚、活動亢進、易刺激性など)、統合失調症の主な症状(幻覚、妄想、思考障害、意欲低下など)。DSM-5やICD-10/11における各疾患の診断基準。精神科領域の評価尺度(例:ハミルトンうつ病評価尺度など)でも思考制止は評価項目に含まれることが多い。