アルコール離脱せん妄で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
アルコール離脱せん妄は、大量の飲酒を長期間続けていた人が急に飲酒を中断、または減量した際に発生する一連の症状の中で、最も重篤なものの一つです。飲酒停止後、通常2〜4日(72〜96時間)程度で最も頻繁に発生し、ピークを迎えます。これは、アルコールによる中枢神経抑制効果が消失し、興奮状態に陥るためです。
選択肢ごとの解説
- 1. アルコール離脱せん妄は、重症化すると全身けいれん、高熱、脱水、電解質異常などを引き起こし、生命に危険を及ぼす可能性があります。適切な医療介入がなければ死亡率も上昇するため、生命への危険性は高いと認識すべきです。正しくは:生命に関わるリスクは高い。選びやすい理由:せん妄という言葉から一時的な精神症状と捉え、生命への直接的な危険性が低いと誤解する可能性があります。混同注意:単なるアルコール離脱症状(振戦、発汗など)と、重篤なせん妄状態を混同するかもしれません。
- 2. 羽ばたき振戦(asterixis)は、肝性脳症や尿毒症、呼吸不全など代謝性脳症でよく見られる不随意運動であり、アルコール離脱せん妄の主要な症状ではありません。アルコール離脱症状としては、通常の振戦(粗大な手足の震え)がみられます。正しくは:粗大な振戦がみられる。選びやすい理由:振戦というキーワードがアルコール離脱症状と関連するため、種類まで意識せずに選んでしまう可能性があります。混同注意:肝性脳症など他の病態での振戦の種類と混同する可能性があります。
- 3. アルコール離脱せん妄の急性期治療では、中枢神経系の過興奮を鎮めるためにベンゾジアゼピン系薬剤の投与が第一選択となります。抗酒薬(ジスルフィラムなど)は断酒維持を目的とした薬であり、急性期の離脱症状やせん妄に対しては使用しません。むしろ、せん妄状態での抗酒薬投与は危険です。正しくは:速やかにベンゾジアゼピン系薬剤を投与する。選びやすい理由:アルコール関連の問題であるため、アルコール依存症の治療薬である抗酒薬を連想しやすいですが、使用するタイミングと目的が異なります。混同注意:アルコール依存症の治療薬全般と、離脱せん妄の急性期治療薬を混同する可能性があります。
- 4. 正解。アルコール離脱せん妄は、飲酒中断後、おおよそ48~96時間(2~4日)の間に発症のピークを迎えることが多いです。アルコールが体から抜けるにつれて、抑制されていた中枢神経が過興奮状態になるためです。混同注意:他のアルコール離脱症状(震え、発汗、吐き気など)の出現時期(飲酒停止後数時間〜24時間)と混同する可能性があります。
- 5. アルコール離脱せん妄は、体内のアルコール濃度が低下し、中枢神経系の抑制が解除されることで生じる過興奮状態です。アルコール摂取中に発症するものではなく、飲酒を停止したり減量したりした後に、体内のアルコール濃度が下がっていく過程で起こります。正しくは:血中のアルコール濃度が低下するとともに発生する。選びやすい理由:飲酒に関連する症状であるため、アルコール濃度の上昇が原因と誤解しやすいですが、正確には離脱症状である点を理解していれば選択しません。混同注意:アルコール中毒症状(アルコール濃度上昇に伴う意識障害など)とアルコール離脱症状を混同する可能性があります。
国試ポイント
アルコール離脱せん妄の発生時期、症状、治療法、生命への危険性など、病態の基本を理解しているかが問われています。特に、症状出現のタイミングと急性期治療が重要です。
混同注意
アルコール離脱症状の初期段階(振戦、発汗など)と、せん妄という重篤な精神神経症状の区別、また、他の疾患でみられる振戦の種類との区別が曖昧になりがちです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題された場合、アルコール離脱せん妄の鑑別診断、具体的な治療薬の種類と作用機序、OTとしてのアプローチ(環境調整、安全管理)が問われる可能性があります。
関連知識
アルコール離脱症状の段階(初期離脱症状、離脱けいれん、離脱せん妄)、各症状の出現時期。アルコール依存症の治療(急性期治療、断酒維持療法)。肝性脳症、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群など、アルコール関連疾患の知識。