ステロイド薬の長期投与によって生じやすいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ステロイド薬の長期投与は、骨形成の抑制と骨吸収の促進により、骨密度の低下を招き、骨粗鬆症を引き起こします。これはステロイド性骨粗鬆症として知られ、骨折のリスクを高める重要な副作用です。
選択肢ごとの解説
- 1. ステロイド薬の長期投与は腎機能低下を直接引き起こす主要な副作用ではありません。正しくは:ステロイド薬の長期投与で腎機能が直接低下することは稀ですが、関連する病態として、例えば糖尿病性腎症の悪化など間接的な影響は考えられます。しかし、腎不全が起こりやすい副作用とは言えません。選びやすい理由:一般的な慢性疾患の合併症として腎機能障害があるため、選択肢として見慣れた印象を受けるかもしれません。混同注意:他の慢性疾患による合併症と混同しやすいです。ステロイドの副作用としては、高血圧や糖尿病による腎機能への二次的影響が考えられますが、腎不全そのものが直接の一般的な副作用ではありません。
- 2. ステロイド薬、特に糖質コルチコイドの長期投与は、ナトリウムと水分の貯留を促進し、レニン-アンギオテンシン系の活性化を通じて、血圧を上昇させる傾向があります。したがって、低血圧ではなく高血圧を引き起こすことが多いです。正しくは:ステロイド薬の長期投与では「高血圧」が生じやすいです。選びやすい理由:副腎皮質機能低下症による血圧低下と混同する可能性がありますが、これはステロイドの急な中止や不足によって起こる状態です。長期投与による直接の副作用は高血圧です。混同注意:副腎皮質機能低下症による低血圧と、ステロイド薬長期投与による副作用(高血圧)を混同しやすいです。
- 3. 正解。ステロイド薬の長期投与は、骨形成を抑制し、骨吸収を促進することで、骨密度の低下(骨粗鬆症)を引き起こす主要な副作用の一つです。骨折のリスクが高まります。選びやすい理由:ステロイド性骨粗鬆症は非常に有名な副作用であり、医療従事者としては必ず知っておくべき内容です。
- 4. ステロイド薬の長期投与は、食欲増進作用や体脂肪の再分布(中心性肥満)、水分貯留などにより、体重増加を引き起こすことが一般的です。正しくは:ステロイド薬の長期投与では「体重増加」が生じやすいです。選びやすい理由:何らかの薬剤が体重減少を引き起こすことがあるため、選択肢として違和感がないかもしれませんが、ステロイドの特性とは異なります。混同注意:甲状腺機能亢進症など、体重減少を引き起こす他の病態や薬剤の副作用と混同しやすいです。
- 5. ステロイド薬、特に糖質コルチコイドはミネラルコルチコイド作用も持ち、腎臓でのナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進します。そのため、長期投与では血中カリウム値が低下する「低カリウム血症」を引き起こすことがあります。正しくは:ステロイド薬の長期投与では「低カリウム血症」が生じやすいです。選びやすい理由:電解質異常は様々な薬剤で起こるため、カリウム値の変動自体は不自然に感じないかもしれません。混同注意:腎不全など高カリウム血症を引き起こす他の病態や、利尿薬の種類による電解質異常と混同しやすいです。
国試ポイント
ステロイド薬の主要な副作用について正確な知識が問われています。特に、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、体重増加、易感染性、消化性潰瘍、精神症状、副腎機能抑制などは頻出項目です。
混同注意
ステロイドの作用と副作用について、作用機序と関連付けて理解していないと、他の内分泌系の疾患や他の薬剤の副作用と混同しやすいです。例えば、高血圧と低血圧、体重増加と体重減少、高カリウム血症と低カリウム血症など、真逆の作用を選択肢として配置することで、理解度を測る問題形式が多く見られます。
次に同じ論点が出たら
今後もステロイド薬の副作用に関する問題は繰り返し出題されると予想されます。特に、各副作用の具体的な機序、臨床症状、およびそれらへの対処法や予防法についても問われる可能性があります。例えば、『ステロイド性骨粗鬆症の予防策で適切なのはどれか』といった応用問題が考えられます。
関連知識
ステロイド薬の作用機序(抗炎症作用、免疫抑制作用、代謝作用など)、投与量や投与期間による副作用の発現頻度の違い、副作用に対する予防策(カルシウム・ビタミンD補給、ビスホスホネート製剤など)、離脱症状と副腎クリーゼ。