悪性腫瘍細胞の特徴で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
悪性腫瘍細胞の病理組織学的特徴の一つに、核が相対的に肥大し、細胞質が減少する傾向があるため、核/細胞質比(N/C比)が増大することが挙げられます。選択肢4の「核/細胞質比が小さい」は、この特徴と矛盾するため、誤りとなります。他の選択肢は、悪性腫瘍細胞の一般的な特徴を正しく記述しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 悪性腫瘍細胞は、正常細胞と比較して、制御不能な増殖を示し、非常に速いペースで細胞分裂を繰り返します。正しくは:これは悪性腫瘍細胞の正しい特徴です。選びやすい理由:一見すると正しい記述に見えるため、選択肢として違和感がないかもしれません。混同注意:良性腫瘍細胞でも増殖は見られますが、悪性腫瘍ほど速く、無秩序ではありません。
- 2. 悪性腫瘍細胞は活発に分裂するため、組織標本では多数の核分裂像が観察されます。これは高増殖性を示す特徴です。正しくは:これは悪性腫瘍細胞の正しい特徴です。選びやすい理由:核分裂が多いという記述は、悪性腫瘍のイメージと合致するため、正しい選択肢だと判断されやすいです。混同注意:正常な組織でも細胞のターンオーバーがある部位では核分裂が見られますが、悪性腫瘍の場合はその頻度や形態に異常が見られます。
- 3. 悪性腫瘍細胞では、遺伝子の変異だけでなく、数的・構造的な染色体異常(例:異数体、転座、欠失など)が高頻度に見られます。正しくは:これは悪性腫瘍細胞の正しい特徴です。選びやすい理由:がんの原因として遺伝子異常が広く知られているため、染色体異常も悪性腫瘍の特徴として理解しやすいです。混同注意:一部の良性腫瘍や先天性疾患でも染色体異常が見られることがありますが、悪性腫瘍ではその種類と頻度がより多様で広範です。
- 4. 正解。悪性腫瘍細胞は、細胞質と比較して核が大きく、核/細胞質比(N/C比)が上昇するのが特徴です。これは、核内の遺伝物質が活発に複製され、細胞が増殖傾向にあることを示します。正しくは:核と細胞質の比率(N/C比)が『大きい』。選びやすい理由:「小さい」という言葉に引っかからず、他の選択肢が正しく見えるため、誤って正しい記述だと判断してしまう可能性があります。混同注意:細胞の種類や分化度によってN/C比は異なりますが、未分化で増殖性の高い細胞ほど核が大きく、N/C比が高い傾向にあります。悪性腫瘍細胞は未分化な特徴を持つことが多いです。
- 5. 悪性腫瘍細胞の分化度が低い(未分化である)ほど、その細胞は正常組織の構造や機能から逸脱しており、増殖能が高く、浸潤・転移を起こしやすいことから、悪性度が高いと判断されます。正しくは:これは悪性腫瘍細胞の正しい特徴です。選びやすい理由:分化度が低い=悪い状態という直感と一致するため、正しい記述として選びやすいです。混同注意:分化度の高い(高分化な)悪性腫瘍細胞も存在しますが、一般的に未分化な細胞ほど予後が悪い傾向にあります。
国試ポイント
悪性腫瘍細胞の形態学的特徴や生物学的特性に関する基本的な知識が問われています。特に、核/細胞質比は病理診断において重要な指標となるため、その意義を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
核/細胞質比の大小に関する記述は、学生が誤解しやすいポイントです。未分化な状態や活発な増殖を示す細胞は核が大きく、N/C比が高くなることを認識しておく必要があります。また、良性腫瘍と悪性腫瘍の境界線を曖昧にするような選択肢(例:浸潤・転移の有無など)と混同させないことも重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、悪性腫瘍の細胞学的・組織学的特徴を具体的に列挙し、それぞれがなぜ悪性を示すのかを説明できるかを確認すると良いでしょう。特に、核の形態異常(クロマチン凝集、核小体の異常)や核分裂像の異常(異型核分裂)など、他の病理所見との関連性も問われる可能性があります。
関連知識
悪性腫瘍の病理組織学的特徴(異型性、核のクロマチン増量、核小体明瞭化、多形性など)、細胞周期の異常、アポトーシスの抑制、血管新生、浸潤・転移のメカニズム、腫瘍マーカー。