Alzheimer型認知症で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
アルツハイマー型認知症の病態生理において、脳内のアミロイドβが蓄積して老人斑が形成され、その後タウ蛋白の異常なリン酸化による神経原線維変化が生じ、これらの病理学的変化が一定のレベルに達した後に認知機能障害という臨床症状が出現すると考えられています。したがって、認知症症状は病理学的変化、特に老人斑の形成より遅れて出現するというのが正しい理解です。
選択肢ごとの解説
- 1. まだら認知症は脳血管性認知症に特徴的な症状であり、アルツハイマー型認知症では全体的な認知機能の低下が緩徐に進行します。正しくは:まだら認知症は脳血管性認知症の代表的な特徴である。選びやすい理由:認知症の種類が多いため、それぞれの特徴が混同しやすい。混同注意:脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の臨床症状。
- 2. 階段状の進行は脳血管性認知症に典型的であり、アルツハイマー型認知症は通常、緩やかで持続的な進行を示します。正しくは:症状の経過は緩徐で持続的な悪化を示す。選びやすい理由:認知症全般の進行と誤解しやすい。混同注意:脳血管性認知症の進行様式とアルツハイマー型認知症の進行様式。
- 3. 正解。老人斑(アミロイドβの沈着)や神経原線維変化(タウ蛋白の蓄積)といった病理学的変化が先行し、これらの蓄積がある程度の閾値を超えた後に臨床症状としての認知症が出現すると考えられています。これはアルツハイマー病の病態生理における特徴の一つです。選びやすい理由:症状と病理学的変化の時間差は覚えにくい点かもしれない。
- 4. 神経原線維変化は、異常なタウ蛋白が神経細胞の『内部(細胞内)』に過剰にリン酸化され、蓄積することで形成されます。細胞外に沈着するのはアミロイドβであり、これが老人斑を形成します。正しくは:神経原線維変化はタウ蛋白の細胞内沈着により起こる。選びやすい理由:タウ蛋白とアミロイドβの区別が曖昧だと誤りやすい。また、細胞外・細胞内の違いに注意を払わないと引っかかりやすい。混同注意:タウ蛋白(細胞内沈着)とアミロイドβ蛋白(細胞外沈着)。
- 5. 現在のアルツハイマー型認知症治療薬(例:コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬)は、症状の進行を遅らせたり、一時的に症状を軽減したりする対症療法であり、病気の進行を止める、あるいは根本的に治癒させる効果はまだありません。正しくは:現在の治療薬は症状の進行を遅らせる対症療法であり、根本的治療は望めない。選びやすい理由:新薬開発のニュースなどから、治療法が進歩しているという印象を受けやすい。混同注意:対症療法と根本的治療。
国試ポイント
アルツハイマー型認知症の病理学的特徴(老人斑、神経原線維変化、アミロイドβ、タウ蛋白)と臨床症状の出現時期の関係、および他の認知症(特に脳血管性認知症)との鑑別点が頻出です。治療薬の効果についても対症療法か根本的治療かを問われることが多いです。
混同注意
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の症状経過や病理学的特徴。アミロイドβとタウ蛋白それぞれの沈着部位(細胞外 vs 細胞内)。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が問われた場合、それぞれの認知症の病態生理、典型的な症状の経過(緩徐進行 vs 階段状進行 vs 日内変動)、主要な病理学的特徴(アミロイドβ、タウ、レビー小体、TDP-43など)およびその発現部位、そして治療薬の現在の位置づけ(対症療法か、根本的治療か)に注目して選択肢を吟味する。
関連知識
アルツハイマー型認知症の病理:アミロイド仮説、タウ仮説。病期による症状の変化。薬物療法の種類と作用機序。鑑別診断:レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など。