80歳の女性。重度の認知症患者。訪問作業療法を実施した際の足の写真(別冊No. 3)を別に示す。対処方法で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示す画像は、80歳で重度の認知症患者の足部で、浮腫や皮膚の脆弱性を示唆しています。このような症状は、低栄養や脱水、全身の循環不全など、全身状態の悪化が原因で生じることが多いです。そのため、患者の摂食状況を評価し、栄養状態や水分摂取量を把握することは、根本的な原因を探り、適切な介入を行う上で非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 入浴を禁止する理由がこの足部の状態からは直接導き出されません。むしろ適切な清潔保持は皮膚状態の悪化を防ぐために重要です。正しくは:足部の状態に応じて、清拭や入浴時の工夫を検討する。選びやすい理由:皮膚状態が悪い場合、刺激を避けるために清潔行為を制限すべきと誤解する可能性がある。混同注意:皮膚トラブルへの対応と清潔行為の関連性。
- 2. 正解。画像に示すような浮腫や皮膚の脆弱性は、低栄養や脱水が原因で生じることが多く、全身状態、特に摂食状況の確認は重要な対処法です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:一見、足部の問題と摂食状況が無関係に見えるため。混同注意:局所的な皮膚トラブルと全身状態の関連性。
- 3. 浮腫や皮膚の脆弱性がある状態での足部装具の装着は、圧迫による皮膚トラブルを悪化させるリスクがあり、適切ではありません。まずは原因の特定と改善が必要です。正しくは:皮膚状態が改善し、必要性が確認された場合に、適切な装具を検討する。選びやすい理由:足部の安定性や変形予防のために装具が必要だと考えるかもしれない。混同注意:足部の機能障害に対する一般的な装具療法の適応。
- 4. 浮腫や皮膚の脆弱性がある場合でも、ROM訓練が必ずしも禁忌ではありません。状態に応じて慎重に実施することで、関節拘縮の予防や血流改善に繋がる可能性があります。ただし、無理な訓練は避けるべきです。正しくは:足部の状態を評価し、痛みや皮膚の損傷に注意しながら、必要に応じて軽度な足関節の可動域訓練を検討する。選びやすい理由:皮膚の損傷を恐れて、すべての運動を避けるべきだと考えるかもしれない。混同注意:病態悪化時のリハビリテーションの可否。
- 5. 踵部にドーナツ型クッションを使用すると、ドーナツの縁が圧迫点となり、かえって特定の部位に圧力が集中し、褥瘡を悪化させるリスクがあるため推奨されません。正しくは:踵部には、体圧分散効果の高いクッションやポジショニングを行う。選びやすい理由:踵への圧迫を避けるために効果的だと誤解しやすい。混同注意:褥瘡予防のための適切な体圧分散用品の選択。
国試ポイント
高齢者、特に認知症患者の皮膚トラブルや浮腫に対して、局所的な処置だけでなく、全身状態、特に栄養・水分摂取の状況といった基本的な生活要因からアセスメントする視点が問われています。ドーナツ型クッションの使用が褥瘡悪化に繋がることも頻出の知識です。
混同注意
局所的な症状に対する局所的な介入のみに注目してしまい、全身状態(特に栄養・水分)との関連を見落としやすい。また、ドーナツ型クッションが褥瘡予防に有効だと誤解する知識の混同も狙われています。
次に同じ論点が出たら
同様の問題では、全身状態の評価項目(体重、血液検査データ、意識レベルなど)、具体的な低栄養・脱水時の看護・リハビリ介入、褥瘡の適切な予防・治療法、または高齢者の皮膚脆弱性に対するケアについて問われる可能性があります。
関連知識
高齢者の低栄養や脱水、認知症患者における食事摂取量の低下、褥瘡発生のメカニズムと予防、浮腫の原因と対応、皮膚トラブル時の清潔保持とリハビリテーションの可否。