60歳の男性。脳血管障害による右片麻痺。ベッドから車椅子への移乗は1人で何とか可能である。ベッドから車椅子への移乗場面の初回評価において、ベッド、車椅子および作業療法士の相対的な位置関係で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
脳血管障害による右片麻痺の患者は、健側である左側を下肢の支持や重心移動に活用し、麻痺側である右側への荷重を避けつつ移乗することが安全です。そのため、ベッドから車椅子への移乗では、車椅子を患者の健側(左側)に設置し、健側から安全に移乗できるような配置が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。右片麻痺の患者の場合、健側である左側を軸として移乗を行うのが安全かつ基本です。図1では、車椅子がベッドの左側に配置されており、患者はベッドの左端に座り、車椅子に左側から移乗する姿勢となります。これは、健側を有効活用できるため、最も適切な移乗方法です。選びやすい理由:健側への移乗は基本的な介助原則であるため、適切と判断しやすいです。混同注意:介助者の立ち位置や介助方法によっては、健側移乗でも不適切な場合があること。しかし、この設問では車椅子の位置に限定されているため、健側への設置が正しい。
- 2. 図2では、車椅子が患者の正面に遠く配置されており、患者はベッドからほぼ直進で車椅子に向かう必要があります。この配置では、右片麻痺の患者が健側(左側)を有効活用して安全に移乗することが難しく、不安定になり転倒のリスクが高まります。特に、1人で移乗可能なレベルであっても、不適切な配置は事故に繋がりやすいです。正しくは:車椅子を患者の健側(左側)に近づけて配置する。選びやすい理由:ベッドからの立ち上がりの延長線上に車椅子を配置するといった、単純な配置と考えてしまう可能性があるため、選びやすいかもしれません。混同注意:介助者がいる場合の一般的な移乗方法。自立移乗の場合は、より患者の身体状況に合わせた設置が必要。
- 3. 図3では、車椅子が患者の麻痺側(右側)に配置されています。右片麻痺の患者が麻痺側を下肢の支持や重心移動に使うことは困難であり、移乗時に不安定になりやすく、転倒のリスクが非常に高まります。この配置は避けるべきです。正しくは:車椅子を患者の健側(左側)に配置する。選びやすい理由:介助者がいる場合や、患者が完全に健常である場合など、介助の基本原則を無視した状況を想定してしまい、選択肢として考慮してしまう可能性があります。混同注意:健側移乗と麻痺側移乗の区別。
- 4. 図4では、車椅子がベッドの左奥(患者の健側)に位置していますが、ベッドに対して大きく角度がついています。この配置では、患者は身体を大きくねじる必要があり、特に右片麻痺で体幹の安定性が低下している場合、不安定になりやすく、安全な移乗が困難です。車椅子をベッドに平行に近づけるか、斜めに設置する場合でも、より小さい角度で設置することが望ましいです。正しくは:車椅子を患者の健側(左側)に、ベッドに平行またはやや斜めに、より近い位置に配置する。選びやすい理由:健側側に車椅子があるため、一見適切に見えますが、角度が不適切であることを見落としやすいかもしれません。混同注意:健側であればどのような配置でも安全であるという誤解。
- 5. 図5では、車椅子が患者の麻痺側(右側)の奥に配置されており、しかもベッドに対して大きく角度がついています。これは麻痺側への移乗であることに加え、不自然な角度での身体のねじりが必要となるため、右片麻痺の患者にとっては最も危険で不適切な配置です。転倒のリスクが極めて高くなります。正しくは:車椅子を患者の健側(左側)に、ベッドに平行またはやや斜めに、より近い位置に配置する。選びやすい理由:この選択肢は非常に不適切であるため、誤答と判断しやすいですが、あえて選択するとすれば、介助方法の理解が不足している場合に誤って選ぶ可能性があります。混同注意:健側移乗と麻痺側移乗の区別、および適切な車椅子とベッドの角度の理解。
国試ポイント
片麻痺患者の移乗において、健側を有効活用した安全な介助・移乗方法を理解しているか。
混同注意
麻痺側への移乗は不安定で転倒のリスクが高まるため、健側への移乗と混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合は、患者の麻痺の部位と程度、移乗動作の自立度をまず確認し、健側を最大限に利用できるような環境設定がされているかどうかを判断基準とする。
関連知識
片麻痺患者の立ち上がりでは、麻痺側下肢への荷重を避け、健側下肢で支持するように指導する。歩行訓練では、装具の選択や杖の使用など、患者の状態に応じた補助具の活用も重要。