上肢・手指のBrunnstrom法ステージとテスト動作の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Brunnstrom法の上肢ステージⅣでは、共同運動パターンからの部分的な分離運動が可能となる段階であり、「手を背部の後ろへ回す」動作はその代表的なテスト動作の一つです。これは、肘屈曲、肩内転・内旋という共同運動パターンの一部を利用しつつも、通常では困難な体幹後方への手の到達を伴う運動であり、共同運動からの逸脱を示す重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Brunnstrom法の評価基準において、上肢ステージⅣでは、肘関節屈曲位で手を背部の後ろに回す(背部への手伸ばし)動作が検査項目の一つとして含まれており、共同運動パターンから逸脱した随意運動能力の出現を示します。
- 2. 肘を伸ばしたまま腕を前方水平位に上げる動作は、上肢ステージⅤの代表的なテスト動作ではありません。ステージⅤでは共同運動パターンからのより大きな分離を評価しますが、この動作はステージⅥでより完全な随意運動として現れることが多いです。正しくは:上肢ステージⅤの代表的なテスト動作には、共同運動から分離した運動が含まれます。例えば、「上肢を90°外転位から肘伸展」や「肩を90°屈曲位から前腕回外」などがあります。肘伸展位での前方水平挙上は、共同運動パターンを逸脱した動きではありますが、ステージⅤの代表的なテスト動作とは異なり、ステージⅥでより完全な随意運動として現れるとされています。選びやすい理由:ステージⅤは共同運動からの分離が進む段階であるため、肘を伸ばしたまま腕を挙上する動作が可能になるという記述は、一見正しそうに思えます。しかし、特定されたテスト動作と完全に一致しません。混同注意:上肢ステージⅣとⅤ、およびⅥにおける共同運動からの分離度合いの具体的なテスト動作を混同しやすいです。特に、ステージⅤとⅥの境界線が曖昧になりやすいでしょう。
- 3. Brunnstrom法において、肘伸展位・肩関節90°屈曲位での前腕回内・回外は、上肢ステージⅥではなく、上肢ステージⅤのテスト動作です。ステージⅥは、個々の関節が分離して速く、かつ協調的に動作する能力を評価します。正しくは:「上肢ステージⅤ: 肘を伸ばし、肩を90度曲げた状態で前腕を回内・回外できる。」とするか、上肢ステージⅥのテスト動作としては「最小限の抵抗下で、様々な速度で個々の関節運動を速く、正確に行える」といったより高度な協調性・速度を伴う運動が該当します。選びやすい理由:ステージⅤとⅥは共同運動からの分離が高度になる段階であり、このような複雑な動きはステージⅥで可能になるというイメージから、正しい選択肢だと誤解しやすいです。混同注意:ステージⅤとⅥの具体的なテスト動作を混同しやすいです。特に、共同運動からの分離度合いが高度になるにつれて、各ステージの細かい区別が難しくなります。
- 4. 手指BrunnstromステージⅢのテスト動作は、通常、共同運動パターン内での粗大な握り動作やフック握り、あるいは指の屈曲共同運動の出現を評価します。横つまみ(側腹つまみ)は、指の個別の運動分離をある程度必要とするため、手指ステージⅢではなく、通常は手指ステージⅣで可能になる動作です。正しくは:「手指ステージⅢ: 粗大な握りや、フック握り、指の屈曲共同運動が現れる。」または「手指ステージⅣ: 横つまみ(側腹つまみ)ができる。」選びやすい理由:ステージⅢは共同運動から少しずつ分離し始める段階であり、握り動作が可能になるため、横つまみもその延長で可能になると誤解しやすいです。混同注意:手指のステージ分類における、共同運動パターンと個別運動の出現段階を混同しやすいです。特に、つまみ動作の種類と各ステージの対応を間違えやすいです。
- 5. 手指BrunnstromステージⅤのテスト動作は、通常、親指と他の指との対立運動、あるいは指の個別の運動が、全可動域にわたって完全に機能することを示します。しかし、「指を完全に伸ばす」という動作は、ステージⅤではなく、ステージⅥのテスト動作に該当します。ステージⅤでは、特定の指の伸展や、対立運動が可能となりますが、完全な可動域での独立した指伸展はステージⅥで評価されます。正しくは:「手指ステージⅤ: 親指が他の指と対立運動を行い、物を把持できる。あるいは、指の特定の屈伸運動が独立して可能になる。」または「手指ステージⅥ: 指を完全に伸展できる。」選びやすい理由:ステージⅤは、指の個別運動がかなり可能になる段階であるため、完全な伸展も可能になると思われがちです。混同注意:手指のステージⅤとⅥの評価項目を混同しやすいです。特に、完全な可動域での個別運動がどのステージで可能になるか、という点で間違いやすいです。
国試ポイント
Brunnstrom法の各ステージ(特に上肢と手指)における評価項目や代表的なテスト動作を正確に理解しているかが問われます。共同運動パターンとそこからの分離の進行度合いを具体的な動作と結びつけて記憶しておくことが重要です。
混同注意
上肢のステージⅣ、Ⅴ、Ⅵ、および手指のステージⅢ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵのテスト動作は非常に混同しやすいです。特に、共同運動からの分離がどの程度進んだらそのステージとされるのか、その境界線が曖昧になりやすいです。例えば、横つまみ(側腹つまみ)が手指ステージⅢかⅣか、肘伸展位での前腕回内外が上肢ステージⅤかⅥか、全可動域での指伸展が手指ステージⅤかⅥか、といった点で誤りが生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
もし次にBrunnstrom法に関する問題が出題された場合、今回は上肢と手指のステージ分類が問われましたが、次回は以下の点が問われる可能性があります。特定のテスト動作がどのステージに属するか、特定のステージの定義や特徴について、上肢の共同運動パターン(屈曲・伸展)の具体的な運動要素、回復段階Ⅰ~Ⅲ(弛緩性麻痺、共同運動出現)に関する知識、Brunnstrom法以外の運動機能評価法(例: Fugl-Meyer評価スケール、JSS等)との比較。
関連知識
Brunnstrom法の各ステージ(Ⅰ~Ⅵ)の概要とその特徴、各ステージにおける上肢、手指、体幹、下肢の代表的なテスト動作、共同運動パターン(屈曲共同運動、伸展共同運動)の具体的な運動要素、共同運動からの分離がどのように進んでいくかの病態生理学的理解、運動麻痺回復段階の評価法としての位置づけなどがあります。