腕神経叢損傷について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
腕神経叢損傷により、肩関節を支持する筋(三角筋、棘上筋、棘下筋など)が麻痺すると、肩関節の安定性が失われ、重力の影響で上腕骨頭が下方へ偏位(亜脱臼)しやすくなります。これは損傷部位や重症度に関わらず見られる症状の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腕神経叢損傷により肩周囲筋の麻痺が生じると、肩関節の支持性が失われ、上腕骨頭が下方へ偏位(亜脱臼)することが一般的です。
- 2. 出産時の麻痺、特に分娩麻痺(Obstetrical Palsy)は、新生児の腕神経叢損傷が原因で生じます。正しくは:出産時に生じる麻痺(分娩麻痺)は、腕神経叢損傷の一種です。選びやすい理由:「分娩麻痺」という言葉が直接「腕神経叢損傷」を指すとは限らないと誤解する可能性があります。混同注意:出産時に見られる他の神経系の問題(例:脳性麻痺など)と混同する可能性があります。
- 3. 上位型損傷(C5-C6優位)では、上腕二頭筋などの筋力低下により、前腕の屈曲とともに回外運動も障害されます。特徴的な肢位として、前腕は回内位になります。正しくは:上位型損傷(Erb型麻痺)の場合、前腕の回外運動は通常障害されます。選びやすい理由:上位型と下位型で麻痺の範囲が異なるため、回外が可能だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:上位型損傷における各筋群の機能障害と、その結果生じる肢位を混同する可能性があります。
- 4. 下位型損傷(C8-T1優位)は、手内在筋や長指屈筋群の麻痺が特徴であり、手指の巧緻運動や把持能力に著しい障害が生じます。正しくは:下位型損傷(Klumpke型麻痺)では、手指の運動機能に明らかな障害が見られます。選びやすい理由:上位型との対比で、手指への影響を過小評価する可能性があります。混同注意:上位型損傷(肩や肘の機能障害が主)と下位型損傷(手や手指の機能障害が主)の症状を混同する可能性があります。
- 5. 腕神経叢の近位引き抜き損傷(特にC8-T1レベル)では、ホーナー症候群(瞳孔縮小、眼瞼下垂、眼球陥没、顔面発汗低下)などの交感神経機能障害を合併することがあります。これは、交感神経節前線維が脊髄から引き抜かれるためです。正しくは:腕神経叢の近位引き抜き損傷では、交感神経機能障害を伴うことがあります。選びやすい理由:神経損傷が運動や感覚に限局すると考え、自律神経系への影響を見落とす可能性があります。混同注意:末梢神経損傷全般と、脊髄に近い根部での損傷による自律神経系への影響とを混同する可能性があります。
国試ポイント
腕神経叢損傷の種類(上位型、下位型、全型)、それぞれの特徴的な症状(麻痺筋、機能障害、肢位)、および合併症(分娩麻痺、交感神経機能障害など)に関する正確な知識が問われています。特に、症状と損傷レベルの関連性、そして典型的な所見を理解しているかが重要です。
混同注意
腕神経叢損傷の各タイプ(Erb型、Klumpke型)の症状が混同されやすい。特に、どの運動が障害され、どの運動が保たれるのか、また交感神経症状の有無などがポイントになります。また、上腕骨頭の下方偏位は、肩関節脱臼と区別して「亜脱臼」や「弛緩性関節」という表現が使われる点にも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、腕神経叢損傷に関する問題が出題される場合、各タイプごとの典型的な運動麻痺・感覚麻痺の組み合わせや、具体的な評価方法、治療介入(例:装具療法、手術適応)に関する知識が問われる可能性が高いです。
関連知識
腕神経叢の解剖(根、幹、索、枝)、C5-T1の支配筋・皮膚分節。Erb点、Klumpke麻痺の具体的な症状(例:鷲手)。ホーナー症候群の構成要素。分娩麻痺の原因と治療。