性的な欲動をコントロールするために、性的なことを理論的に分析しようとする防衛機制はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
知性化は、感情的な内容を客観的、理論的に分析することで、その感情的な側面から距離を置き、不安を軽減しようとする防衛機制です。設問の「性的な欲動をコントロールするために、性的なことを理論的に分析しようとする」という記述は、まさに感情を切り離し、知的な考察によって処理しようとする知性化の典型的な例に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. これは抑圧の定義です。抑圧は、意識が受け入れがたい衝動や思考を無意識の領域に押し込むプロセスであり、理論的に分析する行為とは異なります。正しくは:感情を理論的に分析しようとする行動は「知性化」に該当します。選びやすい理由:どちらも不快な感情から逃れようとする点で似ていますが、抑圧は無意識下の排除、知性化は意識的な理論化という違いがあります。混同注意:意識的に感情を無視したり、考えないようにしたりする「抑制(Suppression)」と混同しやすいですが、抑圧は無意識的です。
- 2. これは行動化の定義です。感情や葛藤を直接的な行動として表すものであり、理論的に分析する思考プロセスではありません。正しくは:感情を理論的に分析しようとする行動は「知性化」に該当します。選びやすい理由:どちらも感情の対処法ですが、行動化は感情を表現すること、知性化は感情を思考で処理することという点で大きく異なります。混同注意:怒りやフラストレーションを行動で示すことで、「感情の制御ができていない」と捉えられることがあり、別の不適応的な防衛機制(例:攻撃)と混同されることがあります。
- 3. 正解。この記述は「知性化(Intellectualization)」の定義そのものです。性的な欲動という感情的に扱いにくい問題を、感情を切り離して理論的に分析しようとすることは、感情的な苦痛や不安から距離を置くための防衛機制として知性化に当たります。
- 4. これは反動形成の定義です。反動形成は、自分にとって許容できない衝動や感情と正反対の態度をとることで、それを抑えようとする防衛機制であり、理論的分析とは異なります。正しくは:感情を理論的に分析しようとする行動は「知性化」に該当します。選びやすい理由:感情を直接的に扱わないという点で共通していますが、反動形成は「逆の行動」、知性化は「思考による分析」と、対処の仕方が全く違います。混同注意:抑圧と混同されることがありますが、反動形成は意識的な態度や行動として現れる点で抑圧(無意識下の排除)とは異なります。
- 5. これはスプリッティング(splitting)の定義です。スプリッティングは、対象を「完全に良いもの」か「完全に悪いもの」かに極端に分けて捉える防衛機制であり、理論的に分析する思考プロセスとは関係ありません。正しくは:感情を理論的に分析しようとする行動は「知性化」に該当します。選びやすい理由:精神的な問題への対処法の一つではありますが、問題の認識の仕方に偏りがある点で、理論的分析とは方向性が異なります。混同注意:境界性パーソナリティ障害でよく見られる防衛機制ですが、問題の捉え方が極端になるという意味では「全か無か思考」と似ています。
国試ポイント
防衛機制の各定義とその具体例を正確に理解し、混同しやすい概念との違いを明確に区別できるかが問われます。特に、感情的な問題をどのように処理しようとするかという視点で、各防衛機制の特徴を把握しておくことが重要です。
混同注意
知性化は、感情的な問題を「理論的に分析する」ことで対処します。これに対し、抑圧は「無意識下に排除する」、合理化は「都合の良い理由付けをする」といった点で異なります。特に、合理化は一見すると知性化と似ていますが、合理化が自己の行動や感情を正当化するために後付けで理由を探すのに対し、知性化は感情そのものから距離を置き、客観的に分析しようとする点で区別されます。
次に同じ論点が出たら
今後、異なる防衛機制の具体的な行動例が与えられ、それがどの防衛機制に該当するかを問う問題や、特定の精神疾患(例:境界性パーソナリティ障害におけるスプリッティング)と関連する防衛機制を問う問題が出題される可能性があります。また、複数の防衛機制が提示され、最も適応的なものを選ぶ、あるいは不適応的なものを選ぶといった応用的な問題も想定されます。
関連知識
防衛機制は、フロイトが提唱し、アンナ・フロイトが体系化した精神分析学の概念です。主な防衛機制には、抑圧、合理化、同一視、投影、反動形成、昇華、退行、行動化、否認などがあります。それぞれの定義と、それがどのような状況で用いられるか、また適応的か不適応的かといった側面も理解しておくことが重要です。