Danielsらの徒手筋力テストで、段階2の測定肢位で正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、関節可動域には異常がないものとする。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
Danielsらの徒手筋力テスト(MMT)における段階2(Poor)は、重力の影響を排除した肢位で全可動域を動かせる場合と定義されます。選択肢1の頸部屈曲は座位で頸部を側臥位にすることで重力を排除できます。選択肢5の肩甲骨の内転と下方回旋は、腹臥位や座位で肩関節を内転位にすることで重力の影響を軽減し、セラピストが誘導することで全可動域での運動を確認できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。頸部屈曲の段階2の測定肢位は、座位で頭部を側方に倒し、重力の影響を排除した肢位で全可動域を動かすことで評価されます。これは重力排除肢位に該当するため正しいです。選びやすい理由:MMTの段階2の定義と頸部屈曲の評価肢位を理解していれば正しく選択できます。混同注意:重力に抗する段階3の測定肢位(座位で頸部を垂直位から屈曲させる)
- 2. 肘関節伸展の段階2の測定肢位は、上腕を肩関節外転90度位に保持し、前腕を支持して重力を排除した水平面で行うのが一般的です。単に肘関節伸展とあるだけでは重力排除肢位が特定できず、具体的な肢位が不明確なため、誤りとなる可能性があります。一般的に記載されるのは重力排除下での運動であり、この選択肢では詳細な肢位が不足しています。正しくは:肘関節伸展の段階2は、上腕を肩関節外転90度位で支持し、前腕が水平になるようにして肘関節を伸展させる肢位です。選びやすい理由:肘関節の運動であるため、重力排除肢位が存在すると考えやすいですが、具体的な肢位が明記されていないため誤りとなる可能性があります。混同注意:重力に抗する段階3以上の肘関節伸展の測定肢位(座位や立位で肘を伸展させる)
- 3. 股関節屈曲、外転および膝関節屈曲位での股関節外旋は、重力の影響を排除する肢位ではなく、むしろ重力に抗する、または複雑な肢位での運動であり、段階2の測定肢位としては適切ではありません。段階2は重力を排除した単純な運動で評価されます。正しくは:股関節外旋の段階2の測定肢位は、股関節と膝関節を屈曲させ、足部をベッドに置いた状態で、重力の影響を排除するように股関節を外旋させる肢位です。選びやすい理由:股関節の複雑な運動であるため、評価が難しいと感じ、このような肢位も段階2に含まれるかと誤解する可能性があります。混同注意:より高い段階のMMT評価で用いられる複合的な運動や、特定のリハビリテーションにおける運動
- 4. 体幹屈曲の段階2の測定肢位は、重力の影響を排除した仰臥位で、腹直筋の収縮により骨盤の傾斜をわずかに起こすことで評価されます。単に体幹屈曲とだけあると、重力に抗する運動(座位からの体幹屈曲など)と混同されやすく、段階2の測定肢位としては不正確です。正しくは:体幹屈曲の段階2は、仰臥位で体幹をわずかに屈曲させることで評価されます。選びやすい理由:腹筋の検査として体幹屈曲は一般的ですが、段階2の定義から重力排除肢位であることを考慮しないと誤ります。混同注意:段階3以上の体幹屈曲(仰臥位から上体を起こす)、または腹筋の一般的な運動
- 5. 正解。肩甲骨の内転と下方回旋の段階2の測定肢位は、腹臥位や座位で肩関節を内転位に保持し、重力の影響を軽減した状態で、セラピストが誘導しながら全可動域を動かすことで評価されます。これは重力排除肢位に該当するため正しいです。選びやすい理由:肩甲骨の運動は評価が複雑に感じられますが、重力排除の原則を理解していれば選択できます。混同注意:重力に抗する段階3以上の肩甲骨の運動(座位で上肢を挙上させるなど)
国試ポイント
DanielsらのMMTにおける各段階の定義と、それぞれの段階を評価するための代表的な測定肢位を理解しておく必要があります。特に重力の影響を排除する肢位(段階2)と、重力に抗する肢位(段階3以上)の区別が重要です。
混同注意
MMTの段階2と段階3の区別が混同しやすいです。段階2は重力の影響を排除した肢位で可動域全体を動かせること、段階3は重力に抗して可動域全体を動かせることを指します。また、個々の筋のMMT測定肢位と、複合的な運動の測定肢位も混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た際は、まずMMTの段階2の定義(重力の影響を排除した肢位で全可動域運動)を思い出し、各選択肢の運動がどのような肢位で重力の影響を排除できるかを具体的にイメージして判断します。特に、どの肢位が重力の影響を排除しているか、または排除していないかを見極めることが重要です。
関連知識
MMTの段階0(収縮なし)、段階1(触知できる収縮あり、運動なし)、段階3(重力に抗して可動域全体を動かせる)、段階4(中等度の抵抗に抗して可動域全体を動かせる)、段階5(最大抵抗に抗して可動域全体を動かせる)の各定義と、それぞれの代表的な測定肢位も併せて覚えることが重要です。個々の筋の解剖学的走行と作用も理解していると、測定肢位を推測しやすくなります。