63歳の女性。主婦。関節リウマチ。発症後半年が経過した。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。料理など家事全般を好み、熱心に行ってきた。立ち仕事が多く、最近膝痛が出現した。この患者に対する作業療法の留意点で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
関節リウマチ患者において、関節の炎症や疼痛がある場合、関節に負担をかけずに筋力を維持・強化する方法が求められます。等尺性収縮運動(アイソメトリック運動)は、関節を動かさずに筋力を発揮できるため、関節への負担が少なく、疼痛を増悪させるリスクを低減しながら筋力低下を防ぐ効果的な方法です。特に膝痛がある本患者のようなケースでは、関節への負担を最小限に抑えつつ筋力強化を行うことが重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節リウマチの急性期や炎症がある場合、関節の固定は可動域制限や筋萎縮を助長するリスクがあります。特に活動性の高い主婦に対して、膝伸展固定装具は日常生活動作を大きく制限し、QOLを低下させる可能性があります。適切な装具は個々の状態に合わせて選択され、必ずしも固定装具が最善とは限りません。正しくは:膝の安静や支持を目的とする場合でも、装具の選択は可動性やADLへの影響を考慮し、可動域を確保しつつ疼痛を軽減する目的の装具(例:サポーターや動的装具)を検討するのが一般的です。また、炎症が強い時期には固定を考慮することもありますが、日常生活動作を行う上では活動を阻害しないものが望ましいです。選びやすい理由:膝の痛みを軽減するために安静が必要だと考え、固定装具が効果的だと誤解しやすいかもしれません。特に急性期には安静が重要であるという知識から、固定装具を連想する可能性があります。混同注意:炎症や疼痛がある場合の安静と、関節の機能保持のための関節保護の原則が混同されやすいです。固定は症状によっては必要ですが、長期的な機能維持には制限が少ない方法が望ましいです。
- 2. 関節リウマチでは、手関節や手指の関節も影響を受けやすく、片手で重いフライパンを扱うことは、患部に過度な負担をかけ、疼痛の増悪や変形を進行させるリスクがあります。両手を使って負荷を分散させる、または軽量な調理器具の使用を指導するなど、関節保護の原則に従うべきです。正しくは:調理器具は両手で持ち、負荷を分散させるか、軽量な器具や自助具(例:軽いフライパン、片手で持てる調理器具の工夫)の使用を検討するよう指導します。また、調理台の高さ調整や椅子の利用など、身体全体の負担軽減も重要ですえる。選びやすい理由:片手動作の訓練を促すことで、手の機能維持につながると誤解する可能性がありますが、重いものを片手で扱うことは関節保護の観点からは不適切です。また、片麻痺などのケースと混同する可能性もあります。混同注意:片手動作の指導と、関節保護の原則が混同されやすいです。関節リウマチにおける関節保護は、関節への負担を最小限に抑えることが目的であり、片手で重いものを持つことは避けるべき行動です。
- 3. 関節リウマチ患者の疲労管理および関節保護の観点から、家事などの活動は、適度な休憩を挟みながら分散して行う「活動量管理」が基本です。一度にまとめて行うと、関節に過度な負担がかかり、疲労の増大や疼痛の悪化を招くリスクがあります。時間を区切って休憩を取る、作業内容を細分化するなどの工夫が必要です。正しくは:家事は、休憩を挟みながら複数回に分けて行うよう指導します。疲労を蓄積させないように、短時間での作業を心がけ、活動量を調整することが重要です。選びやすい理由:効率性を重視するあまり、家事をまとめて行った方が良いと考えるかもしれませんが、リウマチ患者の関節や全身状態を考慮すると不適切です。通常の生活指導と混同しやすいです。混同注意:一般的な効率的な家事の進め方と、関節リウマチ患者における「関節保護」および「疲労管理」の原則が混同されやすいです。関節保護のためには、活動の分散と適度な休息が不可欠です。
- 4. 正解。関節リウマチの患者では、関節に炎症や疼痛がある場合、関節を大きく動かす等張性収縮運動は、関節への負担が大きく、症状を悪化させる可能性があります。そのため、関節を動かさずに筋力を維持・強化できる等尺性収縮運動(アイソメトリック運動)は、関節への負担が少なく、疼痛を増悪させずに筋力低下を予防・改善する上で適切な方法です。正しくは:正しい選択肢のため、修正の必要はありません。
- 5. 関節リウマチ患者の関節可動域訓練は、疼痛を伴わない範囲で行うことが原則です。最終域での抵抗感を乗り越えようと無理に関節を動かすことは、炎症を悪化させたり、関節を損傷したりするリスクがあります。疼痛を誘発しない範囲で、ゆっくりと慎重に行う必要があります。正しくは:関節可動域訓練は、疼痛を伴わない範囲で、愛護的に行います。関節の動きの最終域で強い抵抗感や痛みが現れる場合は、その手前で止めるように指導します。選びやすい理由:関節拘縮を予防・改善するために、最終域までしっかり動かすことが重要だという一般的な考え方から、この選択肢が正しいと誤解しやすいかもしれません。しかし、リウマチ患者では炎症や痛みの存在を考慮する必要があります。混同注意:一般的な関節可動域訓練の原則(最終域まで動かすこと)と、関節リウマチのような炎症性疾患患者における疼痛管理・関節保護を優先する原則が混同されやすいです。
国試ポイント
この問題は、関節リウマチ患者に対する作業療法における関節保護の原則と、適切な運動療法の選択に関する知識を問うものです。特に、炎症期や疼痛を伴う状態での筋力強化方法として、等尺性収縮運動の重要性を理解しているかがポイントとなります。他の選択肢は、関節保護や疲労管理の原則に反する内容であり、リウマチ患者への不適切な介入を示しています。
混同注意
関節リウマチの急性期と慢性期の治療原則、および一般的な運動療法の原則と関節保護の原則を混同しやすい。特に、可動域訓練や筋力強化運動の際に、疼痛の有無や炎症の程度を考慮せずに介入してしまう誤解が生じやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、患者の病期(急性期/慢性期)、関節の炎症や疼痛の有無、ADLレベルを考慮した上で、最も関節に負担が少なく、症状を悪化させない介入方法を選択する視点が重要となります。特に運動療法に関しては、疼痛下での筋力強化・可動域維持の方法に注目して判断します。
関連知識
関節リウマチにおける関節保護の原則(疼痛の回避、関節の変形予防、負荷の軽減、適切な休息と活動のバランス)、活動量管理、自助具の活用、装具療法、運動療法(ROM訓練、筋力増強訓練、協調性訓練)。Steinbrockerの病期分類と機能分類についても理解が求められます。