認知症のBPSD〈Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia〉の評価尺度はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
NPI(Neuropsychiatric Inventory)は、認知症患者に特有の行動・心理症状(BPSD)を具体的に評価するために開発された尺度です。妄想、幻覚、興奮、抑うつ、不安、無感情、脱抑制など、様々なBPSDの出現頻度と重症度を評価します。他の選択肢は、ADAS、MMSE、CDRが主に認知機能や認知症の重症度を評価する尺度であり、PSMSは日常生活動作(ADL)を評価する尺度であり、いずれもBPSDに特化したものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. ADASは主に認知機能全般(記憶、言語など)を評価する尺度であり、BPSDに特化したものではありません。正しくは:BPSDに特化した評価尺度としては適切ではありません。選びやすい理由:認知症の評価尺度であるため、一見関連があるように見えます。混同注意:他の認知機能評価尺度(MMSEなど)と混同しやすいです。
- 2. CDRは認知症の重症度を全体的に評価するための尺度であり、BPSDそのものの詳細な評価には向きません。認知症の進行段階を判断する際に用いられます。正しくは:BPSDに特化した評価尺度としては適切ではありません。選びやすい理由:認知症の重症度評価で広く使われるため、BPSDの評価にも使えると誤解されがちです。混同注意:認知症の全体的な評価尺度と、特定の症状(BPSD)に特化した評価尺度を混同しやすいです。
- 3. MMSEは認知機能、特に見当識、記銘力、注意・計算、想起、言語能力といったスクリーニング検査であり、BPSDを直接評価する項目は含まれていません。正しくは:BPSDに特化した評価尺度としては適切ではありません。選びやすい理由:認知症のスクリーニング検査として最も有名であるため、BPSDの評価にも関連があると思われやすいです。混同注意:認知症の認知機能評価尺度と、行動・心理症状評価尺度を混同しやすいです。
- 4. 正解。NPIは、認知症における妄想、幻覚、興奮、抑うつ、無感情、脱抑制、多幸、アパシー、夜間行動障害、食行動異常など、多様な行動・心理症状(BPSD)の頻度と重症度を詳細に評価するために開発された尺度です。BPSDの評価尺度として広く用いられています。
- 5. PSMSは、日常生活動作(ADL)の中でも特に身体的自己維持能力(入浴、更衣、整容、トイレ、移動、摂食)を評価する尺度であり、BPSDの評価には用いられません。正しくは:BPSDに特化した評価尺度としては適切ではありません。選びやすい理由:高齢者の機能評価尺度であるため、認知症患者にも適用されると思われがちです。混同注意:認知症患者の機能評価全般と、BPSDに特化した評価尺度を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、認知症における主要な評価尺度とその適用範囲を理解しているかを問うものです。特に、認知機能、重症度、BPSD、ADLといった異なる側面の評価にどの尺度が適切であるかを区別できる知識が求められます。BPSDに特化した評価尺度としてNPIは重要度が高いです。
混同注意
認知症のスクリーニングや全体評価に用いられるMMSEやCDR、ADASといった他の認知症関連尺度と、BPSDに特化したNPIとの区別が曖昧だと誤答しやすいです。また、ADL評価尺度(PSMS、FIM、Barthel Indexなど)とも混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、NPIの具体的な評価項目(妄想、幻覚、興奮など)や、他の主要なBPSD評価尺度(例: BEHAVE-AD, DBDS)が問われる可能性があります。また、各評価尺度の点数による重症度分類やカットオフ値なども確認しておくと良いでしょう。
関連知識
認知症の評価尺度には、認知機能評価(MMSE, HDS-R, ADAS)、全般的重症度評価(CDR, GDS)、ADL/IADL評価(PSMS, FIM, Barthel Index, BI, LAWTON-IADL)、QOL評価、そしてBPSD評価(NPI, BEHAVE-AD, DBDS)など、多岐にわたる種類があります。それぞれの尺度の目的と内容を正確に把握しておくことが重要です。